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いつから自然環境より人工環境が卓越するようになったのだろう。

 都市に住んでる人は思い出してほしい。地面の何%が人工物で覆われているか。空の広さは何ラジアンか。生命力溢れる動植物は身近に見つけられるか。

 僕は知らない。この町がどのようにこうなったのかを。見たことがない。元から建物が乱立し、どこでも人間がいて、囲い込まれていることに気がついていなかった。むしろ田んぼが一面に広がり、野山が身近にあるような田舎が現代に存在していることを知ったときかなりの衝撃を受けた。かなり幼かったけれど、鮮明に覚えている。
 
 若い人が都会の記号である東京を目指したがったのは昔のお話。今はその窮屈さや複雑性に辟易してしまった人も多い。一種のオリエンタリズムという批判は受け容れたい。しかし、知らないのだ、自然というものを。

 昔はどこでも都市が小さく、殆どが田舎だった。田んぼは至るところにあった。農生活が普遍だった。およそ40、50代位までは野山で駆け回ったり、校庭で放課後に遊んだ人は大阪府や東京都でも結構いる。人工的なものでほとんどが完結する社会はごく最近のものだ。
 
 だから、身近に川や海ら竹やぶがあっても遊べず、遠くの行楽地まで行くというのは違和感がある。その便利さに享受しながら言うのは我儘だとはわかってはいるが。
 
 やっぱり身近に自然があってほしい。動物を見たい、自然を手軽に享受したい。そういう都市づくりがこれから数十年で広がっていってくれたら嬉しいなと思いながら、窓の外を眺めて見る。