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Football Life

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世界のどこへ行ってもサッカーはあります。こちらではボールを求めて訪れた国でのエピソードをお伝えしようと思います^^
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2020年8月の記事一覧

Football Life vol.61

U20ワールドカップ2007はいよいよトーナメントが始まろうとしていた。 日本の対戦相手はチェコ。通い慣れたロイヤルアスレティックパークは泣いても笑っても今日が最後だ。 チケットは完売。満員のお客さんの中には日本人の姿もチラホラ。地元のファンは圧倒的に日本を支持していた。 僕たち報道陣も彼らを純粋に応援していたと思う。 それくらい彼らのサッカーは気持ちよかったし、彼らが繰り広げるパフォーマンスは魅力的だった。 この日、僕は験を担いで部屋の冷蔵庫にチェコ産のビールを仕

Football Lief vol.60

ビクトリアの試合会場、ロイヤルアスレティックパークは仮設スタンドを活用したスタジアム、、というよりグラウンドだった。 屋根がなくスタンドも低い。近くに大きな建物もない。そんなロケーションだから、夕方になると強烈な西陽が差し込んでくる。 こういう所は真面目に写真を撮ろうと思うとかなり難しい。その代わり遊びなら最高のロケーションだ。 オリンピック招致のとき「スモールオリンピック」とかいう絵に描いた餅を掲げた人たちに、スポーツの会場が本来あるべき姿として教えてやりたいくらい最

Football Life vol.59

ビクトリアでは空き時間が多かったから、散歩にでかけたり、シーカヤックをしたりして、人生最大にアクティビティを楽しんだ。 日差しは強くて日向は暑いけれど、空気はカラッとしているから日陰に入ると少し肌寒いくらいの陽気だった。 ドイツの夏もそうだったけれど、蒸し暑い日本の夏になれていた僕にとってビクトリアは気候だけでも天国のような場所だった。 △▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽ スポーツ写真のオンラインサロン始めました。 写真について語り合いましょ

Football Life vol.58

初戦で最大のライバルと思われたスコットランドを退けた調子乗りたちはノリにノッていた。 ノリすぎて続く第2戦のコスタリカも破り、早々にグループリーグ突破を決めてしまった。この頃になると彼らのゴール後のパフォーマンスは地元民の心を鷲掴みしていた。 日本は決勝トーナメント1回戦まではビクトリアで戦う予定で、それ以降はカナダを転戦することになっていた。 これはいよいよ転戦を視野に入れないとなぁと、ウキウキしながら試合後の記者会見場をあとにした。 外にでるとちょうどいい感じの西

Football Life vol.57

カナダにはB&B(ベット&ブレックファースト)が多い。日本でいう民宿みたいなところで、民家を改装して作られたところが多く、ベットルームと温かい朝食を用意してくれる。 ビクトリアではそのB&Bに宿泊した。 カナダ人のご主人と日本人の奥様が営んでいて、英語が苦手な僕にとって奥様の存在が決め手になったのは言うまでもない。 このとき初めてカナダの伝統的な朝食を食べた。パンケーキとベーコン、目玉焼きにメープルシロップをたっぷりかけて食べるヤツだった、、。 心の中で「ベーコンにメ

Football Life vol.56

日本代表が国際大会に挑む姿をきちんと取材できたのは2007年のU20ワールドカップが初めてだった。 アンダー世代の大会は、日本代表以外に経費はかけられないから、結果的に代表に張り付くようになる。 試合がない日は練習を取材した。最近のA代表と違って練習はフルオープンだったから、毎日自由に取材ができた。そんな取材陣に混じって小さな取材者もチラホラ。 この子はカナダ人とご結婚された日本女性のお子さんで、名前は忘れてしまったけれど、若き日本代表の選手たちのアイドルだった。中でも

Football Life vol.55

初めてカナダにいったのは2007年のことだ。前年にインドで追いかけた若き日本代表のU20ワールドカップを見届けるためだった。 この代表には槙野智章や内田篤人、柏木陽介がいた。いわゆる「調子乗り世代」だ。 彼らの当面の戦場はブリティッシュコロンビア州のビクトリアだった。地図でいうとアメリカ大陸の西側。マリナーズで有名なシアトルからフェリーでいけちゃうところ。I LOVE CANADAって言いたくなる気持ちが分かるくらい風光明媚で素敵な街だ。 サッカーの世代を表すとき、黄金

Football Life vol.54

どこの国でも同じだけれど、お巡りさんや軍隊さんにレンズを向けるのは勇気がいる。このときは客席にいたイランのサポーターを撮っていたら、眼前に彼らがいた。 U19の大会だから、ピリピリした雰囲気はなく、イラン人がただ騒いでいて、お巡りさんたちも所在なさげにそこに佇んでいただけだ。 ただ帽子と制服が保安官みたいでカッコいい! と思ったので勇気をだしてパシャリ。 ちょっと睨まれた気がすれけれどお咎めなし! △▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽ スポー

Football Life vol.53

2006年のU19アジア選手権に挑んだ日本代表は準々決勝でサウジアラビアを退けて、7大会連続となる世界の切符を手にした。 僕が初めて生で観た日本代表が世界に飛び出す瞬間だった。 旅程を組むとき考えたのはスケジュールと経費の兼ね合いだった。この大会のハイライトは準々決勝だと考えた僕は、コルカタで行われる準決勝以降は取材しないことに決めていた。 特に意識してた訳ではないけれど、このチームは結成当初からしばしば取材をしていた。その影響もあったのかも知れない。大会が進むにつれて

Football Life vol.52

今から12年前の夏、僕はビジャレアルの街にいた。 名将ペジェグリーニに率いられたイエロー・サブマリンはリーガで2位と躍進、その中心選手だったマルコス・セナはオーストリアとスイスで共催のユーロでいぶし銀の活躍をして、スペインの戴冠に大きく貢献した。 僕に与えられたミッションはチャンピオンズリーグに挑むチームの秘密を探ることだった。ビジャレアルの街をウロウロしているとその凄さに改めて気づく。 ホームスタジアムのエル・マドリガル(当時)は住宅街のど真ん中にあって、片側一車線の

Football Life vol.51

僕は基本的に引きこもりなので、今風に言えば、常に不要不急の外出は控えている。それは外国へ行っても同じだ。 例えば、初めてミュンヘンに行ったとき郊外に借りたキッチン付きの部屋の居心地が良すぎて、11泊して撮影で3回、あとは食料の買い出し以外一歩も外に出なかったことがある。 しかし、このとき逗留していたのは、窓もなく一日中薄暗い上に、天井裏に同居人がいるような部屋だったから、一念発起して散歩を日課にした。そのおかげで学校を発見できたから、少しお邪魔させてもらった。 今の日本

THE AMBIENCE OF SPORTS vol.50

2度目にベンガルールを訪ねたのはU19アジア選手権だった。内田篤人や槙野智章など個性的なメンツが揃った代表だった。 ある試合を撮影しているとき遠くの方に真っ黒な雲があって「一雨くるな、、」と思ったのも束の間、その雲がスタジアムの半分を覆った。 反対側のゴール付近は晴れているのに、僕がいるサイドだけ土砂降りになった。雨具を用意していなかった僕が退避すると、スタジアムの向こう側に大きな虹がかかっているのが見えた。 あまりに立派な虹だったから、濡れることも忘れてシャッターをき

Football Life vol.49

オヤジに紹介されたホテルは通りを挟んで反対側にあった。近っ! 一階はレストランで二階にレセプション。一階のレストランに入ると思わずたじろいでしまった。繁盛している店内の照明は薄暗く、東洋人の深夜の来訪が珍しかったのか、文字通り食事の手を止めた客が一斉にこちらをみたからだ。 天井裏に同居人がいる部屋は快適とは言えなかったけれど、ま、こんなもんでしょ! 道路には牛さんがいて、おおおおお、これぞインド!! トゥクトゥクに乗ったら、ドライバーがちょっと薄暗いところでおもむろに小