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猫子ちゃん

 猫子ちゃん、僕は今日の真・夜中にね、カバの群れをしばらく見ていたんだけど、あれは年老いた人間の女の人みたいなもの悲しさがあるよね。
 とくに僕は、目が苦手だな。あの目のあたりが、さ。ほら、じっくり見てみてよ、なんだかつらいような気持ちになってこない?

 ならないなんて非・人間的だよ!!

 猫子ちゃん、僕は君のそういうところがむかしから大嫌いだったんだ! というより、君というより、君が嫌いというより僕は、こちらの意見に寄り添わない人間が大嫌いなんだ!!

 猫子ちゃん、それなのに僕はまた、気難しい子を好きになってしまったみたい。

 彼女が僕の言葉に首を縦に振らないのなら、いっそその首を横一文字に掻っ切ってやりたいくらいに僕は思いつめてるのさ!!

 なんちゃって。本当は、超・弩級というほどのヒットではないんだけど、感情を高ぶらせるためにあえてクリティカルな表現を用いてみただけ。

 あの子が夢から覚める頃には僕が眠りにつくから、そういう入れ代わりの日々の中で、きっと僕は彼女のことなんてすぐに忘れてしまうと思う。 (でも、時々ふっと思い出して、眠れずに夜の散歩に出たり、ジンにライムジュースを加えたカクテルを彼女の名前で呼んでみたりするかもしれない。)

 つまらないね、もうじきに夜が朝になってしまう。太陽のしたではこんなことは考えていられなくなるかな。早く夢に駆け込まなくては。
 街のみんなも起き出して、カバの群れもどこかに消えてしまったよ。

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