見出し画像

畑とわたし

「一輪車って、あの?バランス取らないと
よたよたしちゃうじゃん」
そうだよ、あの一輪車(猫車)だよ。あのね、
私も畑の野菜を収穫しました、はい。家に運びます、って最初はバカみたいに両手に持って何度も往復したの。でもさ、そんなの効率悪いじゃん。
そんで倉庫を見たら!!!良いものあるやん!って召喚したの。  
「いくら田舎でもさ、今どき一輪車押して畑に行くオバサンいないよ。みんな軽トラ乗ってるでしょ」だってさ、軽トラのクラッチ踏んだら足が滑って
こわくなったんだもん。なんか3つとも(アクセル、ブレーキ、クラッチ) 宙に浮いてて感覚が掴みづらいのよ。だから坂道発進まじ、無理だよ。と、
軽トラは運転出来なくもないけどコワいから
なるべく運転はしたくない、と力説しているのに
ポテコは今どき一輪車?!あははは、と
大爆笑していた。
さて、私が家の畑に立って作業をするなんて何年…
なんてもんじゃなく何十年ぶりだろうか。 
うちは農家さんじゃないのでささやかな畑だが、
そのお隣のポテコんちはきちんと列を成した茄子、胡瓜が育っていて、西瓜がゴロゴロ実を大きく
している。
そーいえば…。私もポテコも小学生の時はポテコんちの畑のお手伝い(ポテコんちは農家さんなのだ)をして「りぼん」を買うお金をためていたな、などと思い出した。

 こどもの頃……。小学生までは田畑とはそこそこ
近しい関係だった。こどものできる範囲の
田植えや稲刈りの手伝いをした。
しかし、中学生になると思春期のイライラもあり…。私、お米食べないから稲刈り手伝わない!
「お米食べなかったらどーするの!!」
と激怒の母にえっ?パンがあるじゃん、って。
「じゃあそのパンは誰が買うの?」って話だけど。。  
そんなこんなで10代が加速するにつれて田畑とは縁が薄くなり20代になるとウォーキングの時に
田畑のある道を通るだけだった。                                         そして30代になり当時、青梅市の病院に勤めて
いた頃、職場のボスが病院の土地を活用するため
だか、なんだか大人の事情は分からないけど、畑を開拓しはじめた。
いつも昼休みは外へ出て川やら梅林やら裏山へ
短歌のネタ探しに出てたので興味本位で開拓し始めた畑にも遊びに行くようになり、それからその流れで畑のお手伝いをするようになった。
 正直、自分ちの畑の手伝いをしないクセに職場の畑の草むしりやら草むしりやら、とにかく夏場は、むしってもすぐに草が伸びてくるので草と格闘していた記憶は今も残っている。
(もちろん畑仕事は勤務時間外にしてます)
でも、畑で採れた野菜、茄子もきゅうりもゴーヤもどれも美味しかった。(手伝ってたから野菜を
もらえた)
何より、色んな種類のひまわりの種を蒔いて育てたこと、あの(職場の)畑からはたくさんの歌が生まれたから結果オーライ、としている。
(当時をめちゃくちゃ大掴みに書いたのでこの頃の話はまた別の機会に)

 しかし、しかし。実家の畑の手伝いをしないのに職場の畑の手伝いをしているなんて母にはなんだか言いづらくて(母は私がひまわりを育てていたことは知っている)はっきりとは言ってなかった。

それから30代後半で青梅市を離れてからは
畑とは縁がなかった。                                    

 今回、母の怪我をきっかけに私も畑に足を運ぶ
ようになり母の退院後、7月の終わりにじゃがいも掘りをすることになった。
 じゃがいも掘りは任せろ!お母さんはどうせ畑が気になって家で留守番なんか出来ないだろうから
樹の下で休んでて良いからね。などと調子に
乗って言うと
「えっ?じゃがいも掘りなんかしたことない
じゃない!!」いや…前職である。
(それも何回も)
声を小にして答えながらのじゃがいも掘り。                

 肌の出るとこには日焼け止めを塗り込んで
登山用ハットに長袖シャツを着ても畑に立つと
これは意味ないな、と諦めた。
 はじめは母が右手だけで備中鍬を土に入れ、
サクッと起こしたとこから出て来るいもを
ここほれワンワンとばかりに掘っていたのだが、
どうやら蟻の巣があったらしく軍手と長袖の隙間
から入り込んだ蟻に両腕を襲撃され、
ふぎゃー!かゆいよー!と叫んでいると
助っ人の叔母さん夫婦、それから通りがかった
近所のご夫婦も手伝ってくださることになった
(感謝!)
 ぬっ、もしかしてこの畑に立つ方々は平均年齢
80歳なんじゃ…(叔母さんと母は70代だけど) 

 世の中では中年のわたし、だけどここじゃ、
年齢半分じゃん! しかもうちの畑だもんな。
もう誰よりも動かねばならぬ。
 ここから私の掘る、掘ったいもをコンテナに
入れる、あっ。いもを入れたコンテナ重いな。
これは(ここでは1番若い)私が運ばねば…と
コンテナをよったり軽トラまで運んでから、
全集中でコンテナを持ち上げて荷台に積む。
(ヘタすると腰がやられそう)
 このとき、シャカリキってこういう事かもしれ
ない。明日、筋肉痛になるかもしれんが、
わたしシャカリキ!と言い聞かす。 

 自分ではこのコンテナを空けた方がとか、畑を見渡して動くんだけど、畑仕事には畑仕事の動き、ってのがあるらしく母に「もう、何してんのよ」とか言われるし。みなさん慣れた動きでさくさく作業をしていた。 
 それから無事にじゃがいも掘りを終えたので
着替えて、のらのら軽トラを運転して
セブンイレブンに行くとロックな感じの都会の
お兄さんお姉さんが沢山いた。
そうか、今日はフジロックか。
登山用ハットにビールTシャツ
(ケツメイシのツアーTシャツ)だけど私は苗場には行かないよ。
軽トラはコワいけど練習がてら、のらのら乗ることにしている。
はぁ、農道のポルシェ乗りこなせるように
ならないとな! 
(そういえば、筋肉痛にはならなかった)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?