finerenone, Bayer



レニン・アンジオテンシン系阻害薬を投与中の糖尿病性腎症患者821名を対象に、非ステロイド性鉱質コルチコイド受容体拮抗薬finerenoneを追加投与して90日間観察し、その腎保護効果を検討した多施設無作為化二重盲検試験。この試験でfinerenoneは、プラセボと比較して高カリウム血症や腎機能低下を増加させることなく、用量依存的にアルブミン尿を減少させました(Bakris GL,et al. JAMA. 2015 Sep 1;314(9):884-94.)

 同系統の選択的アルドステロン阻害薬エプレレノン(商品名:セララ)は、スピロノラクトン(商品名:アルダクトンA)の副作用(女性化乳房など)を軽減した薬剤として登場し、糖尿病性腎症に対する腎保護効果も期待されましたが、レニン・アンジオテンシン系阻害薬との併用を行った治験で高カリウム血症の頻度が増加したために「微量アルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者」には禁忌となってしまった経緯もあり、今回の新しい薬剤finerenoneの今後の展開が注目されます


第3世代とよばれているのか。

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現行の高血圧治療ガイドラインでは、MR拮抗薬は主に治療抵抗性高血圧に対する4剤目として位置づけられていた。治療抵抗性高血圧は、クラスの異なる3剤の降圧薬(カルシウム[Ca]拮抗薬、レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬、利尿薬)を用いても降圧目標に達しない状態と定義されている。 このほど承認されたエサキセレノン(ミネブロ)は、第一三共が開発した第3世代のMR拮抗薬。臨床試験は日本で実施され、降圧効果についてエプレレノンに対する非劣性が示された。また、Ca拮抗薬やRA系阻害薬などとの併用で、収縮期血圧で10mmHg以上の有意な降圧が認められている。

 臨床試験で中等度腎機能障害※の患者やアルブミン尿を有する2型糖尿病を合併する患者における安全性が確認されたため、エプレレノンが投与できなかった慢性腎臓病(CKD)や糖尿病の患者にも使用できるのがエサキセレノンの最大の特徴だ。ただし、こうした患者に対しては、常用量である2.5mgの半分、1.25mgからの慎重投与となる。”


いやーしかしプライマリケアではめちゃくちゃ使いにくい印象ですね

”MR拮抗薬の使用時には、「1〜2カ月ごとの診察時に毎回血清カリウム値とeGFRを測定し、異常な傾向があれば休薬するといった対応が必要」と向山氏は指摘する。”

こんなの普通の医者出したいと思わないと思うなぁ。病院の専門医か、開業している専門医で、好きな人くらいではないかな。


P3やっていた


その結果は以下

”これまで、短期間の検討から、CKD併発2型糖尿病患者のアルブミン尿を減少させることが報告されていたが、腎機能や心血管系の長期的なアウトカムは不明だった。
 今回の報告は、同薬の第3相臨床試験の結果。CKD併発2型糖尿病患者5,734人に対し、全例にレニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬を最大耐容量使用した上で、フィネレノンまたはプラセボを投与した。主要評価項目は、腎不全、ベースラインからeGFR40%以上の低下、および腎関連死で定義した複合エンドポイント。二次エンドポイントは、心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、および心不全入院。
 中央値2.6年の追跡期間中に、フィネレノン群の17.8%(2,833人中504人)、プラセボ群の21.1%(2,841人中600人)に、主要評価項目である複合エンドポイントが発生した〔ハザード比(HR)0.82(95%信頼区間0.73~0.93)、P=0.001〕。二次エンドポイントの発生率は、Finerenone群13.0%(367人)、プラセボ群14.8%(420人)だった〔HR0.86(同0.75~0.99)、P=0.03〕。
 有害事象の発生率は両群ほぼ同等だったが、高カリウム血症に伴い投与中止に至った症例は、プラセボ群(0.9%)よりフィネレノン群(2.3%)の方が多かった。”




Effect of Finerenone on Chronic Kidney Disease Outcomes in Type 2 Diabetes

December 3, 2020
N Engl J Med 2020; 383:2219-2229

DOI: 10.1056/NEJMoa2025845

上のNEJMの解説は下でもある

主要評価項目:腎不全、ベースラインからeGFR40%以上の低下、および腎関連死で定義した複合エンドポイント

二次エンドポイント:心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、および心不全入院


追跡期間:中央値2.6年

主要評価項目である複合エンドポイント発生

 フィネレノン群17.8%(2,833人中504人) VS プラセボ群21.1%(2,841人中600人)=〔ハザード比(HR)0.82(95%信頼区間0.73~0.93)、P=0.001〕。

二次エンドポイント発生率

Finerenone群13.0%(367人)、プラセボ群14.8%(420人)だった〔HR0.86(同0.75~0.99)、P=0.03〕。

有害事象の発生率

 両群ほぼ同等

 が、高カリウム血症に伴い投与中止に至った症例は、プラセボ群(0.9%)よりフィネレノン群(2.3%)の方が多かった。


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