初夏の白毛門

4時過ぎには明るくなる夏至の日曜日、早起きをして初夏の白毛門(しらがもん)に登る。上越線の土合(どあい)駅の北側にそびえる山だが、一度聞くと忘れられない山名だ。

駅から山頂まで3時間半ほどだが、ほぼ一本調子の急登が標高差1000m以上続く。湯檜曽川の対岸、谷川岳の大岩壁には雪渓が残っているが、ブナの森を抜けて稜線に出ると、初夏の高山植物が出迎えてくれる。

大きな葉に可憐な黄色の花をつけているオオバミヤマキスミレ(大葉深山?すみれ)。クモマニガナ(雲間苦菜)は、金色に輝くものと、白変種、2色が満開。アカモノ、ミヤマリンドウ、ウラジロヨウラク、ミヤマキンバイ、モミジイチゴにマイヅルソウ(?)、山頂近くの笹原にはオオカメノキ(ムシカリ)が咲いている。

オオカメノキは、紫陽花に似た装飾花に取り囲まれた中心に小さな両性花がまとまって咲いている春(標高の低いブナ林に咲く)・初夏(雪に磨かれて笹しか生えない稜線にしぶとく根付いている)の様子も良いが、草紅葉の季節、紅葉した葉と鮮やかな赤い実に黒色に血の色を溶かしたような暗赤色の実が混在したすがたも素晴らしい灌木だ。

このコースは、白毛門山頂から引き返さずに、湯檜曽川の集水域をめぐって、谷川岳までU字型に稜線伝いに歩ける。テントや食料、水を背負って、急坂の上り下りができる体力があれば、雄大な景観と花々に囲まれた一泊二日の充実した山旅が楽しめるだろう。

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