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2022年度の弦巻楽団

久々の投稿になります。代表の弦巻です。これが2022年最初の更新となります。

何か伝えたいことがあると、それを整理して言葉にしようと思う内に、次々に状況は変化し、伝えたいことが膨大になり、その膨大さに押しつぶされいつの間にか更新が遠のいてしまう…この10年ずっと同じことを繰り返してるような気がします。


昨年11月に行った「秋の大文化祭!」。東京からお招きしたPityman『思い出すまでまっていて』がTGR優秀賞を受賞、そして弦巻楽団の『死にたいヤツら』は先日サンピアザ劇場では最後となる神谷演劇賞の大賞を受賞しました。

演技講座2クラスの発表も得難い瞬間がたくさんあり、充実した文化祭になりました。

#36 3/4『死にたいヤツら』2021年11月
第9回神谷演劇賞表彰式

今年2月、札幌演劇シーズン2022冬に参加した#37『ナイトスイミング』は公演4日目に新型コロナウイルスに感染したメンバーが発生し、6ステージを残し公演中止となりました。

沢山の方のお力を新たに注入した、劇団としても総力戦の舞台だったのでとても残念でした。沢山の方に調整のご迷惑とご心配をおかけしました。

#37『ナイトスイミング』2022年2月

その一ヶ月後、つい先月末、演技講座1年間の成果発表として『ペリクリーズ』を上演しました。

こちらも感染症対策を行いながらの上演で、思うようにいかないことだらけでしたが、無事に4ステージの上演を行うことができました。

千秋楽公演には翻訳家の松岡和子さんもいらっしゃり、アフタートークを行っていただきました。

この取り組みの狙いを細かな点まで拾ってくださり、温かい言葉をかけてくださいました。登壇してまず出演者である受講生たちに惜しみない拍手をかけてくださった姿に、胸が熱くなりました。

演技講座発表公演『ペリクリーズ』2022年3月
アフタートークの様子

戯曲講座は最後まで受講してくれた2名の受講生が戯曲を完成させ、戯曲賞にチャレンジしました。とても面白い戯曲で、その人じゃなきゃ書けなかった言葉で溢れていました。
俺も頑張ろう。


弦巻楽団の2021年度は、正直、コロナとの格闘に明け暮れた一年でした。

できなかったこともたくさんあります。
志半ばどころか、出鼻で挫かれてしまったりもありました。ちゃんと闘えたのかどうかもよくわかりません。
沢山の方のお力添えがなければ、途中で倒れていたんじゃないかとも思います。




2022年度の活動が始まりました。

弦巻楽団の2022年度は本公演の上演はありません。

これは前から実は(ほぼ)決まっていたことで、一言で言えば「少し休もう」ということです。そこにはいろいろな要因があります。これまで過密すぎるくらいのペースでやってきたので、3年くらい前から「ちょっとペースを落とそう」と言ってきました。なかなかタイミングが無かったり、有難いことにお声がけも続きここまでやってきましたが、自分含め劇団員の疲弊も大きく、ここで一度足元を見直そうということです。

演劇活動自体が止まるわけではなく、演技講座も戯曲講座も行います。劇団員による自主稽古も始まります。劇場で観客を招いての「公演」を行わない。というだけです。(昨年北海道大学CoSTEPと3度目のコラボレーションを果たした『オンリー・ユー』は再演するかも、しれません。)


神谷演劇賞の最後の授賞式で、審査員の方から「弦巻楽団さんは老舗としてこれからも札幌の演劇界を~」と言われました。し、し、し、しにせ~~!!と心の中でのけぞってしまいました。内なる宮沢りえが「ぶっとび~」と叫んでました。

確かに活動歴で言えば来年には20年になります。そりゃあそう思われてもある意味仕方ないかも、とも思います。

実際は僕以外のメンバーはまだまだ経験も少ない、若手と名乗るに差し支えない面々です。年齢だけはバラエティに富んでおりますが…。

劇団の活動でも、講座での活動でも、集まった人たちで何ができるかが自分の発想の出発点になります。必ずしも演劇の専門家でもない「市民俳優」達で一流のものづくりを目指す。それが絶対ルールです。できるだけ、なるたけ、「ついてこれない人間は置いていく」ものづくりにはしたくないからです。ただこれは「誰でも」ではなく、過去に集団創作に敬意を感じてもらえない方には退場をお願いしたこともあります。まあ、そういう方は自然に去っていきますが。

そのルールをどう適用していくのが相応しいのか、そこを見直す時期にきている気もしていました。

「置いていかれない」という安心感が創作を磨くチャレンジ精神の支えになるなら良いのですが、努力しなくても良いという怠惰さに流れては欲しくないのです。

そのバランスはこれまでもとても難しかったのですが、このコロナ禍でさらに難しくなりました。


私たちが取れる最良の創作ペースを見直す。その時間にしようというのが今年の計画です。

そんな風に模索する内に、ひょっとしたらポロッと新作を上演したりするかもしれません。出来たら上演したくなるのが人情というものです。ただ今までのように日程を決めて、そこに目掛けて準備をしていく、のような形は取らないと思います。すごく小規模な、創作現場でプロトタイプを見ていただくような場は設けるかもしれません。


何度も公演中止に直面しました。その時その時、その中止のご連絡や調整に奔走しました。準備する、上演する、何かあれば、粛々と対応する。それでも創作の歩みを止めない。それが自分なりの「コロナに負けない」創作のあり方だと思っていました。

その考えは変わっていませんが、やはり創作物を途中で中断させる想いはズシンときました。なかなか「はい、次!」とはなれません。経済的なダメージをどう挽回するか、という問題も勿論発生します。

ちょっとそのレールから降りたい、それが自分の正直な気持ちでした。

数年前から年間100冊を目標に読書記録をつけてるのですが、2021年はコロナで(稽古などの)活動できない時間が多かったにも関わらず、読めた本の数は過去最低で20冊くらいでした。そのくらいずっと悩んでいました。何も手につかず、うまくいきますように、そう祈る時間がただただ流れました。

考えてみると25年以上演劇を作り続けています。あっという間です。その間一度だけ一年弱お休みがありましたが、ほぼずっとやり続けてきました。
ちょうどいい機会かもしれないと思い、少しずつ劇団員に相談しました。みんなの賛同も得られたのでこういう判断となった訳です。

なので、2022年は弦巻楽団は上演活動は基本お休みです。

弦巻自身も、授業や講義以外の演出は(ほぼ)行いません。


自分でも勉強したいことが様々あります。
先に述べたような「集団創作」に取り組むにあたって、自分自身の演出家としての、脚本家としてのレベルアップが必要だと近年ずっと感じていました。そのための勉強や考える時間にしようと思っています。脚本は書き続けると思います。何か書いて欲しい作品があれば(?)ご相談下さい。

それでも演劇は続けようと思うのは、『ナイトスイミング』をはじめ自分たちの舞台や、戯曲講座で受講生の書いた作品や、『出停記念日』の島元先生のお言葉や、松岡さんの言葉が、そして何より、『死にたいヤツら』の開演ギリギリに到着されたお客様の笑顔が、こんな素晴らしいことをやめられる訳ないと思わせてくれたからです。

松岡さんと。
サンピアザ劇場ありがとう。
奨励賞の赤色カーニバルのお二人。二人ともかつて弦巻楽団の講座に参加してくれた縁ある二人。トマトは2012年、2013年本公演に出演してくれました。10年前!


今年はもう少し頻繁に更新します。

できるかな。


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