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Football Life vol.73

アザディスタジアム。

2005年6月、W杯アジア最終予選イラン対バーレーン。イランが勝てばドイツ大会への出場が決まる重要な一戦。イラン代表を後押ししたのは間違いなく8万人の野郎たちだった。

当時は女人禁制だったからスタジアムに集まるのは血気盛んな男ばかりだ。ウェーブは一周が20秒くらいで超高速。そして、ブーイングと区別がつかないほどの指笛の嵐。とにかくうるさい。どのくらいうるさいかというと、椋鳥が8万匹集まった街路樹を想像してほしい。

僕はここ以上にカオスだったスタジアムを知らない。

昨年10月、イランでの女性の観戦が40年ぶりに認められた、というニュースが話題になった。ここ数年、イランでは男装した女性が観戦するケースが増えていた。そして、逮捕された女性のひとりが焼身自殺をはかるという悲劇がおこってしまったのだ。

これは「オープン・スタジアム運動」という運動によって高まった機運の現れだけれど、その運動の発端とされるのが、2005年6月のこの試合だったのだ。最初はわずか数人での訴えだったけれど、14年の歳月をかけて最終的にはイラン当局を動かすまでのうねりとなった。

「アザディ」とはペルシャ語で「自由」を意味するから、そういう意味でも女性の権利が認められるに相応しいスタジアムだったのかも知れない。

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