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横目に見ながら走らせてくれ #9


僕はなまけ者でして、野球の自主練とか嫌いでした。
テスト勉強も嫌いでとにかく1人で何かに向かって努力し続ける事ができないのです。 

でも運動会とかで横1列に並んでヨーイドン!で走るとなると燃えるのです。同じところからスタートするなら言い訳はできない、だったら負けるよりは勝ちたい!って思う。


わかるーって人多いんじゃないでしょうか?


人生においてこのヨーイドン!のタイミングが皆さんにも何度かあると思います。 僕は3回ありました。 

ホントは生まれた瞬間が1回目なんですがその時はヨーイドン!を意識してなかったので自分の潜在能力はこんなもんだろ、並の中の並、そんな感じで19歳まで何の情熱もなかったしとにかくやる気が無い男でしたのでノーカウント。



1回目のスタートの合図は美容学校の入学と同時に聞くわけです。

クラスメイト45人が全く同じ技術レベルで入学してくるので先程も言った様に同じところからスタートするなら言い訳はできない、だったら負けるよりは勝ちたい!って思った。

無気力な奴でも隣で練習している人には負けたくないから不思議と頑張っちゃうんですね、それでも元々手先が器用な人は何人かいて1番にはなれなくてイライラしてたのを覚えてます。



そして2回目がサロンに入社した時です。

ここでも美容学校を卒業したばかりのスタートラインが同じ同期14人がいてシャンプーの練習からケンカと嫉妬をしながらも一緒に頑張る。2週間で3人が辞めて1年で半分ぐらいが辞めて5年後には僕を含めて3人だけでした。

その同期に限らず他のサロンにも当然同い年の美容師仲間が沢山いて「Aサロンのあいつはもうお客様のカラーを塗ってるらしい」とか、「Bサロンのあいつは3年でデビューしたらしい」とか、「Cサロンのあいつはデビューの初月で売上100万超えたらしい」とか、「Dサロンのあいつは店長になったらしいよ」とか常に横か少し前に「〇〇のあいつ」がいるんです。



3回目はNYに来てから。

ここでは年齢や職種は違うけどNYに来た時期が近い人が同志になるわけです。

ここでも「あいつはまだ来て2年なのに英語上手いよなぁ」とか「あいつアーティストvisaとれたらしいよ」とか「あいつVOGUE の撮影やったらしいよ」とか「あいつ事務所決まったらしいよ」とか

もうとにかく今まであいつだらけ笑

たまにウザいけど僕はラッキーだなと思います。毎回1位にはなれないけどリタイアをしないで何とか食らい付いて来れたのは間違い無くあいつらが一緒に走ってくれたからです。



なぜ今回この話をしたかと言うと去年末から今年に入ってコロナの影響もあり10人ぐらいのあいつが自国に帰り、今月も来月も再来月もバイバイパーティーがあります。

真横で走っていたあいつや斜め前を走っていたあいつやめっちゃ前を走っていたあいつ、少し離れたレーンを走っていたあいつも、突然第2グラウンドから第1グラウンドで走る事になるんです。

もちろん彼等も他のグラウンドの他のコースでまた走り続けるわけですがどれだけ早く走ってるのか感じれない。

なんか寂しいけどそれぞれの人生なので。


僕みたいな怠け者がまだ走ってられるのは横で走ってくれるあいつらが常にいたからだと気づかされる。

きっと皆さんにもいなければ楽なのにいないと困るあいつらがいるはずです。


そんなあいつらに感謝しつつ次のグラウンドでも頑張ってもらいたい。



と言いつついつかあいつら全員集めて背後からカンチョウくらわせたい。


Tsuki




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