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読むシナリオ『 滅亡会議 』

俳優オーディション用に書き下ろしたシナリオです。下記よりダウンロードして、オーディションやワークショップ、演技レッスンなどでご自由にお使い下さい。

【『 滅 亡 会 議 』台本ダウンロード】
☆ 何かしらの形で発表されたい際には
  コメ欄まで、ご一報下さい。

【あらすじ】
1ヶ月後に小惑星が衝突し、日本が滅亡することが判明した時、 首相官邸では……。(上演時間:10分程度)

【出演】首相、秘書官、気象庁職員、官房長官
 ※ 全ての役、男女入れ替え可

『 滅亡会議 』の演技チェックポイント

ポイント①  情報量

冒頭は特に、敢えて情報量を多くしています。いつ・どこで・何が起こるのか?物語の大前提が伝わらないと、お客さんはその後の話に入って行けません。

台詞の中で、お客さんに重要な情報をキチンとインプットできるか?そのシチュエーションに入り込ませることができるか?が最初のチェックポイントです。

ポイント②  パス回し

まず、「このままでは日本が滅亡する」という緊迫した状況を作り出してこそ、間の抜けた・ズレた会話が面白くなる構造の台本です。誰が場をつくり、どこでハズすのか、ズラすのか?

実は、その設計図は台本に書かれています。そこを読み解いた上で4者のパス回しによって面白くしていく本です。

空気を作る、変える、新たな空気を持ってくる etc…その辺りのパス回しで、スタンドプレー俳優なのか、パス回し俳優なのか?を見分けることが出来ます。

ポイント③  キャラの肉付け

首相や官房長官はコメディリリーフとして分かりやすいですが、実は、気象庁職員と秘書官がどういう設定でキャラを住み分けるかが、物語を豊かにする鍵を握っていたりします。

例えば、首相はただのお飾りで、実際のところ秘書官が実務を取り仕切っている「二代目社長」と「番頭さん」のような関係だったら?とか。

台本に書かれていない人物間の関係値やキャラ設定で、物語はグッと面白くなったりします。台本の字面だけではなく、的確な役の肉付けをできるかどうか?も注目ポイントです。

実はそれぞれの色分けが「濃い」ほど面白くなる本だと思います。

ポイント④  描かれていないことを想起させる

台本の1場と2場の間で「会見」が行われたことは誰にでも分かりますよね。では、台本では描かれていないその「会見」は一体どんなシーンだったのか?お客さんに想起させるところからが2場のスタートです。

気象庁職員の"再現力"だけではありません。この台本は言わば政治家たちの「バックヤード」もの。つまり、ここで見せているのは「裏の顔」です。では、国民に見せている「表の顔」はどんなものなのか?を想起させる必要があります。

表と裏のギャップ、二面性を感じさせられる、演技の深みがあるかどうか?もチェックポイントです。

【EXポイント】 重い芝居を軽くできるか?

深刻なお芝居を、重たく演じるのって、実は簡単なんですよね。この台本は「人類滅亡」という深刻な状況の中で、深刻さを損なわずに、如何に「軽く」演じられるか? 深刻ゆえの可笑しみを出せるか?が、最重要ポイントだったりします。

この辺りは、芝居心とコメディセンスだったり、本人の持ち前のキャラクターだったりするので、技術でどうにかできる物ではなかったりもしますが・・・。

重たいシチュエーションで、重みを損なわずに、軽く演じられる。ソン・ガンホ的な俳優が増えて欲しいなぁ~と、個人的には願っております。

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