夢見る心(詩)
僕はほとんど何もできない
ダメダメだ
勉強も不得意で
スポーツもパッとしない
それでいて欲望だけはいっちょまえ
僕はのび太だ。
のび太はドラえもんに
助けてもらったけど
僕は信仰と本と科学技術やらなんやら
手に入るなんかすごいもので
夢を叶えてきた
でも、のび太と同じで
最後はしっぺ返しをくらい
またダメダメな人間に逆戻り
僕はのび太だ
そして
日本はのび太だ
戦後日本は
焼け野原になった
自分の力で自分の国を守る
こともできなくて
アメリカに頼らなければ
安全さえ守れない
そんな
ダメダメな国だった
でも
だからこそ
日本は夢を見た
ドラえもんに秘密道具を
出してもらったのび太のように
他力本願で力のない日本だから
科学の作る新しい未来の象徴
ものづくりを手にいれた
それは戦争で勝ち上がってきた
世界からみたら無価値なものに
見えたかもしれないが
ものづくりによって
経済と文化を武器にして
のしあがっていった
日本は
今、泣いている
経済の成長率は
いつまでたっても
伸びていかない
外国は伸びているのに
そして
今後も
今のままでは伸びないことが
少子高齢化社会がくることで
確定してしまっている
若者がいなくなり
老人の面倒を見る人が増え
未来は真っ暗だ
もう希望が
信じられなくなってきている
夢見ることを
僕らは失おうとしている
のび太は今、
泣いている
ドラえもんはほとんど
道具を出さなくなって
ジャイアンに対抗する
力は弱体化し
しずかちゃんと結婚する
輝かしい夢の実現も
遠のいてしまった
もう
だめなのか
僕は
いつまでたっても
のび太なのか
たくさん夢を見て
たくさん冒険してきたけど
僕はやっぱり
ダメな人間のまま
生きていくのか
僕は今
泣いている
仕事を一生懸命学んで
一時はみんなからちやほやされて
でも自分の力不足から
その力を失って
稼ぐ力も失って
輝かしい未来も失って
本当に僕は
のび太みたいだ
ドラえもんから
せっかく秘密道具を
もらっても
最後は無駄になってしまう
のび太みたいだ
もう
夢見ることは
やめようか
輝かしい未来も
描かず
秘密道具も
望まず
のび太はのび太として
仕事で失敗して
結婚にも失敗して
日本と共に沈没する
それで
いいかい?
よくない
それじゃよくない
そんなことはわかっている
じゃあどうするのか
今一度
夢を見るかい?
なんど転んでも
再び立ち上がり
そしてまた転ぶ
そんな日々に
なんの価値が
あるのかな?
それでも
僕は
夢を見たい
より素敵な
作品を作りたい
この国が
より素敵な
ものづくりを
実現する姿を
見てみたい
のび太が
ドラえもんと
この世界を
新たな世界に変えて
大冒険する
そんな姿を
見てみたい
何度でも
僕は立ち上がろう
何度でも
のび太は
ドラえもんと
共に行こう
何度でも
この国は
新たなステージで
舞ってみせよう
いつか
僕らは
大人になって
いつか
僕らは
夢をつかんで
満足するときが
くるかもしれない
でも
その時が
来ても
夢を見続けることの
美しさを
僕は
忘れたくない
この先なんど
困難にみまわれても
この先なんど
挑戦をすることになっても
僕は
次の夢を
見ることを
決して
止めはしない
ドラえもん
助けてよ
仏様
助けてください
胸の内の
未来よ
力をくれ
情けない僕でも
夢を見続ける
強さを持ちたい
新しい夢
ゲームを作ったり
スマートスピーカーの
スキルを作ったり
ファッションアイテムを
作ったり
聖典を作ったり
僕はまだ
夢を見たい
きっと世界も
日本が
夢を見て
夢を実現するのを
望んでいる
少子高齢化社会は
次は韓国であり
その次は中国だ
日本がボロボロに
なったら
ここで負けたら
アジアの未来はどうなる?
世界の未来はどうなる?
日本の未来は
世界の未来だ
負けられない
負けられないんだよ
見せてやるよ
夢見る力の素晴らしさを
日本が
俺が
証明してやるよ
人が
人であることの
素晴らしさを
僕は
証明する
僕はのび太
僕は日本
世界で一番
美しい存在だ
世界を再び
夢を見ることの
できる場所へ
僕が変えていく
~完~
(参考文献「楽器と武器だけが人を殺すことができる」著:宇野常寛)