銀河、ふりしきる

コロナの関係で外に出られない中でnoteをやり始めていたが、個人的な事を書くのは日記があれば十分だと確認できたので消去するも、今回また始めた理由としては

友達が鬱になりまして

外に出られないリモートの環境になり、毎日毎日パソコンの前でプログラミングの仕事に追われていた友達。
仕事の量もなぜかリモートになった途端に増え、遊ぶところでは無かったときく。
家にこもり仕事だけをする毎日がどれだけ辛いものかは分からないが、遊びなど息抜きの時間さえもてずにいれば、そら鬱になったとしても仕方ないとは思う。

僕の友達は、音楽が好きで友達思いの明るい人間という印象。
そんな友達が鬱になったと聞かされた時、僕に出来る事は何かあるのか?と考えたが、正直思いつかなかった。
僕も10代の頃に大好きだった野球が怪我で出来なくなった時、目の前が真っ暗となって立つ事もままならない程の鬱になった経験があるので。
その時の経験が一瞬フラッシュバックして蘇った中で、色々考えてみた結果の「なにもない」という答え。
親や友達からの近くに寄り添われるとか、励ましの言葉をかけられるとか、そんな気持ちすら当時は受け入れられずに、ただ椅子に座って一日が過ぎていく。
何もかも遮断した中で考えていた事は「無」であって、膝を丸くして椅子の上に体育座りをして無の時間を過ごす。
健康的には悪い事かもしれないけど、精神的にそういう時間が悪い事だったのかは僕にも分からない。ただ、こういう時間があったからこその今の自分だとも思っているので、変な倫理観にとらわれて無理やり心身をねじ伏せ鬱に打ち勝とうとしないでよかったと、僕はそう思っている。
鬱の頃だった自分も今の僕の中に生きてるわけで、ちゃんと存在を認めてあげる事が出来るようになった。
夢を失っただけで、けっして悪い奴じゃないんだから。

僕には爺ちゃんがいて、彼が大きなきっかけとなった。
決して大げさに鬱の僕に近寄ろうとするわけでもなく、何気に「スペイン行くか?」とぼそっと誘ってくれた事が、行動に移せた要因なのかもしれない。

部屋に閉じこもっていた日から一歩外に飛び出したときの空。
今でも忘れられない。
太陽の光が「眩しい」という感覚はあまりにも強烈で、ほぼ感情を失っていた僕の中に苛立ちみたいな感情を湧き上がらせた。
だから外に出た時の「ちっ」と舌打ちすると、そんな僕を見つめる爺ちゃんの顔は眩しすぎる太陽の光と重なって鮮明に覚えている。

スペインへ。

なぜスペインに連れて行ってくれたのかは今もわからないが、あまりにも衝撃的な存在がそこにあった。何の知識も興味も持ってなかった建物。あまりにも大きな創造性の塊の様なその建物は、僕の領域を遥かに超えてまるで無なものでしかなかった。が、生誕のハザードという場所の前に立つとそこから動けなくなる。なぜ動けなくなったのか、なぜ体全身を貫く衝撃が走ったのかはハッキリ言って未だわからない。足から頭の先までドキドキと何かが誕生する様な感覚に包まれ、その後にはもう無だった感情が爆発する様に爺ちゃんの胸元にしがみついて泣きじゃくっていた。野球が出来なくなって悲しかった事も悔しかった事も、それをすべて無にする事しか出来なかった僕の中に、悲しさも悔しさもいつまでも抱えていた僕の存在が生きている。「そんな存在がお前の中に生きてるんだよ」と教えてくれたのかもしれない生誕の門。

爺ちゃん

サクラダ・ファミリア。
もうそこからは虜となり、僕の目的の連続の先にある夢として輝く大きくて時間と創造を超えた宇宙の様な存在になったのも爺ちゃんがいてくれたからこそ。
生きてるという実感が感情となって涙となったのかどうかはさておき、10代になって泣く事も無かった僕が泣きわめく中で、いつまでも寄り添って胸を貸してくれた爺ちゃんの優しい顔といったらもう。
本当に死んでいなくなったけど、今でも大好きで素敵な人で、僕にとっていつまでも生きてる人。

友達へ

友達が鬱になったと聞かされ何もする事は出来ないけど、僕としては何もする必要も無いと思っている。
出来るとすれば、こんな感じで話を聞いてくれたらいい。
いや、聞かなくてもいい。
ただ、僕にとっての爺ちゃんの存在があった様に、何か自分の中に生まれてる自分の存在を感知するきっかけになってくれたら嬉しいな。
そう思って、つらつらと自分の過去を改めて思い出しながら書いてみた。

時間は限られたものであるかもしれないけど、一瞬一瞬を積み重ねていれば、決して限られたものでないと思う。
だから焦る必要も無いし、ゆっくり休むときはゆっくり休めばいいと思う。
その一瞬の積み重ねの先は誰にも分からないのだから、そんな時間に縛られる事なく、無である事を自覚しながら流されるのもいい。

いつの日か、また僕の大好きな笑顔のお前を待っている。
いつか日本に帰って、また大好きなライブに一緒に行こうと僕は思っている。
お前の好きなBiSHの作品を見せてもらいたいし、僕のファンである松井玲奈さんの舞台とかを一緒に観に行こうとも思っている。
今はただそれだけ

夜空へ

夜空へ星空へ
跳んで飛んで落ちて堕ちて

羽ばたいておちておちておちて
星にぶらさがりもいちど
彼方へ
星の
あなたへ

という高畑耕治さんの「銀河、ふりしきる」という詩を最後に、今回はこれにて。
ここからまた書くかどうかはわからない。
一瞬の先なんて僕にも分からないので(笑)




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?