私立ミドウ小学校ゲンゲ校長インタビュー【掌編】1,212字
本日は、兎道市にある私立ミドウ小学校におじゃましています。
なんでも、超画期的なイベントが行われているそうですよ。
ミドウ小学校のゲンゲ校長先生にお話を伺ってみます。
ゲンゲ校長先生、このミドウ小学校で行われている超画期的なイベントとは具体的にどういったものなんですかぁ?
「はい、ミドウ小学校で行われているイベントとはずばり、すごろくです。コマの代わりに生徒自身がマスを移動して行く人間すごろくなんですよ」
人間すごろく……ですか。確かに凄いですけど、あまり目新しいとは思えないのですが……?
「このサイコロを見てください」
わぁ、大きいですね! コマが生徒だからそれに合わせてサイコロも大きいんですね。
「そうじゃありません! 目をよく見てください」
目、ですかぁ? あっ、校長先生、今日お顔洗いましたか? 目ヤニが付いてますよ。
「私の目じゃなくてっ! サイコロの目です」
サイコロの目? 三があって……あれ? こっちも三、あれれ、裏も三だ! あっ、全部三の目です!
「そうなんです。このサイコロは出目によって生徒の進み方に差が出ないように全部の目を三にしているんです」
それは凄いですね! じゃあ、みんな三ずつ進んでいくんですね。
「はい。生徒たちは皆、平等に同じ数だけ進んでいくんです。これだけじゃありません。今度はすごろくのマス目を見てください」
グラウンド全部を使った大きなすごろくですね。全部で何マスあるんですかぁ?
「全部で百マスあります。マス外からスタートしてちょうど百マス目がゴールなんです。そんなことよりも、気付きませんか?」
えーと…白を基調とした、白くてシンプルイズベストな白いマス、ですね。
「ということは?」
えー……あっ、よくある「2個進め」とか「ふりだしに戻る」みたいな指示マスがないですね? 全部白いマスだ!
「そうなんです。そういったギャンブル要素があるものは教育的ではないので排除しています」
そうなんですか。じゃあ、生徒たちは三の倍数のマスだけに止まって進んでいくんですね。ん? ゴールの百マス目にぴったり止まらなかったらどうなるんですか。
「それはもちろん、余った数だけ戻ってもらいます」
ゴールした人は、いるんですか……?
「出目が悪くてなかなかゴールできなくても大丈夫です。救済措置があります。三の出目の中に一つだけ四の出目を混ぜたサイコロを振る権利を課金してゲットすることができます」
へぇ? それはそうと、夏の炎天下でこのすごろくをするのはとても暑そうですね。熱中症対策などはされているんですか?
「当然です。大切な生徒たちの安全には十分に配慮しています。飲み物や日傘等の持ち込みは禁止しているのですが、全て課金でゲットすることができます」
それじゃあ、安心ですね!
「全員強制参加リタイヤ不可なので、生徒たちが額に汗して頑張る姿が見られますよ。観戦料を支払えばどなたでも見ることができるので、ぜひ、ミドウ小学校にお越しください」
現場からは以上です!
爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!