算数ができない低学年 背景と見分け方
その学習のつまづきは脳の個性、発達の偏りによるものかも?
背景を推理して学習しやすくするための観察ポイントと家庭や学校でできる対策を考えていく記事です。
もし特別支援教育を検討したことがあって、
wisc等の結果をお持ちの場合はその数字から見えてくるものもあります。
自治体の教育相談や病院で受けられるwisc検査では、
細かい数字は申告しないともらえないことが多いです。
できるだけ交渉して詳細をもらうことをお勧めします。
算数の苦手さが目立ち始めるのは?
算数の苦手さは、早い子では小学校2年生あたりから顕著になってくるようです。
実際、小2時点で計算力が年齢相応に身に着いていかないと、
先の学習はとても苦しくなっていきます。
早く気づいて助けてあげるに越したことはありません。
数の感覚を鍛え、計算が早くなると、勉強は楽しくなってきます。
低学年なら遊びを通してトレーニングできることがたくさんあります。
まずは今の状態を観察して、背景の仮説を立てていきましょう。
単にゆっくりという場合も
ちなみに、
多くの子は学年が進んだ後でも「戻って復習できる環境」があれば、
ある程度は取り戻せるという調査があります。
つまり算数が苦手な子のうちの多くは、
数の感覚や計算力に関する発達がゆっくりなだけで、
平均より遅かったとしても生活で不便がないくらいには発達するということです。
戻る、場合によってはかなり戻るということを臆さなければ、
やる気になった時に始めるのでも遅くないと言えますね。
この意味で、
「戻って復習をたくさんできる環境」のお勧めは公文式や学研の教室です。もちろん、家庭学習でも不可能ではありません。
背景はいろいろ
稀に「戻って復習」で追いつかないほどの苦手さを抱えている子もいます。
たとえば学習障害の中で、計算や数の感覚が身につかないタイプがあります。
学習障害は最近「文字の読み書き」の苦手さとして知られてきましたが、実は算数障害も一定数はあると思います。
また、ワーキングメモリが弱いなどから
頭の中で段階を踏むことがとても苦手、記憶が苦手、
ほかには視覚処理や聴覚処理が弱いなどから学習のつま躓きにつながることもありえます。
一つの要因のみならずいろいろな条件が絡み合っていると考えて、
日常生活でも観察してみましょう。
学習の仕方によって定着が楽になることもあります。
あるいは早く支援の手を入れて、
学校に配慮をお願いしたほうがいい場合もあるので、
まずはお子さんを観察するポイントを整理しましょう。
周囲が気づきやすいポイント
算数が苦手かな? に気づきやすいポイントを挙げます。
指で計算するのが小2でもとれない
数唱の逆(20から逆に数える)ができない
物を数え間違う
繰り下がりで苦戦
九九で苦戦
時計や形で苦戦
少し詳しく見ていきます。
指で計算するのが小2でもとれない
足し算や引き算で指を使うのは「具体物を数えて計算を確かめる」行為です。
このこと自体は自然で、1年生くらいまではむしろいい方法です。
でも、10以上の数の足し算・引き算では厳しくなりますし、
ずっと指に頼ると繰り下がりの時に苦労します。
単にくせになっているということもあるので、まずは
「指を使わず頭の中で計算してみようか?」
と促してみて、さらに観察してみてください。
以降、働きかけてできるようになったら大いにほめましょう。
数唱の逆(20から逆に数える)ができない
おふろなどでゲーム感覚でチャレンジしてみましょう。
まずは大人が簡単なところから手本を見せます。
楽しければ何度でもやりたがり、
さらなるチャレンジをしたがるのが子どもです。
50から、100から、200からと大人もがんばって張り合ってくださいね。
おふろの場合はのぼせないように注意です。
できなくてチャレンジが苦痛になるようなら、
その段階で無理することはやめて、
数トレーニングを考えましょう。
物を数え間違う
具体物を数えるときや、
教科書にあるイラスト(リンゴやボタン)を数える課題で間違いやすい子は、
数の感覚に弱さがあるまたは視覚に弱さがあるのどちらも可能性があります。
みかんを10個テーブルに出す、ボタンを20個出す、など日常の場面で、
どうやって数えるかを観察してみましょう。
5ずつまとめて見えているか?物の大きさによるか?などを確かめます。
ある程度発達すると、たくさんあるものを「1度に5個ずつ」認識して数えられるようになります。
1年生の時に「10個ずつ線でかこんで数える」を教えますが、
その時に身についていない子はこのやり方をもう一度教えるのもいいです。
繰り下がりで苦戦
いろんな子を見ていて、
算数を最初に嫌いになるタイミングはここだなと思います。
小2の繰り下がりがストレスになる子は、10以上の数の感覚がすでに弱いです。
少し戻って日常でたくさん数のトレーニングをしてあげたいです。
九九で苦戦
ここは数の感覚よりも記憶が大事です。
最近は学校でもかなり熱心にここをやってくれる場合が多いのですが、
おうちでも「完全に記憶しているか」を確かめてあげられるといいです。
特に6、7、8の段は学年が上がってあやふやになる子も出やすいので、ときどきチェックするといいです。
暗唱だけでは覚えづらい子のために、九九の歌やダンスがYoutubeにありますので積極的に使っていきましょう。
時計や形で苦戦
時計は10年前よりできない子が増えていると感じます。
時刻を読むだけなら、スマホでもテレビやPCでもいいと割り切っているおうちが多いのかもしれません。
でも、針の時計を見る習慣が少ないと、60分で1時間とか12時間を2回で1日とかがわかりづらいみたいで、かなり学年が進んでも時間を聞く文章題がミス続出なんですよね。
中学生でも時速や図形が出ますので、ここが弱いままだとあとあと引きずるので対策は重要です。
特性から見た背景
脳の特性から見た「算数が苦手になる背景」を再度まとめます。
数感覚の弱さ
段階処理の弱さ
記憶の弱さ
視覚の弱さ
これらを見極めて必要な手助けをし、
それでも難しければ学校の配慮を求めていくことが重要です。
具体的な「手助け」は別記事にまとめます。