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読書Vol.1

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本を読む。

小さい頃から兵庫県の実家から京都にある爺ちゃん婆ちゃんの家に行くと、書斎にズラッと並べられてる本。
その空間が好きで、難しそうな本だろうが何だろうが片っ端に手にとって読みふける。
特に好きだったのが、シャーロック・ホームズやアガサ・クリスティーなどの推理本。読んでは空想の中で犯人像をあれやこれやと模索したりする幼い頃を過ごしていたので、今でも本を読んでおるわけです。
そんな幼かった本好きな童も、とうとう今月12日を迎えまして30歳に。

「われ童子の時は語ることも童子のごとく、思ふことも童子の如く、論ずることも童子の如くなりしが、人と成りては童子のことを棄てたり。」なんて話とはまったく関係なく、30歳だろうが何だろうが感覚は変わらない。
これまで通りに本好きな男は本を読むというわけで、兄貴から誕生日プレゼントに贈られてきた今回最初にこのnoteで紹介する本。それが

「累々/松井玲奈」

まだ発売して間もないので、詳しい内容はネタバレになるかと。だから内容にはあまり触れず。
この本は、短編的な物語を重ねて最終的に複合体から集合体になる、という構成かと。
タイトルには「1小夜、2パンちゃん、3ちぃ、4小夜」とあり、男女の関係を立場に沿って展開させていく。

結婚に悩む女性、浮気をしている女性、パパ活をしてる女性、恋に夢中となる女性。
様々な女性と男性の、その時その時の考えや判断やらを心理描写もうまく使い表現しているので、読み進めているうちに「あの時の感情はこう繋がるのか」と驚かされると同時に、もう一度読み返してみたくもなる。
読み返したりしながら最終章に進む。
不安、疑心、嫉妬、妬み、憧れなどなど様々な感情が人間と人間の間に生まれていくけど、「それも人間だからこそだよな~」なんて読んでると思うわけで。

「沈黙していたために解雇された人は、これまで一人もいない」なんてとある学者が言っていた。
黙っていたり行動しないでいれば、様々な悩みを抱く事も無いわけだが、この本に出てくる人物は、みな行動するし意見もしっかりと言う。だからこそ芽生える感情がたとえ痛々しく感じたとしても、人間と人間の間に生まれた感情だからこそ、「マイナス」や「0」には僕は思わなかった。その時の関係性は失ったとしても、自分の中にあるモノを外に出した時点で、何かが積み重ねられてる。一見一期一会の関係に見えて、どこかでまた別の形で再会するかもしれない。もし再会したとして、「次にはどういう立場で再会するのだろうか?」などなど読者として想像を湧き上がらせるのも、ちゃんと人間同士の関係を感じさせてくれたからこそ。

どんな関係であれ、人間同士の積み重ねから生まれる感情。そこから生まれる物語。物語は無関係から生まれるわけがなく、関係を築こう、繋げようとする人間の想いから生まれてくる。逆にそれらを壊そうとするのも物語だけど、壊すも建てるも積み重ねないと生まれない。
それが本のタイトルの意味なのかは分からないが、僕はなんとなくそんな事を感じながら本を読み終える。

松井玲奈さん。

この本の著者の松井玲奈さん。
アイドル時代から応援していた人で、知ったきっかけは、僕が韓国に2週間ぐらい建築の勉強をしに行っていて、そして日本に帰ってきた時。
家に着いて、あまり普段はTVは見ないけど、日本を感じたくなったのかたまたまTVを付けたら「マジすか学園」というドラマがやっていて、そこに「ゲキカラ」という役で出ていたのが松井玲奈さん。

第一印象は「なんだこの人は?」と、AKBとかまったく知らない中で衝撃を受け興味を抱き。
「ゲキカラみたいなキャラを演じるのだから、普段は明るく表現が好きな人なんだろう」と思っていると、人見知りで楽屋に一人隅っこにいる。無口でTV番組に出てもほぼ発言もしない。
ここまで想像外の人は初めて見たので、興味がどんどん高まっていく。
科学者が発見した時に「なんだこれは」がつきものだが、それと同じ感覚に近いんだろう。
「なんなんだこの人は」の始まりから、大人しくよく泣く一方で、めちゃくちゃ熱く我武者羅な一面もあり、好きなモノに対して真摯に向き合い高めようとする姿を見ていくと、いつしか尊敬という想いも感じる様になり、ファンになっていたと。
今も応援する形は日本にいる頃と変わってしまったけど、ファンとして作品を楽しんだりしておるわけで、それはこれからも変わらないのだろう。
作品を通して頑張ってる姿を見ると「よし僕も!」と思わしてくれる人なんだな。

ちょっと気持ち悪い事を書くと、一時本気で好きになり「いかんいかん!」「会えるわけがない!」を繰り返していたのも懐かしい話だが、そんな20代を過ごして30歳。
「オヤジ」と言われてしまう年齢に入ったけど、変わらずオヤジファンとして、これからも作品を楽しんでいこうと思っとるわけです(笑)

最後に。

まだまだネタバレしちゃいけない時期の本なので、ザックリと読後感を書いてみた。
シーンとシーンの移り変る構成で「粗削りだな」と思う部分もあったが、それは伸びしろ部分だと思う。
まだ松井玲奈さんは小説を書き始めて間もない中、これだけ人間の心理描写を表現できる。
そしてまだ成長できる可能性も無限大にあるわけで、これからも本を出す事を楽しみにしてるし、どんな世界に連れて行ってくれるのかワクワクと。

大好きな新たな書き手さんの出版のお祝いと一緒に感謝を込めて、そろそろこのnoteを閉じさせてもらいます。



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