【連載小説】パンと林檎とミルクティー
7 1月の週末に
無用の外出はしない。
と、いうときに限って牛乳を切らしてしまった。
真智子は、午後2時に家を出て、歩いて10分の駅前のスーパーに行った。
牛乳と、地元の農家がつくった人参を買って帰る。
コロナ前なら、ちょっと座ってお茶を飲んでいくところだ。
けれど、今日は買い物だけ。
ちょっとだけ、つまんないなあと思う。
自宅マンションへの住宅街を歩きながら、真智子は立ち止まって、空を見上げる。
青くて、雲がない。
青さが青すぎて、どこまでも行けるんじゃないかと思えてくる。
青くて高いと思えてくる。
空の高さが、青いから高くなるなんて、理論上では説明付かないな、なんて思う。
宇宙が今も広がっているのだとすれば、空が高くなっているというのも、間違いではないのかな。
帰ったらまずミルクティーを飲み、そのあとはクリームシチューを作ろう、と決めた。
真智子の住むマンションが見えている。
つづく
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