ジュエリークリエイターが語る宝飾裏話

シルバーアクセサリーやプラチナの結婚指輪とかなにげなく売っていますが、それぞれの特徴をよく知って買っていますか?

「なんとなくシルバーよりプラチナの方が高そうだけど、なんで高いんだろう」とか「なんか光沢がない気がするからこのシルバーアクセサリーは偽物だろうか」とか貴金属に関して疑問があると思いますが、それらの疑問にもお答えします。

シルバー(銀)とプラチナの裏話(1/9)

銀って人によって印象がかなり違う金属ですよね。
お金持ちの方から見れば、「ゴールドやプラチナに比べて安いから、シルバーなんてつけてられない。色もプラチナに比べて安っぽいし」というのもあると思います。

また、ゴツいシルバーアクセサリーが好きな人からすれば「本当のシルバーはすごく高いんだ。ブランドのシルバーアクセサリーは10万円以上するものもあるし、だからちまたで数千円で売られているシルバーアクセサリーは偽物か、質の悪いもの。その証拠に本物と偽物は光の輝き方が違う」という人もいるでしょう。

実際はどうなのか(2/9)

まず、なぜ同じような輝きのプラチナよりシルバーの方が軽くあつかわれるのかですが、理由は3つあります。

・シルバーよりプラチナの方が希少価値が高い
・シルバーは硫化して黒くなることもある
・シルバーは壊れたとき修理がしにくいこともある

なぜシルバーは安いのか
一番目の理由(3/9)

最初の理由はわかりやすいですね。シルバーはグラム100円程度(指環一個約5g×100=500円程度)で取引されるくらい沢山ある金属ですが、プラチナはグラム5000円程度(指環一個5g×5000=25000円程度)の少ない流通量です(どちらも2018年現在の価格)。

ただ、単純に流通量が少ないだけだったら、その辺の小石だってもしかしたら希少価値が高い、流通量が低い石かもしれません。しかし、その辺の小石が高値で取引されないで、プラチナは高値で取引されるのは希少価値以外の理由があります。綺麗か綺麗じゃないかというのももちろんありますが、単純な綺麗さでいったらシルバーの方が綺麗だと言われています。プラチナの輝きは硬質で「色気がない」と言われるように、黒っぽいシルバー色であたたかみの少ない輝きです。光の反射率(物がうつりこむような透明感)はシルバーの方が上です。

ではなぜそんなプラチナがシルバーより価値があるのか。
それは二番目と三番目の理由に関係しています。

なぜシルバーが安いのか
二番目の理由(4/9)

二番目の理由ですが、シルバーは、空気中の硫化水素や水分中のオゾンや二硫化イオウと反応して、表面に硫化銀を作ります。それが原因で黒くなったり、光沢を失ったりします。

しかし、多くのシルバーはロジウムという金属でコーティング(いわゆるメッキ)されて、表面は硫化しなくなっています。もちろんロジウムがはがれて、下のシルバーが露出し、光沢を失うこともあります。ただその時はまたロジウムメッキしなおせば元通りの輝きになるので、たいした問題ではないです。でもそのメンテナンスのことを知らない人が多いので、プラチナは硫化しないからいい!となっているんですね。先ほど黒くなることもあると書いたのはこのためで、ロジウムコーティングしていれば黒くなりません。メンテナンスするのがめんどくさいという人もいるかもしれませんが、ここで衝撃の事実を言います。

プラチナもたいていロジウムコーティングされてますよ

実は先ほどのべたようにプラチナは黒っぽいシルバー色で色気のない色合いなので、明るいシルバー色にするため、普通はロジウムコーティングされます。メッキ商品だと安物と思われる方もいるかもしれませんが、それは中の金属が安い場合だけ。中の金属が高い場合は、メッキする方が少し高価なのです(わざわざプラチナにロジウムのメッキしたら、一手間かかる分高いので)。

なのでシルバーはロジウムコーティングがはがれるから、めんどくさいというのは、プラチナもロジウムコーティングがはがれるのでめんどくささでは同じです。プラチナのロジウムがはがれたら硫化こそしませんが、黒っぽいシルバー色のプラチナの色が出てしまうので美しさはそこなわれてしまいます。その場合はやはりコーティングしなおすメンテナンスが必要でしょう。

ここで気づかれた方もいるかもしれませんが、シルバーもプラチナもロジウムコーティングしてるんだったら、色は同じでは?というところ。
その通りです。

シルバーもプラチナも普通(ロジウムコーティングされている場合)、色は同じです!

だからプラチナの方が高級感のある色をしていて、シルバーの方が安っぽいというのは、たいてい間違いで、どちらも同じ色です。それはホワイトゴールドも同じで、ホワイトゴールドは本来かなり黄色っぽい合金なのですが、ロジウムコーティングをしているので、美しい明るいシルバー色に見えます。なんと、シルバーも、ホワイトゴールドも、プラチナも、色は同じなんですね。

たまにシルバー925を使っていて、ロジウムコーティングされていない場合、割金(硬度をあげるために混ぜる金属)の銅の色が出て、安っぽく感じることがあるかもしれません。でもたいていロジウムコーティングされているので、色は変わりません

シルバーは酸化するのか(5/9

ちなみによく言われる酸化ですが、シルバーは酸化はしません。貴金属は酸化しません。卑金属は酸化しますシルバー925などは92,5%が銀で、7,5%が卑金属(いやしい金属と書く。酸化する)の銅などを使っている時は酸化しますが、純銀(銀100%)とかだとほぼ酸化しません(硫化はする)。

では、硫化する以外にプラチナよりシルバーが安い理由はないのでしょうか。実はあまり知られていないもう一つの理由があります。

なぜシルバーが安いのか
三番目の理由(6/9)

実は指環が切れたり、宝石を留める爪が取れたりしたときに、「ロウ付け」と呼ばれる接着作業をするのですが、それがシルバーだと非常にやりにくいのです。シルバーは金属の性質上、全体を温めないと一部があたたまらないようになっています。壊れたところをあたためるためには、全体的に温度を上げなければならないんですね。そのため、ロウ付けをするために全体の温度を上げたときに細い爪などが溶けて使い物にならなくなったり、宝石にダメージがいって変色したり割れたりすることがあります。プラチナだと一部を温めれば、その部分だけ温まるので、修理が非常にしやすいのです。

電気ロウ付けという温めずに接着するやり方もありますが、それは普通プラチナにのみ使えるもので、シルバーは使えません。シルバーも使えるものだと高価なのでやはりプラチナの方がどこでも修理しやすいと言えます。

これら三つの理由でシルバーの値段は安くなっています。

高価なシルバーアクセサリーはぼったくり?(7/9)

ではブランドの、10万円以上するシルバーアクセサリーはなぜ高いのでしょうか?先ほどのべたようにシルバー自体の値段は1g=100円と、他の有名な貴金属に比べて安価です。単純にブランド料や手間賃として取っている面もありますが、高価な理由として重さが全然違うというのがあります。

普通指環は使い勝手を良くするために、裏側をくりぬいて銀をなるべく少なくするのが普通ですが、くりぬかずに重くすることもできます。そうした場合指環の重さが50gとか、それ以上になって、銀の原価がはね上がるというのはあるでしょう。それでも10万円以上するのはブランド料なのが多いと思いますが、ウォレットチェーンなどはめちゃくちゃ重いので高くなってしまいますね。

それから「本物と偽物は輝きが違う」といわれる方がいらっしゃいますが

本物も偽物も輝きは同じです

はい

本物も偽物も輝きは同じです

大事なことなので二度言わせていただきました。

なぜ輝きが同じなのか。それはたいてい安物の真鍮(しんちゅう)などの合金に使う銀色のメッキも、ロジウムコーティングだからです

つまり外見は
シルバーであろうが、ホワイトゴールドであろうが、プラチナであろうが、真鍮(しんちゅう)であろうが、全てロジウムコーティングなので輝きは一緒なのです!

輝きの差はどこで生まれるか(8/9)

でもなんかあまり光を反射しないアクセサリーとかありますよね。逆にキラキラ光を反射するシルバーアクセサリーとか、いぶし銀とかもある。

その違いは、いぶし銀は単純に薬剤で人工的に硫化させて黒くしています。すごく黒いから偽物とか、少ししか黒くなってないから偽物とかありません。単純に薬剤に長くつけたか、短くつけたかの差でしょう。

あまり光っていないアクセサリーは偽物とおっしゃる方がたまにいらっしゃいますが、それは磨き方の差です。

やすりのあらい方で磨けばあまり光らないようになりますし、細かい目まで使って磨けばピカピカに光ります。
わざとあまり光らないようにするのをマット仕上げとか梨地仕上げ(しあげ)とかいいます。ピカピカに光るのを鏡面(きょうめん、かがみのように透明感のあるようにする磨き方)仕上げといいます。

マットな光り方もピカピカの光り方も、どんな金属でも同じように磨きます。ただ安い金属はコスト削減のためあまり磨かなくて、結果あまり光らなくなっている場合もありますが、それは金属を安物を使っているからではなく、細かい目で磨いていないからというだけです。

ただ、職人によって磨き方のレベルが違うので、あまりピカピカに光らない磨き方しかできない職人の作ったジュエリーと、ルーペで何倍に拡大して見てもやすりの傷が見えなくなるくらいピカピカに磨ける職人の作ったジュエリーでは差があります。それが値段に反映してることはあるでしょう。

終わりに(9/9)

だいぶ長くなりましたが、いかがでしたでしょうか。

今回話したことは、僕の宝飾の師匠が言っていたことや、自分で調べたり、宝飾品を作っているなかで学んだことなどですので、100%正しい保証はないことをあらかじめご了承ください。

今日書いたことをまとめると

・シルバーがプラチナより安いのは、希少価値が高いからと、修理しづらいから。硫化して黒くなるからというのはロジウムコーティングをする現在ではあまり関係がない。ただ「銀はさびる」的なイメージが一般にあるので安くなってるのはある

・高いシルバーアクセサリーは重い時は原価が高くなるので高くなる傾向にある。あとはブランド料(やデザイン料)などが多い。

・シルバーもプラチナもホワイトゴールドも真鍮(しんちゅう)も皆ロジウムコーティングするので色は同じ。輝きも磨き方が違うから差が生まれるだけで、どの金属を使っても磨き方が同じなら同じような輝きになる。

こんな感じですね。

ともあれ
何か新しい発見はありましたか?

あなたのこれからの宝飾人生が
より豊かになったら嬉しいです。

ではこのあたりで

星野敬児でした★

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プロフィール| https://note.mu/tsubobo/n/n265e3a4b818f 詩を書く&朗読する/ラジオ録る/ ツイッター@dashlion 【note】2016.02.28開始

コメント4件

普段、アクセサリーに興味がない方は、結婚指輪くらいしかみないって気がしてます。
結婚式周辺市場の予算明朗会計にしただけで、かなり安く仕上がるとの話もあるくらいなので、用途が用途なだけに、高ければ高いほどいいとなりがちなのかもしれません。
アクセサリーに興味がない方に、いかに興味を持ってもらえるようにするのかが宝飾業界の最近の課題なんですよね。バブル期は飛ぶように高価な宝飾品が売れたようですが。

>明朗会計
返品リスクや会社組織運営費や人件費、集客費用やブランドの広告費などを合わせるとどうしても高くなりがちですね。明朗会計にしたら安くなるかというと、ぼったくってるところは安くなるかもしれません。

>用途が用途なだけに
確かに結婚指輪は安物だとあんまり、って感じですよね。結婚指輪にシルバーとか使ったら周りからは理解されなさそうです。実際ダイヤとかは値段の高い質の良いものの方が、鑑定書的に後々後悔しないと経験から思いますね。
なるほどー
なんか書いていたら長くなっちゃいました笑
インスピレーション良いですね✴
パッと見てわかる直感的な良さって大事な気がします( `・ω・´)
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