1手詰から始めるフェアリー超入門 背面編1

前回は対面ルールを扱いました。

対面は、相手の駒と向かい合ったときに駒の利きを入れ替わるルールでした。

一方 背面 は、相手の駒と背中合わせになったときに駒の利きが入れ替わるルールです。

ルール

【背面】敵駒と背中合わせになったとき、互いに利きが入れ替わる。

例えば左下図のように23歩と打ったとします。23歩は玉の利きになるので王手になっています。一方、24玉は歩の利きになります。

右上図で、オレンジ色のマスが23歩の利き、丸印が24玉の利きです。23歩と打った手に対し、25玉とすれば王手を外せます。

背中合わせの状態が解消されたので、利きが元に戻りました。

対面ルールでは、王手に対し対駒する受けがありました。同様に、背面ルールでは背駒という受けがあります。

左下図は通常の詰将棋では詰みですが、背面ルールでは23歩と打って馬の利きを弱くする受けがあります（右下図）。右下図では、22馬は歩の利きになっているので王手が外れています。

下図のように、王手駒の後ろに攻方の駒があったり、王手駒が9段目だったりする場合は背駒される心配がありません。

また、入れ替わった利きを元に戻すことで王手を外す受けもあります。

左下図は22桂が金の性能になっているため王手です。しかし詰みではなく、35金として王手駒の性能を元に戻す受けがあります（右下図）。

このように利きを元に戻されても詰むためには、下図のように元々の駒の利きでも王手になっている必要があります。23金が動くと22角は金から角に利きが変わりますが、王手は継続します。

また、玉の背面に弱い駒を配置する詰みの形は有力です。例えば下図はともに玉が動けないため詰みの状態です。

補足

行きどころのない駒

性能変化系のルール全般で、行きどころのない駒の禁じ手は下記の通りと定めました。

• 一時的に動けないだけで動けるようになる余地がある → OK

• どうやったって動けない → NG（禁じ手）

背面ルールでは、行きどころのない駒の禁じ手はありません。下図の駒はみな、後ろに玉方の駒が来て動けるようになる可能性があります。

利き二歩有効／無効

性能変化系のルールにおいて、二歩について整理すると下記の通りです。

• 二歩は禁手

• 玉を取る手が二歩になる場合、

  • 玉を取ったことが優先される（利き二歩有効）

  • 二歩であることが優先される（利き二歩無効）

繰り返しになりますが、本連載では利き二歩有効とします。つまり、玉を取ったら二歩になる場合も王手です。

例題

左上図は11桂迄の1手詰です（右上図）。後手玉は11桂と利きが入れ替わっています。24玉と逃げることができそうですが、そうすると23歩と背中合わせになるため、23歩に玉を取られてしまいます。

1手詰 練習問題

以下はすべて 背面協力詰 1手 です。

解答は次回の記事に記載します。