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新卒の面接で「好きな本は人間失格」と答えて、即不合格になった話

そある企業の新卒の面接で「好きな本はなんですか?」と聞かれた
私は、「人間失格」です。と答えた。

即不合格を伝えられた。

大前提として、「本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握」を面接で聞いてはいけないことをこの面接官は知らないということを即理解し、この会社の従業員の能力は低いと私は感じてしまって、あえて尖った回答をしてしまったのは社会人として(この時は学生だったが)ひよっこだったと思う。後日、友人から笑いながらそんな答えしてはいけないよと諭された。面接官になぜその本が好きなのか深ぼって聞いてくれなかったのは少し残念だったが。

この太宰治先生の「人間失格」に出会ったのは、中学校2年生の頃。読書感想文で読んだことがきっかけだった。

中学生の私にはあまりにも難しい本で、辞書をめくりながら少しづつ読んだことを覚えている。多感な時期に、強く感じたことは「人間はとても弱い生き物である」という事実だ。

信念を抱いてもすぐに流される。人や環境が変わっても、自分はそう簡単には変わらない。投げ出したくなる。大人ってそうやって生きているんだと子供ながらに強い印象を持ち、人はそもそもそういう生き物なんだと理解した。本質をついている本だと理解し、それ以降「大切な本」となり、たびたび読み返した。

それから社会人人生を歩み、プレッシャーで血を吐くほど仕事をしていたせいか、会社の責任をとるため200社に謝り行脚をしたことがあるせいか、人の人生を転落させなければならないような仕事をしたことがあるせいか、数十億円の損害が発生している場所で責任者として奮闘しなければならないような仕事をしていたせいか、SNSで徹底的にバッシングされる矢面に立つような仕事をしていたせいか、私は強くなった。。。かもしれない。

先輩方とくらべると大したことはないかもしれないが、自分なりには頑張ってきた。

いや、頑張ったのではない、周りに支えられてきた。

人は弱い生き物だ。

ここまで支えてくださっている皆様には感謝しかない。

信念を持ちながらも少しづつ、皆様に恩返しができればと思う。


今ならあの面接官の気持ちがわかる。

学生が「人間失格」が好きと言ってきたら、

ちょっと暗いよね(笑