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山行ルートを変更するということ

2022年5月、天子山地最高峰、日本二百名山の毛無山登山を計画した。富士山の裾野に広がる朝霧高原登山口から、金山沢沿いの登山道を地蔵峠まで登り、そこから稜線を毛無山へ。下りは、山腹に付けられた登山道を下る日帰りの周回コースである。朝霧高原から金山沢を見上げると、沢というより、標高差1000メートルの滝のような趣きだ。登山口に着く前から、やる気満々で、アドレナリンが体内を駆け巡る。

登山口から取り付いて、しばらく行くと沢がらみの登山道と山腹登山道との分岐がある。沢がらみの登山道は崩落個所があり、危険を承知で行くなら行けと看板が出ている。迷わず沢コースへの進路をとるが、沢との出会いで、驚いた。昨日の大雨で、沢が増水している。轟音を立てて流れ落ちる沢の渡り返しが山頂までの4時間近く続くと思うと、迷いが出る。渡渉失敗は重篤な事故につながりかねない。特に今回のパーティは沢渡渉に不慣れなメンバーもいる。

うーんとうなって、沢コースからの撤退を決めた。日が長い初夏のベストシーズン、できれば往復同じ道での登山はおもしろくないので避けたかった。山頂付近で出会った毛無山登山道整備に携わるボランティアに話を聞いたところ、沢コースは渡渉点は数か所だけで、危険個所にはロープが張られ、登山には問題はないということだった。行けば行けたのかもしれない。

とはいっても、登山道には、珍しいサクラソウや、コイワカガミ、シロヤシオ、ムラサキヤシオツツジが咲き、山頂では、マメザクラが満開。往復同じ道でも、十分充実した山行になった。

今回に限らず、予定を組んだ後で、山行ルートを変更することはある。天候、当日になってのメンバー構成の変更、登山ルートについての新情報、バリエーションルートで地形図をにらんでいて、こちらが正しいルートどりだ!と前夜に気が付くなど、いろいろな理由がある。

これまで自分が山行リーダーに、どれほど多くを負わせてきたのかをひしひしと感じる日々である。

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