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イケアの 「プランニング スタジオ」 と 「ドリルと穴」 。マーケティングで目指したい顧客理解の深さ

今回のテーマは、マーケティングの顧客理解についてです。

おもいしろいと思ったイケアのユニークな店舗をご紹介し、マーケティングに学べることとして顧客理解について解説をしていきます。よかったら最後までぜひ読んでみてください。

イケア プランニング スタジオ

今回ご紹介したいのは、アメリカを中心に展開されているイケアの都市型店舗 「イケア プランニング スタジオ」 です。

出典: イケア

プランニングスタジオは一般的なイケアのお店とは異なるコンセプトです。特徴は複数のショールームがあり、家具の展示によってライフスタイルを見せています。

出典: ニューヨークお散歩通信

常駐の専門スタッフと対面で相談できる面談スペースもあります (対面セッションはネットで予約が必要とのこと) 。

プランニングスタジオの本質

では、プランニングスタジオの意味合いをさらに掘り下げてみましょう。

イケア プランニング スタジオの本質は、「家具などの商品ではなく、ソリューションを提供していること」です。ここで言うソリューションとは、販売しているイケアの家具を使ってお客さんの生活をより良くすることです。

表面的にはプランニングスタジオで販売されているのは商品ですが、お客さんが買っているのは新しくなるライフスタイルへの期待やワクワク感です。

マーケティングの言葉

ところで、よく言われるマーケティングの言葉に 「ドリルと穴」 の話があります。

顧客が欲しいのは 4 分の 1 インチのドリルではなく、
4 分の 1 インチの穴を空けることである。

People don't want to buy a quarter-inch drill.
They want a quarter-inch hole.

この言葉への私の解釈は、一言で言えば 「売り手と買い手の認識のギャップ」です。

売り手からすると、お客がお金を払って買ってくれたのは商品であるドリルです。一方の買い手は確かにドリルを買ってはいますが、やりたいことは例えば家具や壁に穴を空けることです。顧客視点に立てば商品を使うことによる 「体験」 を買っているわけです。

つまり、買い手にとってのドリルは手段であり、穴を空けるのが目的です。売り手にはドリルしか見えていないかもしれませんが、買い手の頭の中には穴を空けることがあります。

このように、売り手と買い手では認識のギャップがあるのです。

 「穴を空けること」 の先

マーケティングで大事なことは、顧客理解です。

ドリルと穴の話から学べるのは、お客さんへの理解レベルを 「ドリルが欲しい」 だけではなく、「穴を空けたい」 まで掘り下げることです。

もっと言えば、さらに 「何のために穴を空けるのか」 まで深くお客さんを理解することが大事です。

この意味でお客にとっては穴を空けることも手段です。さらに奥にあるお客さんの望みは、例えば 「ガーデニング用の棚を作るのにドリルで穴を空けたい」 です。

では、何のために棚を作るかと言えば、次のようなお客さん本人もはっきりとは自覚できていない気持ちからです。

✓ 奥にある気持ちや本音

  • 自分の手で棚を完成させ達成感を味わいたい

  • 庭で四季折々の植物から自然を身近に感じ、安らぐ気持ちになりたい

  • 季節ごとに咲く花を育て、まるで我が子の成長を見守るうれしさを感じたい

以上のような、ドリルでもなく穴でもない、もっと先にあるお客さんの望みまで掘り下げて、理解することがマーケティングでは大事なのです

学べること

では最後に、イケアのプランニングスタジオとマーケティングのドリルの話から、学べることを整理してみましょう。

学びを一言で言えば、「深い顧客理解からソリューションをつくり提案しよう」です。

お客さんへの理解を顕在化しているニーズのレベルでとどめず、本人が自覚していない奥にある気持ちまで掘り下げます。

その望み (本音) に応えるためのソリューションに落とし込み、商品を売りながらもお客の希望に寄り添ったソリューションを提案できるかです。これを目指しているのが、例えば今回ご紹介したイケアのプランニングスタジオです。

まとめ

今回はイケアのプランニングスタジオとマーケティングの 「ドリルと穴」 の言葉から、マーケティングで大事な顧客理解について解説をしました。

最後に、今回の記事でお伝えしたいことのまとめです。


マーケティングの言葉

  • 顧客が欲しいのは 4 分の 1 インチのドリルではなく、 4 分の 1 インチの穴を空けることである

  • 言わんとするのは 「売り手と買い手の認識のギャップ」 。売り手はドリルを売ったと見るが、買い手がやりたいのは穴を空けること


マーケティングでの顧客理解とソリューション

  • お客さんへの理解レベルを 「ドリルが欲しい」 だけではなく、「何のために穴を開けるのか」 まで深く理解することが大事

  • お客さん本人もはっきりとは自覚できていない気持ちや本音まで掘り下げる

  • 深い顧客理解から、商品を売りながらもお客の希望に寄り添ったソリューションをつくり提案しよう

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