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AI デジタルクローンのリサーチ 「Asclone(アスクロン) 」 が誕生!マーケティングリサーチへのインパクトを解説

ビデオリサーチとオルツがおもしろい調査方法を開発しました (リリースはこちら) 。

AI デジタルクローンを使うリサーチの誕生です。

Asclone(アスクロン) 

アンケートやインタビューの調査対象者が人間ではない 「デジタルクローン」 を AI を使って生成し、デジタルクローンを相手に調査をするサービスです。サービス名は 「Asclone(アスクロン) 」 といいます。サブスクリプションサービスとして提供されます。

デジタルクローンの生成には、想定する調査対象者の情報をインプットします。たとえば、性別・年齢・居住地域・職業などの情報です。他には、ビデオリサーチが保有するシングルソースデータ 「ACR/ex」 のテレビやネットのメディア接触・コンテンツ視聴の情報も活用できます。

アスクロンの入力画面 (出典: PR TIMES
アスクロンでの調査イメージ (出典: PR TIMES

マーケティングリサーチへのインパクト

アンケートやインタビューの対象者が人間ではなく AI で生成されたデジタルクローンになることで、マーケティングリサーチにはどんなインパクトがあるでしょうか?

効率とコストの改善

大きいのは効率性やコスト面です。ざっと挙げてみると、

  • 時間と場所の制約がない: 人間ではなくデジタルクローンを使うので、24時間365日いつでも調査を走らせることができる

  • 低コスト: デジタルクローンの活用により、調査対象者の募集や報酬、調査結果の分析に伴う費用が削減される

  • 実施スピードの向上: アンケートやインタビューの対象者を募集して集める必要はなくデジタルクローンはすぐに生成可能。またアンケート回答に日数をかけることなく、インタビュー日程を調整することも不要なため、調査を始めて結果の取得から分析まで迅速に行える

  • 無制限の実施: 人間の調査参加者を募るのには時間とリソースが必要なのに対し、デジタルクローンは即座に大量に生成可能。大規模な調査も実施できる

柔軟性と耐久性の向上

マーケティングリサーチの設計と実施における柔軟性と耐久性にもインパクトがあります。

  • カスタマイズの柔軟さや高度化: デジタルクローンのペルソナを詳細に設定することで、特定のターゲットグループに対して深く探ることが可能になる。他人には話をしにくいテーマ (コンプレックス系やトラブル (例: 借金) など) も扱える

  • 調査モニターの疲弊がない: デジタルクローンは長時間の作業や反復作業による疲労やモチベーションの低下が起こらない

データ品質の向上

デジタルクローンを使うことでの調査データ品質の向上にも期待できます。

  • 調査回答の正確性: デジタルクローンはプログラムされた情報に基づき一貫性のある回答をする。人間にはある質問の意味への誤解、記憶忘れ、誤回答がデジタルクローンでは発生さず、回答の正確性が上がる

  • 反復性と一貫性: 同じ質問を何度でも繰り返すことが可能で、またそれぞれの回答が一貫しているため、データの信頼性が向上する

  • バイアスの軽減: デジタルクローンは人間のような先入観や偏見を持たないため、より公平で客観的なデータが得られる

デジタルクローンの今後の課題

では、デジタルクローンを調査に活用することへの今後の課題についても整理しておきましょう。

結論、課題は次の3つです。

  • 複雑な調査にも回答ができるか

  • クローンのアップデート

  • デジタルクローン調査の実績と信頼獲得

複雑な調査にも回答ができるか

選択肢設問の回答だけではなく、アンケートでの記述式の自由回答、さらにはアンケート以外のインタビュー調査のような会話やチャット形式での調査でもクローンが機能するかです。

ここは学習を積めば問題なさそうですし、すでにサービスリリースということでおおよそクリアしてはいそうです。

クローンのアップデート

一度デジタルクローンを生成できたとしても、元になった人 (クローンのモデル) は日々の生活の中で考え方や価値観は変わっていきます。

これが意味するのは、次第に人間とクローンの乖離が大きくなり、人のアンケート回答とクローンによる回答では違った答えになってしまうことです。

定期的にクローンを更新し、常にモデルである人間と同じ状態にメンテナンスをする必要があります。

デジタルクローン調査の実績と信頼獲得

かつてネット調査が登場した時に、郵送や訪問、電話調査に比べてインターネットで回答されたアンケート結果は信頼できるのかの議論がありました。

同じように、デジタルクローンによるアンケート回答結果にも信頼に足り得るものかの議論が生まれるかもしれません。いわば鶏と卵の関係です。

ネット調査は従来のアナログな方法よりも低コストで早いというビジネスメリットがあり、次第にネット調査が増え、今ではネット調査が信頼できるのかは過去の議論になりました。デジタルクローンの調査も、結局のところは実績を積み重ねていくしかないでしょう。

おわりに

アンケートやインタビュー調査を AI によるクローン相手に実施するというのは、マーケティングリサーチにおけるパラダイムシフトを起こし、イノベーションになると思います。

このサービスは個人的に期待大です。

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