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書評: 世界で最もイノベーティブな組織の作り方 (山口周) 。イノベーションを起こすための 「問い」 が秀逸な本

今回は、書評の記事です。

世界で最もイノベーティブな組織の作り方 という本です。

この記事でわかること

・どんなことが書かれている本?
・本書が問いかけること
・なぜ日本企業ではイノベーションが起こりにくいのか
・イノベーションを起こすためにどうすればよいか

こんな疑問に答える内容を書きました。

この本は、組織とリーダーシップの観点から興味深く読めます。ぜひ記事を最後まで読んでいただき、仕事やキャリアへの参考にしてみてください。

この本に書かれていること

以下は、本書の内容紹介からの引用です。

日本人の高い創造性が、なぜイノベーションにつながらないのか?

イノベーションを生み出すための組織とリーダーシップのあり方を、組織開発が専門のヘイグループに所属する著者が、豊富な事例やデータをまじえながら、柔らかな文体で解き明かす。

秀逸な問い

この本の特徴は、イノベーションへの問いが秀逸なことです。

一般的に、ビジネスでイノベーションを起こすために考えるのは、個人がどう創造性を発揮するかです。しかし、本書での見立ては違います。

日本人は個人としては創造性は豊かであり、ボトルネックは組織だとします。

組織が個人の創造力を阻害しているので、問うべきはどうやって組織が個々人からのイノベーションを促進するかです

この本が投げかけるのは、暗黙の前提への疑問です。個人の創造力が上がれば、一人ひとりの集まりである組織も自然と創造性を発揮すると考えがちですが、ここに疑問を呈しているのです。

ここに、イノベーションが起こりにくい構造的な要因があります。

ではなぜ日本の企業は、イノベーションを起こしにくい組織になっているのでしょうか?

イノベーションが起きにくい構造要因

本書のロジックのポイントは、次の3つです。

イノベーションが起きにくい構造要因
・イノベーションを推進するのは 「若手」 や 「新参者」 であることが多い
・日本人は組織内の目上の人に意見をしたり反論することに心理的ハードルを感じる (他の文化圏よりも相対的に高い) 
・シニア層が若手よりも数が多く、シニアの影響が大きい

イノベーションのためには、多様な視点が求められます。

長年その組織や業界にいた人の考え方だけではなく、新しいアイデアをつなぎ合わせることが必要です。

そのためには、若手や組織に新しく入った新参者の視点や意見が貴重になります。

しかし、「若造や外者は黙っていろ」 という雰囲気が組織にあると、せっかくのフレッシュな意見が出てきません。従来の考え方が残り続け、イノベーションが起こりにくい組織になってしまいます。

それでは、イノベーションを起こす組織になるためには、どうすればよいのでしょうか?

上下のコミュニケーション

イノベーションのためには、組織文化を変えます。

具体的には、組織の一人ひとりの言動を変え、上下のコミュニケーションの風通しを良くします。

組織の下のメンバーは、上位者に自分の意見を持ち、しっかりと伝えます。上の者は、積極的に下の者の意見を集めます。

この本に書かれていて印象的だったのは 「聞き耳のリーダーシップ」 です。部下に意見を促し、本音を語ってもらうよう積極的に聞きに行きます。耳の痛い内容であっても真摯に耳を傾けるリーダーシップです。

新しいアイデアが生まれやすい組織には、多様性があります。

男女や性別、国籍などの属性の多様性よりも、発言が多様なことです。そのためには、感性の多様性、思考の多様性、意見の多様性です。

変化の激しい時代の学び方

世界で最もイノベーティブな組織の作り方 を読んで思ったのは、変化の激しい時代において、誰から学ぶかです。

興味深く読んだのは、イノベーションを推進するのは 「若手」 や 「新参者」 という指摘です。思ったのは、変化の激しい時代には、若者や新しい人、外部の視点に学ぶべきだということです。

その業界や会社での長年かけて獲得した知見は、変化の大きい環境では古いやり方にとらわれてしまい、変われない要因になりかねません。

外部環境の変化についていく、時には外部よりも自分たちが早く変化をするためには、新しい着眼点を能動的に獲得することです。受け身で待っているだけでは、変化に取り残されます。

特に自分がその業界や会社で長く同じ役割でいる状況では、意識して若者や新しい人から学ぶことです。変化の激しい時代に生き残るために必要です。

まとめ

今回は、世界で最もイノベーティブな組織の作り方 という本をご紹介し、イノベーションを起こすような組織とは何かを書きました。

最後に今回の記事のまとめです。

この本の特徴はイノベーションへの問いが秀逸。
日本人は個人としては創造性は豊かでありボトルネックは組織。組織が個人の創造力を阻害しており、問うべきはどうやって組織が個々人からのイノベーションを促進するか。
日本の企業でイノベーションが起きにくい構造要因
・イノベーションを推進するのは 「若手」 や 「新参者」 であることが多い
・日本人は組織内の目上の人に意見をしたり反論することに心理的ハードルを感じる (他の文化圏よりも相対的に高い)
・シニア層が若手よりも数が多く、シニアの影響が大きい
ノベーションには多様な視点が求められる。長年その組織や業界にいた人の考え方だけではなく、新しいアイデアをつなぎ合わせることが必要。
そのためには、若手や組織に新しく入った新参者の視点や意見が貴重になる。
イノベーションを起こす組織になるためには組織文化を変える。組織の一人ひとりの言動を変え、上下のコミュニケーションの風通しを良くする。組織の下のメンバーは上位者に自分の意見を持ち伝える。上の者は積極的に下の者の意見を集める (聞き耳のリーダーシップ) 。
変化の激しい時代には、若者や新しい人、外部の視点に学ぶ。新しい着眼点を能動的に獲得する。受け身で待っているだけでは変化に取り残される。


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