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1手詰から始めるフェアリー超入門 キルケ編1

久しぶりの更新になりました。
今回は キルケ を扱います。

過去の記事は下記のマガジンをご参照ください。

ルール

【キルケ】駒が取られると最も近い将棋での指し始め位置に戻される。戻せないときは持駒になる。 戻り方等は以下の細則に従う。
1) 成駒は生駒になって戻る。
2) 戻り位置が埋まっていたり、二歩になったりする場合は戻れない。
3) 駒取り時、駒が戻るまでを一手と見なす。
4) 金銀桂香(成駒も含む)が5筋で取られ、複数の戻り先候補がある場合、駒を取った側が戻る位置を選択できる。

キルケは駒取りに関するフェアリールールです。

具体例を通して「駒取り」を確認します。

通常ルールの駒取り

詰将棋や協力詰などの通常のルールでは、左上図で33角成と指すと右上図になります。このとき、
1.33金が先手の駒台に移動する
2.24角が33に移動する(そして成る)
の2つのことが起きています。

キルケルールでは上記の1を変更し、下記の通りとなります。
1.33金が最も近い指し始め位置(=41)に移動する
2.24角が33に移動する(そして成る)

キルケルールでの駒取り

上図で取られる駒は後手の金なので、将棋の初期配置で後手の金が並べられる地点(41と61)のうち近い方(41)に戻ります。

上の例の指し手は 33角成/41金 と棋譜表記されます。「/」の後に取られた駒の戻り先を記載します。

3筋で金が取られる例を見ましたが、5筋で取られる場合は少し考慮が必要です。下図で金が角で取られる場合、初期配置の41と61は54の地点から等距離です。

このような場合、駒を取る側が戻り先を選択します。上図では、先手が金の戻り先を決めます。

54角/41金
54角/61金

また、戻り先が埋まっている場合は通常の駒取りになります。
左下図では41の地点が埋まっているので、33角成で金が取られると、金は先手の駒台に移動します。「41が埋まっているから61に移動する」とはならないので注意してください。

このときの棋譜は、通常通り 33角成 と表記されます。

左下図で金が取られた場合は、金は61に移動します。41の地点が埋まっていて、戻り先の候補が61しかないためです。一方、上図の場合はそもそも戻り先の候補が41のみなので、61に戻ることはありませんでした。

説明が後回しになりましたが、成駒が取られたときは生駒になって戻ります。

左下図で玉が龍を取ると、龍は飛車になって28に戻ります。28の地点は、将棋の初期配置で先手が飛車を並べるマスです。

同玉/28飛

次に下図を考えます。先手が68龍と王手を掛けた局面です。後手は同玉と取れるでしょうか。

もし玉で龍を取れば、龍は飛車になって28の地点に戻ります。

しかし、そうすると玉が王手にさらされます。つまり、龍は取れません。キルケでは、このように駒を取れそうで取れない局面が現れます。

しかも、68龍の局面で他に合法手が無いので詰みとなります。攻駒1枚で玉を詰ますことができます。

同様に、左下図も詰みの局面です。同玉と取ると、右下図になり王手を外せていません。

左下図も詰んでいます。取ると成香が19香と戻るので、王手が継続します。

左下図は歩で王手が掛かっていますが、これも取れません。

先手の歩は指し将棋の初期配置で7段目に並べられますが、16の地点から一番近いのは17の地点です。

戻り先が埋まっている場合は通常の駒取りになりますが、戻った結果二歩が生じる場合も通常の駒取りになります。

左下図で後手がと金を金で取った場合、と金は17歩とは戻らずに後手の駒台に行きます。

例題

左上図は 23飛成/11香 迄の1手詰です(右上図)。同玉と取ると龍が28飛と戻るので、龍は取れません。

キルケルールで取った駒が盤上に戻されるなら、最終手の駒取りが可能です。

1手詰 練習問題

以下は キルケ協力詰 1手 です。
解答は次回の記事に記載します。

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