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Biz人材のオンボーディング日記①

我が家の間取りは2LDK、書斎もなければPC用のデスクも当然ない。僕の10Xでの新しい会社生活は、ベッドとニトリの収納ケースに囲まれた寝室の隅で始まった。世の中はコロナウィルスの感染拡大が深刻化していて、入社初日から完全WFH(Work from Home)体制となっている。

入社するまで、そもそもオンボーディングという言葉を聞いたこともなかったのだが、要するに、新入社員がいち早く会社の戦力となるためのプロセスのことをいう。予めPCは貸与されていたので、僕の入社初日は初めてオフィスに入るドキドキも、新しい同僚たちへの挨拶もなく、自宅の寝室で粛々とスタートした。

入社初日の朝会(ZOOM)でのこと。一人ひとりがその日のTo doを発表していく。自分の番になった。用意していた項目に沿ってザーッと話す。。。が、返答がない。。。少しして、「赤木くん、多分wifiが弱すぎて何言ってるかわからない」と言われ開始早々オンボーディング失敗。。。オンボーディングは愚か、Tech系企業に転職してネット環境が整っていないとは・・・あー恥ずかしい。

そこから、僕のオンボーディングのためのオンボーディングが始まる。まず、インターネット整備のためGoogle Nest Wifiを購入(これ一台で家のネット環境が激変)、首が痛くならないようにPCスタンド、モニター、Magic Keyboard、 Trackpadを揃えた(一部は会社からの貸与物)。総工費約3万円、総所要時間3日程。ちなみにGoogle Nest Wifiのセッティングにも3時間くらい掛かるというITリテラシーの低さ。あー恥ずかしい。

オンボーディング中には、日々感じることや、新鮮な学びがたくさんある。特に、Tech企業に入社するNon-Tech人材(Biz人材)にとっては尚更だ。それらを「オンボーディング日記」として書き留めて置くことで、将来何かの役に立つような気がしている。

1回目は、会社の文化とインフラについて。「オンボーディング」という言葉を頻繁に使うだけあって、スタートアップ(10X)では社員のをオンボーディングを後押しするよう、会社の文化とインフラがうまく構築されている。

自律を前提とした働き方(文化)

13名の社員全員が自律した状態で仕事をしていることで、余計なフォローアップやミーティングが少ない。会社が進むべき方向性や方針に基づいて、各人が自分で何をするべきか考えて行動している。逆に言うと、自律していないとポツンと取り残されそうな緊張感があるのも良い。

情報の蓄積・整頓・開示(インフラ)

会社の方針として、ほぼ全ての情報を社員に開示している。ただ開示されているだけでなく、創業時から蓄積された全ての面談メモ、作成資料などが整理整頓された状態で保存されている(これホント凄い)。

新しく社員が入社したとき、困ることの一つが情報の非対称性による「わからない状態の発生」だと思うが、この課題を完璧に解決している。更に、読んでもわからないこと、探しているものが見つからない時には誰に質問すべきかまで明示的に示されている。これにより、オンボーディングの半分くらいは済むのではと思う程である。

WFHの中でも気軽に口頭(コール)で雑談できる(文化)

どれだけ情報の透明性が高くても、やはりわからないことはたくさんある。そういう時、気軽に話しかけて良いものか悩む。本質的にはこの時間がとても無駄だとわかっているのだが、今の職場ではあまりそういう悩みが発生しない。

それは、話すというコミュニケーション手段を最大限活用しようという共通認識があり、それをWFHの中でも実践しているからである。

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10Xでは、コミュニケーションのツールとしてSlackを使っているが、Slack上での文字によるチャットは極力避けるよう推奨されている。その代わり、何か話したいことがあれば、「〇〇について話したいのでコールします」と言ってグループ通話を開始する。それについて話したい人は通話に入るし、関係のない人は業務を続ける。これにより、ちょっとしたことで会話を始めるコストが格段に下がった。

SQL入社課題(インフラ)

事業やプロダクトを創っていく上で、ファクトを集めて分析することは欠かせない。前職でやっていたような「車が何台売れたか」や「それによって幾ら儲けたか」、という表面的な数字だけでなく、もっと中(奥)にある動き(例えば顧客の継続率など)を正確に把握して、施策につなげていく必要がある。

Biz人材として最低限のデータ抽出と分析はできる必要があるので、入社前からSQLというデータベース言語を学んでおくよう推奨されていた。基礎の基礎は本で勉強したり、Progateというプログラミング学習サイトを使えば良い。

より実践的な内容を学ぶために、会社内には実際に10Xが運営するタベリーというアプリの生データを使って行う練習問題が用意されている。これを解きながら、SQLの実務を身に付けつつ、タベリーへの理解を深めることができている。今回僕が学ぶ過程でも新しい練習問題が生まれた。こうして練習問題が蓄積されていくことで、将来のBiz人材のためのインフラが整備されていっているので、とても良いと思う。

最後に

オンボーディングという言葉を書いていると、どうしてもサーフィンが頭に思い浮かんでしまう。これはサーフィンをやる人だけだろうか?ただ、入社してから2週間、意外と仕事のオンボーディングとサーフィンは似ているな、と思うことがある。

サーフィンはボードの上に立って波を操るスポーツだ。プロサーファーの動画を見ても、大抵はテイクオフ(ボードの上にうつ伏せになっている状態から足で立つ状態に持っていく動作)寸前かテイクオフしてからの映像ばかり流れてくる。

しかし、素人にとってはそもそもテイクオフ自体がとても難しい。多くの努力と観察力(波を読む力、ポジショニング、タイミングなど)を要する。いざ立てるようになっても、間違った立ち方を覚えてしまうと、その後きれいに波を乗りこなすことができない。一度悪い癖がつくとそれを直すのは大変なのだ。

これは仕事のオンボーディングにも当てはまる。当然、仕事はオンボーディングしてからが本番なのだが、オンボーディング自体を甘くみてはいけない(と実感している)。フワッとは入れても、短期間で古参社員と同等の成果を出せるようになるためには、努力と観察力を要する。間違った入り方をすれば、上手く信頼を獲得できずその後の業務に支障を来す可能性だってある。

スポーツはいつも色々なことを教えてくれる。早くサーフィンができるよう普通の日々が戻ってきてほしいな。

・・・

次回は、入社してからの学び(learn)と過去の学びを捨てた(un-learn)こと、について書こうと思っている。



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