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ファ年玉だ!!


-結論、ビスケットブラザーズは、"ジブリ"だ。


(レビュー)


作家の津村だ!

今回は、昨夜行われ、担当もさせていただいた、
ビスケットブラザーズ単独ライブ「ファ年玉」について、書かせてもらおうと思う。


ビスケットブラザーズ第10回単独ライブ
「ファ年玉」【大阪公演】
2022.1.22     よしもと漫才劇場


2019年はキングオブコント決勝、2020はytv優勝、
2021はNHKの頂に。
着実に、轟々と階段を駆け上がる彼らの、10回目の
単独公"宴"。

ルールやセオリーに縛られず、自由で大胆に
他者を薙ぎ倒すその姿は、
まさに、2人の旧コンビ名"暴れ人"がよく似合う。

そんな彼らの単独ライブは、
いつも"ファ"ニーで、"ファ"ンタスティック。
ちょっと悲しくて、あったかい。
絵本の世界にいるような
村上春樹の文学に触れた様な
その正体が何なのか、ビスブラが生み出すエンターテインメントに一番近いもの

それが"ジブリ"なんじゃないかと、
10回近くで見て、ようやく辿り着いた結論だったのだ。


その詳細を見ていこう。

(ネタタイトルの一部は、正式タイトルを知っている
上で、ネタバレを防ぐため意図的に変えております)

1 持って帰り

→水道管工事の作業員は、帰りがけ、家主の婦人に
呼び止められて…

…1本目から、濃いめのビスブラ!
変な人しかいない、変な時間。
10回目の単独ともなると、開始2分で委ねるんです。
"ようこそ、どうぞ各々で突っ込んでください"と。

椅子のくだりなんか痺れたよなあ。

2 タカユキ

→少年は、夜道、奇妙な男と出会う。

…このネタ、シンプルなんだけど、単純じゃない。
原田が演じる"変な奴"って、何故か深いんです。
俗に言う"変なやつ来たー!"の変な奴じゃない。

原田:奇妙男×きん:少年
というビスブラ必勝パターンの上に、物語性も
潜んでいる、非常に"強い"コントだ。


3 待つ男

→部屋でイチャつくカップル。彼女が仕事で3日間会えなくなることになり…


…かなり実験的なコント。過去に「ステーキハウス」
という実験的な作品があったが、それを超えた前衛的な笑いに挑んだ意欲作。

おそらく、オーディエンスはここで
このライブが、お笑いコントライブの器を
だくだくに溢れはみ出したエンタメだったと目を見張るだろう。

そして、2人がカップルやるたび思うけど、
イチャイチャが毎回、キモ上手すぎるよね!!
きんちゃんってどうしてあんなに可愛い女性が
できるんだろう。そこだけでも絶品です。


4 祭りの夜

→祭りの夜、少年は同級生をある話を聞いてもらうため呼び出していた。


…純情は時に悲劇を生む。
文学的な面白さ、これはなかなか他のコンビには
作れないし、作れたとしても、演(や)れない!

"ごっつ"の伝説コント、「カッパのおっさん」に通じる
大人がノスタルジーを愉しめる嗜好のコントだ。


5 熊と神様

→神様は熊を連れて、街に下りるのであった。

…ある意味潔い、芸術性の高いコント。
悲しさとおもろさの絶妙なバランス。


6 ミラーボール

→50周年を迎えるBarには、その歴史を支えた存在がいた。

…僕が今回1番好きだったのはこのコント。
壮大なある"仕掛け"がドラマチックを加速させる。
原田演じる"マリーさん"、本人も終演後に話していたが、東京公演を経て、マリーさんが入り過ぎて、
色気が出すぎたぐらい出ていた。
ラストシーンは、演出も相まって、涙が出るほど。

7 おファな見

→少年たちは、賽銭箱にお年玉を入れ、願いを祈る…

…ブリッジVTRで進められる、それぞれのコントを
踏襲した物語がここでひとつに。

公演時間がすでにだいぶオーバーしていた為、多少駆け足になってしまったのが残念ではあるが、
ビスブラ単独のラストはいつも、心を温める良い時間。
毎回袖にいるけど、いつも良い時間をありがとう。


ああ、やっぱりだ。
こうやって言葉にしてみたけれど、これじゃあ
単独の素晴らしさを全然伝えきれていない。

ビスケットブラザーズは、言葉じゃきっと伝わらない。

ビスケットブラザーズの事を、まだ気になるコンビの1組だという人には、是非彼らの単独ライブを観て欲しい。

言葉にならない魅力が、宝箱のように詰まっているはず。


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