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映画『mellowメロウ』花を愛するやさしい田中圭

とても優しい作品でした。町家を利用したような、とてもセンスの良い花屋さんが舞台です。街一番のおしゃれ花屋の店主を演じるのは田中圭。子供の頃から花が大好きで、本当に花を愛している丁寧な仕事ぶりに信頼と好感が持てました。やさしい穏やかなキレイめ田中圭を堪能できます。

「愛がなんだ」「his」の今泉力哉監督・脚本。2020年製作。Amazonプライムビデオで鑑賞。

主人公の夏目誠一(田中圭)には行きつけのラーメン屋さんがあって、そこは女性店主の古川木帆(岡崎紗絵)が一人で切り盛りしています。父親から代替わりしていて、もうラーメン屋は廃業寸前です。

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おしゃれな花屋の男性とラーメン屋の女性。花に囲まれた男性と湯気まみれの女性。どちらも、真剣に仕事をしていて店主でがんばっている。この設定がすごく良いです。

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木帆は夏目に好意を持っていますが、伝えてはいません。

「花が恋人」(独身彼女なし)なんてことを自然に言う夏目は、自分からは仕掛けていないのにかなりモテます。夏目の優しさは、人の心に寄り添ってイタイところをよしよしするような優しさです。表面的には不器用そうです。これはモテるでしょう。

花屋の顧客の人妻(ともさかりえ)にも夫同伴で告白されるシーンがあります。ここは前代未聞の告白シーンじゃないでしょうか。ともさかりえも、そのセリフもすごく良くて、こんな場面があるから今泉監督の作品は魅力的です。

木帆のラーメン屋は廃業することになり、その最後の日、お客さんひとりひとりに一輪のばらの花をプレゼントすることに決めました。

ばらの花は夏目が心をこめて用意したものです。

ラーメン屋さんから普段花など買わないような人たちが出てきて、でもちょっと嬉しそうで、街に花がひろがる様子がとても良かったです。

廃業後、ずっと思ってきた建築を学ぶ夢のために海外留学する木帆。

旅経つ前に夏目に手紙で思いを打ち明けます。

夏目と木帆のこれからについて、映画では語られません。

どのような結果でも、夏目なら木帆を苦しめるようなことはしないでしょう。

と、思ってしまうほど、人の心に自然に寄り添う夏目なのでした。


この作品は夏目のモテ話だけではもちろんなく、学校に行きたくない姪っ子や、中学生女子たち、木帆の父親、いろいろな人物のエピソードがあります。登場する人に悪人はひとりもいませんでした。

だからこそ、人妻ともさかりえの告白がスパイスになっているのでしょうか。

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