大きな富士山を見に行く

 富士五湖の一つ、本栖湖畔に駐車して、山梨百名山の竜ヶ岳へ。竜ヶ岳や雨ヶ岳に登るには、静岡県との県境にある根原から端足峠経由のルートがあるのだが、今回は、山頂直下の雪渓に僅かな雪を残すのみとなった大きな富士と、駿河湾まで広がった大きな裾野、その向こうの美しい西伊豆の海岸線までを眺めながら歩ける本栖湖畔からのルートを選択した。

 湖畔からは、直登するルート、湖岸の県道を1時間ほど歩いて、端足峠経由で登るルートもあるが、晴れていて眺望が望めるときには、湖畔・笹原ルート以外の選択肢は考えにくい。木々が葉を落とす12月以降だけではなく、周年で、膝までの笹原を木立に邪魔されることなく雄大な富士と相対して登ることができるのである。

 青木ヶ原樹海を濃い緑と萌黄色が美しい色合いで紡ぐ裾野から、視線を上げていくと森林限界を超えて、くろぐろとした富士が目の前に座っている。
この山は、下山も楽しい。端足峠から本栖湖へ下りる途中には、イタヤカエデの巨木の森がある。この森を降りきると、湖畔につながる平地になるが、湖畔までは距離があり、予想外に大きな平坦な森のなかで踏み跡が消える。地形図と磁石がないと、道迷いする。

 広々とした湖畔は人がおらず、ところどころに地元の人が釣り竿をたれている。駐車場までは、大きな岩を乗り越えながら湖岸の水際を歩く。砂浜が途切れると、森の急傾斜からいきなり水際なので、大岩を水に落ちないように乗り越えながら進むのは、ちょっとした冒険者気分だ。

 標高1500m足らずの山なので、盛夏にはおすすめできないが、3シーズン楽しめる竜ヶ岳、富士を最も近くで拝める日帰りのピクニックにはうってつけの山だ。

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