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腹で手を温めないようにします。

ある日。家でのんびりしていた時のこと。
「よし、赤ちゃんを触ろう!」そう思って、赤ちゃんのところへ行きました。
 
ここ3ヶ月で突然出てきた選択肢「赤ちゃん」。自分史を以前以後に分けるとしたら、明確にココだと分かるポイントに誕生した存在。お片付けのスペシャリスト・こんまりさんも、子育て中心の生活によって片付けることを諦めたんだそうです。「そうですよねぇ、子供って異次元のときめきを放ちますもんねぇ」なんてお話をしてみたいほど、こちらも父性が育ってまいりました。
 

こんにちは赤ちゃん。赤ちゃんこんにちは。
 

ニッッッコニコで近づき、手を伸ばそうとすると、赤ちゃんのそばにいた妻から、『手ぇ冷たい?』と聞かれました。

 
あ。
 

ハッとしました。自分は昔から冷え性で、冬になると手足が冷たくなるのです。
 
そうかそうか、冷たい手のまま触るわけにはいかないもんね。
 
そう思って、手を温めるために腹ん中に手を突っ込みました。

 
赤ちゃんのそばに立ち、手が温まるのを待っていると、一瞬、妻からの視線を感じました。
 
ん?と思いつつ、指先が少しずつ温かくなるのを感じ始めた頃、ようやく気づきました。
 

あぁ、この温め方は、ちょっとダメですよね、、
 

ニッコニコの笑顔で、少し揺れながら腹ん中に手を突っ込んで赤ちゃん待ちをしている旦那を、妻はどう思ったんでしょうか。3ヶ月前までの常識(自分なりの冷え性対策)は、ここできれいに幕を閉じました。ありがとう、冬の腹。とてもあったかかったよ。そもそもだらしない習性だったとは思うけど、自分にとってはいいカイロだったよ。さようなら、腹。

 
こうなると他の方法で手を温めなければなりません。どうしようかなと思ったところ、お風呂のお湯が残っていることに気付きました。腹から出した手はすでに冷たくなりつつあります。一刻も早く手を温めて赤ちゃんを触らなければなりません。
 

すぐさま浴室に向かい、湯船にチャポンと手をつけます。おー。腹なんかよりよっぽど温かい。お湯のぬくもりに包まれて、指先がビリビリしながら温まっていきます。
 
仕上がった手を引っ提げて、赤ちゃんの元へ戻ります。…が、ここでふと、「お風呂の残り湯って別にキレイではないよね…?」と気になり始めました。もともと腹だった人間が何を言っているんだ、という話なんですが、腹だったからこそ、腹の衛生面のずさんさを反省していたタイミングだったので敏感に気付けたんです。ありがとう、腹。一旦洗面台でちゃんと手を洗ってから戻りまして、いよいよご対面です。

 
改めまして、こんにちは赤ちゃん。赤ちゃんこんにちは。

 
そっと手を伸ばすと、妻が言いました。

 
「え、手ぇ冷たくない?」
 

…手がキンキンに冷たくなっていました。理由は明確です。水でガンガン手を洗ったからです。冷え切った真冬の水道水でうどんを締めるが如く、シャーシャーシャーシャー洗いまくったからです。衛生面に気を取られ、一番の目的「手の温め」をガン無視していました。

 
不思議そうに妻が見ています。一体この人は何をしているのか。そう思われても仕方のない状況です。
 

説明するのも恥ずかしかったので無言で立ち去り、洗面台の蛇口からお湯が出るのをじっとりと待ちました。「最初からこうすればお風呂にチャポンと手を入れる必要なんてなかったじゃないか」「名案みたいな感じでチャポンとしてたけどなんだったの?」そんな雑念(反省)もお湯と一緒にジャブジャブシバきあげて、手を十分に温めたのちに赤ちゃんの元へ向かうと、赤ちゃんはすやすやと寝ていました。
 
 

一体何をしていたのか訳の分からない時間を過ごしましたが、寝顔がとてもかわいかったのでどうでも良くなりました。


けっこうこんな毎日です。

こちらサイドも少しずつ、以前以後で言うところの「以後」への対応に慣れていければいいなと思います。


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