六つ目の忌むべき存在【真実?】1,940字
前話を読んだ前提で話が進んでおります。お手数ですが未読の方は『六つ目の忌むべき存在【な謎解き】』からどうぞ。
猿毛君の話を聴いて私なりにこうじゃないかという結論に達したので、こちらでシェアしたいと思う。
あくまでも私の推測であり、これが真実であるという確証はないのでご容赦いただきたい。私は専門家ではなくただの一般人であることも留意しておいてほしい。
まずは彼の話の中で私が重要だと思ったポイントをまとめてみる。
まず、私の推理を述べる前に猿毛君の考えを振り返りたい。
数代前の神主は六つ目の忌むべき化け物の部分が「人」であることを憂いて、その箇所を破いてしまった。
確かに面白いと思う。創作話としてはありかもしれない。しかし、実際にそんなことを理由に代々保管してきた巻物を傷つけるだろうか。
私は、神主にとって都合が悪い、気持ちの悪い、そんな記載があったのではないかと推測した。神主または神主の家系にとって。
神主の家系も落ち武者の流れを組むらしい。そして落ちてきた者たちの中では二番目に偉かった。
一番偉かったのは誰だろう。
巻物と一緒に社に祀られている、「偉い人の身体の一部」という箇所が気になった。私もそれほど詳しいわけではないが、祀られている人間の中には不幸な最期を遂げた者も多いと聞く。まして身体の一部のみ。
一番偉かった武士をこの祀られている人物、二番目を神主の先祖と考える。猿毛君はお爺さんから、猿毛君の先祖は「何とか様の二番目の家来」と聞いた。猿毛君はどちらも二番目で矛盾していると考えたようだが、そうだろうか。
神主の先祖も猿毛君の先祖も、何とか様の家来だと考えてみよう。そうすると、神主先祖は一番目の家来であり、猿毛先祖は二番目の家来ということになる。一番目の家来だとすると、つまりは二番目に偉いとも考えられるためここに矛盾はない。
もう一度、巻物に記された「六つの忌むべき化け物?」を見てみよう。
猿毛君は、自身と関係がなかったと考えたようであるが果たしてそうだろうか。このサルは猿毛のこと、つまりは猿毛君の先祖の武士のことではないだろうか。こう考えると、必然的に残りのクモ、ジジイ、ヘビ、キツネも特定の人を指しているのではないかという答えに至る。
ここでお爺さんの家系のことを思い出してみよう。
記録には「先祖は八つの武器を振り回して戦った」とあるらしい。実際に八つも使えたのかという疑問はさておき、お爺さんの先祖はそう評されていた。猿毛君はタコみたいだと形容したが、私は違うものを連想した。
タコと同じ八本脚の生き物。クモである。
サルとクモが揃った。これは偶然か? 猿毛のサル、八つの武器で戦うクモ。残りのジジイ、ヘビ、キツネも該当武士の特徴を表しているのではないだろうか。
例えば、ジジイはそのまま老武者、ヘビは狡猾な性格、キツネは細目といった具合に。
お爺さんは猿毛君の他、三人の子供にこの話をした。この三人とはジジイ、ヘビ、キツネを先祖に持つ子供たちだったのではないか。
数は合っている。「六つの忌むべき化け物?」に現時点で記されている五つの存在。それでは、六つ目の忌むべき存在は何か。
数代前の神主が破りとった部分には何が記されていたのか。
神主の先祖を表す何かが記されていたのだと私は思う。当時の神主は六番目ではなく、一番目を破りとったのだ。一番目の家来であり、二番目に偉かった存在なのだから。
具体的に何が記されていたのかということはそれほど重要ではないだろう。
当時、どういった経緯があったのか、それはわからない。しかし、何とか様の命を六人の家来が奪ったのではないか。それを誰かが巻物に記した。名を出さず生き物等に置き換えて。
歴史から完全に葬ることはしなかったのは、罪悪感からか、祟りのようなものを恐れたからか。はたまた実際に……?
このことは村では禁忌として必要以上には広められていない。よそ者の私が行ったとしても教えてくれることはないだろう。
長々と語ってきたが、全て私の憶測に過ぎないのであしからず。
ジジイ、ヘビ、キツネについては情報がなく、サル、クモがそうであるという前提で話をすすめたようです。当然、細目だからキツネというのも仮の話です。別の理由かもしれません。当時、細目をキツネと形容したかなという疑問もあるかもしれませんが、重要なのはここではないのです。
六番目が何かという明確な答えも出ていません。しかし、それが神主家系を表す何かということさえわかればいいのです。
別の答えにたどり着いたという方はコメント欄で教えて下さいね。
爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!