見出し画像

【大人の教養建築】 自然との調和が魅力 鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム

1,はじめに


大学で建築デザインを学び始めて思うことは、
「建物のバックグラウンドやコンセプトを知ると、より建築を魅力的に見ることができる」ということです。

ここでは建築学生としての視点を交えつつ、建物の魅力を紹介します。

ということで、第一回は私が最も好きな建築
「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」
旧神奈川県立近代美術館 鎌倉。
通称「かまきん」とも呼ばれます。私もそう呼んでいます。

鎌倉近代美術館

2,建物の概要

場所:鶴岡八幡宮 境内
鶴岡八幡宮の境内にあり、お参りへいく途中に立ち寄れます。

設計者:坂倉準三
近代建築の巨匠 ル・コルビュジエの弟子の一人であり、日本のモダン建築を語るうえでは外せないキーマンです。
彼が設立した「坂倉建築研究所」は今も引き継がれています。

3,魅力

鎌倉近代美術館 ファサード

一言でいうならば
「モダニズム建築と自然の調和」 でしょう。

モダニズム建築とはいうなれば、「コンクリートとガラスの箱」。
そんな無機質な材料と周囲の景観がみごとにマッチしているんです。

水面に映るファサードが美しいです。
季節ごとにその姿を変えるのでしょう。身飽きない建築です。

鎌倉近代美術館 階段

やはり階段も美しい。

さりげないワンシーンですが、さすがは坂倉準三。明暗の強弱が際立っているし、思わず奥に入りたくなります。

また、壁には日本でも古くから使用される、大谷石が用いられており
西洋のモダンと和の融合を感じます。

鎌倉近代美術館 あああ

そしてなんといっても一番の見どころは池に面したピロティでしょう。
動きのある水面が天井に反射し、とても美しい。
私が一番好きな場所です。

ピロティとは坂倉準三の師であるル・コルビュジエが提唱した
「近代建築の5原則」のうちの一つ。

建物が宙を浮く印象を与え、じめじめとした地面から解放される。
この列柱にはそんな意味合いがあります。

鎌倉近代美術館 中庭

サヴォア邸を彷彿とさせる中庭
ここにもたしかにコルビュジエのDNAを感じます。

動線計画は単純明快で内外がつながる開放的な建築となっています。

鎌倉近代美術館 内観

内部はこんな感じ。
実際に行ってみればわかるのですが、断面構成が魅力的です。
違和感のないレベル差が豊かな空間を生み出しています。

この写真集にも詳しく載っているようなので読んでみてはいかがでしょうか。

4,まとめ

いかがだったでしょうか。
見るだけではわからないデザインの系譜が脈々と流れているのです。
また細部に至るまで繊細に考え抜かれていることも感じていただけたのではないでしょうか。

この豊かな空間をぜひ味わってみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?