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相方の療養期間に私はミシンを買いました。

10日ほど前、相方の溜口さんがコロナの陽性になってしまいました。(無事、昨日復帰致しました。ご心配下さった方々、ありがとうございます)

自分もPCR検査を行った結果、幸い陰性で、濃厚接触の認定もされなかったため、しばらくはコンビ活動のない期間を過ごすことに。

約10日間。

え、何をしよう。

結果的にピンでも仕事やライブ出番、コント台本書きなどあってありがたく過ごしていたのですが、相方との日常的な打ち合わせのない10日間はあまり経験がありません。


どうしようかと考えた結果、


私はミシンを買いました。

ミシンです。

新宿のビックロで見かけて、「あら、黒いミシンなんてあるんですね」という衝動のみで購入した代物です。

計画性もなく、突然我が家にやってきたミシン。
購入者の無目的さにミシンもビックリしていることでしょう。


というわけで、『なんとなくでミシンを買って10日間過ごしたらどうなるのか』という実験的な生活がスタートしたのです。


ミシンなんて家庭科以来。

最高に訳が分からず、とりあえず説明書をみながら糸を通して(今のミシンは糸通し用のシステムが搭載されてるんですよ、コレすごいと思いました)、「下糸が必要なんですね」と気づいて一旦糸を外してボビンをセット。

ボビンはコレですね。懐かしいですよね。


丁寧で優しい口調のマダムによる裁縫YouTubeをむさぼるように観ながら、小さくなったTシャツの繋ぎ合わせ「ドッキング」にチャレンジしてみることに。

これを、

こうして、

別のTシャツの腕部分も、

幅広めに切って、


移植してあげるというヤツ。

実はこれらの写真は、ある程度上手になった後のものでして、はじめはガッタガタでした。それはもうガッタガタで、私はキレていました。まともに布も切れない大人になってしまったんだと、そしてそんな自分に今キレちゃってんじゃんと、超自己嫌悪でした。

キッチリと一枚のTシャツをダメにして、そのTシャツで布を切る練習なんかしちゃって、(はさみの下側を机で固定してあげて、刃先全体を使って切ってあげるとまっすぐ切れるんですよマジで)、その後、いざ縫ってみてもまっすぐ縫えず、なんでなのか説明書を読み、ただただ押さえてなかっただけというバカな事故を何度も起こしながら、迷走すること約6時間。

指が針先に触れてぷっくり流血なんてことも乗り越えて、初日に完成したのがこちらです。


…は??

なんかいいんですけど。


年々でかくなる体のせいで着れなくなっていたフェデラーのサインプリントTシャツが見事に復活。

白に白っていうのもイナタイっすよね。



異様な達成感に包まれながら、私はコーヒー牛乳を飲みました。



6時間かかったとはいえ、要領は得ました。
成功体験は自信になります。6かかってますが。
次はもっと早くなるし綺麗にできるし、たぶん。

そしてうちには、せっかく集めたのに着れなくなってしまった映画Tシャツやら岡本太郎Tシャツなど、捨てられない性分のせいで大量に圧縮されて眠っていたはず…。

押し入れの上をみてみると、布団用の圧縮袋に乗車率1000%クラスの、アンチ断捨離の塊のような物体が2袋出てきました。

大学時代から溜め込んできたTシャツ達。
眺めてみると、懐かしい思い出も蘇ってきます。
「あぁこのTシャツのシミはあの遊園地のアイスクリームだね」なんて甘い思い出があったりなかったり、ほぼなかったりしながらコーヒー牛乳をお代わりしました。時間はあるので。なんせ10日間あるからこっちは。


そんなことで方向性が見えた私は、2日目以降、
「ドッキング」のマシーンと化しました。

ただひたすらドッキングを繰り返す毎日です。


まずは古くなって痛んでしまったTシャツと、移植後にメインを担ってもらう復活Tシャツを選別。

量の多さとほぼないに等しい思い出を振り返る時間のおかげで選別のみで2日目が終了。

予想外のタイムロス。

3日目以降はもうひたすらミシンミシンミシン。

時折、マダムのYouTubeを観て「ドッキング以外にもそんな手法があるんですねぇ」と勉強しながら、ただただドッキング。

もういいんです、技術なんて一個で。
こっちは10日間の短期決戦なんです。
今はドッキングだけに集中させて下さい。

パートナーが「ずっと何をしているの?」と言ってきても「ごめん、今はドッキングさせてほしい」とお願いして、ミシンと向き合う日々。ミシン・ハイ・デイズです。

ミシン・デイズ・ハイ。とてもダサい単語です。
それでも私が過ごした10日間は間違いなくミシン・ハイ・デイズだったと思います。なんせご飯を食べる時間も惜しんでのめり込んでいたので。音の問題で夜遅くはできませんから、夜型の生活リズムも急きょ切り替えて、血走った目で空腹も無視してひたすらに布と布を張り合わせていきます。パートナーはちゃんと引いていました。


その結果、仕上がったモノ達がこちらです。


計32枚。ほぼ業者。

「(有)塚本ミシン」爆誕。

圧縮袋の中で冬眠していたTシャツ達が、着れない服から着れる服へと復活を遂げました。それも引いちゃう量で大復活です。自分の捨てられない性分に反省しつつ、衝動的ミシンからまさかの自己完結型SDGsに発展したことに満足した私は、コーヒー牛乳を飲みました。

そんなわけで、昨日の相方復帰に伴い、
「私とミシンの10日間」も幕を閉じました。


ありがとう、ミシン。


そして今日。

空き時間にずっと「ジャージ ドッキング」で検索している自分がいます。ジャージもね、あるんですよ実は…。

検索履歴が「ドッキング」「リメイク」「リサイクル」のワードで溢れています。10日前には考えもしなかったミシンソウルです。昨夜、銭湯の体重計に乗ったら2キロ落ちていました。ミシンソウルであり、ミシンダイエットです。あれ?そうなると、ただただ痩せればドッキング前のTシャツも着れたんじゃね?なんて気もしてきますが、謎の熱気を纏っていた10日間に水を差したくないのでやめておきます。この夏はひたすらドッキングTシャツで過ごさせていただきます。なんせ32枚ありますので。

え、32枚?
やっぱ多いなちょっと。
洗濯物を確認したらもう3枚出てきました。
なので35枚です。
は?
押し入れに入らないのだけど。
…え、また圧縮する?
ウソ、それは意味分からなくない?


…さらにドッキングしようか悩んでいます。

 
 
 


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