攻方持駒1枚の裸玉点鏡協力詰(99手以下)
前回 の続きです。探索範囲を19手以下から99手以下に広げて機械検討を実施しました。
検討方針
・点鏡協力詰
・裸玉
・攻方の持駒は1枚
・3~99手
・左右対称のルールなので、玉位置は右側の45マスのみ
検討結果
19手以下で不詰だった8図が、99手以下では詰むようになりました。そのうち4図が完全作です。
前回、詰め上がりの形によって完全作を5パターンに分類しました。今回見つかった完全作4図は、すべて既知の手順・詰め上がりでした。
不詰の調査
99手以下でも不詰の43図を下表に示します。
玉位置に先手持駒を記載して不詰図を一覧にしています。
例えば、当然「19玉/持駒 桂 or 香 or 歩」は王手ができないので詰みません。
上の表で「44玉 or 54玉/持駒 桂」が詰むのが滅茶苦茶気になります。確認してみると、44玉:4解、54玉:2解で不完全でしたが手順は結構面白かったので紹介します。
44玉/持駒 桂
56桂、54玉、A 46桂、64飛、66桂、44玉、56桂、54飛打、46桂、※56飛右、54桂、68飛成、14飛、B 24金、同飛、43玉、42金 迄17手
A:66桂も可(左右対称)
B:実は金合以外も可
※ 64飛が桂の動きで56に移動する
点鏡ルールを大いに活用した手順で、最後はBの金合を奪って詰みとなります。
詰め上がり図で、42金は龍の性能、68龍は金の性能になっています。詰め上がり図で68龍が動くと42金は金の性能に戻りますが、元々金は後ろに利きがあるので王手を回避できていません。よって詰め上がり図で詰みとなります。
後ろに利きがある駒は飛車と金しかありません。飛車は品切れなので、Bの金合は限定合に見えます。
しかし、Bは桂合も可です。
56桂、54玉、A 46桂、64飛、66桂、44玉、56桂、54飛打、46桂、※56飛右、54桂、68飛成、14飛、B 24桂、同飛、43玉、42桂 迄17手
太字以外は前図と同じです。
詰め上がり図で42桂は龍の性能、68龍は桂の性能になっていますが、68龍は「8段目の桂」なので動けません。そのため42桂の性能を変えて王手を外すことができないわけです。
「44玉/持駒 桂」はAの2通りとBの2通りで計4通りの解がありました。
「55玉/持駒 桂」は44玉型の手順から冒頭2手を短縮した解となります。
信じられないほど安直ですが、例えば下図は完全作となります(つらい)。
点鏡の詰め上がりについて
ちょっとだけ気付いたことを整理しておきます。
点鏡ルールにおいて、大抵の場合詰め上がり図では
(1)王手駒は55の地点にある
(2)王手駒は55以外の地点にあり、王手駒と点対称の位置に駒がある
のどちらかが満たされる。
さらに、(2)で王手駒の点対称の位置にある駒が玉方駒の場合、
(2-1)王手駒が元の性能に戻っても王手が継続する
(2-2)点対称の位置にある玉方駒は動けない
のどちらかが満たされる必要がある。
点対称の位置にある駒が攻方駒の場合は気にすることはない。
つまり、持駒制限など特殊なケースを除けば、点鏡ルールの詰め上がりでは(1)と(2-1)と(2-2)のいずれかが満たされているはずです。
最後に
今回99手以下で検討したわけですが、不詰の43図はいずれもすぐに王手が途切れてしまうため(多分)、101手以上掛ければ詰むということはないと思います。
完全・不完全を問わず詰んだ図のうち最長の手順は23手だったことも合わせて、今回の検討で攻方の持駒が1枚の裸玉点鏡協力詰の完全作を網羅できたと考えています。
今後の方針としては、
・攻方の持駒の枚数を限定せずに、裸玉の点鏡協力詰を全検討する
(もしくは2枚、3枚と増やす)
・裸玉は一旦置いておいて、他の点鏡協力詰を検討する
のどちらかをやっていきたいと思います。
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