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クリエーションの老化 #15

僕は今年で38歳になり十分オッサンと呼べる年齢になったわけですがイタイことに自分はまだ若いと思ってます。


僕が働くファッション業界では20代前半で輝きを放つヘアメイクさんはほとんどいない。


なぜならそれなりのレベルに達するまで10年以上かかってしまうので30歳でも若造扱いです。



先日58歳のメイクさんと仕事をしましたが20歳からメイクを始めたと言っていた。
僕が生まれた時にはすでにメイクをしていたという事になり彼からすると僕は赤ちゃんのようなもんです。


そんな人達と一緒に働いてると早く歳をとって貫禄あるアーティストになりたいなぁと思う、彼等には僕の何倍もの経験からにじみ出る余裕があるんですね。
ですが逆に老けたくないなぁと思う事もよくあります。


年上の方々と一緒に働く時よく「うーわ、それ古っ!」と思う事があります。

フォトグラファーがモデルにポーズの指示をするときやスタイリストが持ってくる服のテイスト、メイクさんが描く眉毛、そしてその人自身の服装、ちょっとした事に古っと感じる瞬間があります。


僕はこれをクリエーションの老化と名付けてますがつまり自分が1番好き(得意)なデザインを変えずにずーーとやり続けているとそうなってしまう。もうそれが流行ってなく誰も求めてないのに、、、


どんな業界も数年ごとにほんの少しずつ流行りが変わっていくと思いますがそれを無視してか気づかずか同じ事をやり続けるとあの人の仕事は古いと言われるようになってしまう。


あの人の仕事は古い、、、キツ。


iphone4をupdateもしないで使い続けているようなものです。たまにガラケイの様なクリエーションをする人もいます。


自分のスタイルを貫く事は大切な事、そのスタイルと流行りを上手く混ぜながら作り続けなければいけません。


僕はクリエーターとして老化する事が一番怖い。


10代〜25歳ぐらいの頃、奇抜な服を着たり髪型をする事が何も恥ずかしくなかった、それは自分が流行の中心にいる1人だと思っていたから
でも30歳を越えたあたりから少しずつそれが恥ずかしくなってシンプルになってくる、歳相応を気にするようになるんですね。


クリエーションも同じです、何も知らなかったあの頃、何も恐れずただただ全力をぶつける、下手だけど勢いがいい
いろいろ経験してしまうと「あれは誰々がやってたからなぁとかこれは自分らしくないなぁ」とか考え過ぎて新鮮な物が生まれにくくなる、その代わりクオリティは高い


難しいんです、クリエーションの若さを保つって。


今はSNSのお陰で若い子達の流行りを簡単に感じとる事ができるわけですが15年前ぐらいまでは雑誌やストリートから感じとっていたわけで
用もなくただ街を歩いて人を観察してコンビニで雑誌を立読みしていたあの頃。


Fashionって単語、日本人は服装ととらえる人が多いと思いますが和訳すると「流行」って意味です。


ファッション業界、つまり流行業界、そこで働く人は流行に敏感でなければならない宿命なんです。


僕はいつまでも若くいたいとは思わない、年相応に良い歳のとり方をしたい、白髪も貫禄の1つとして残したい。

でもいつまでもFashionを敏感に感じとれるビンビンなオッサンでいたいと思う。


TSUKI
@tsukihair








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