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Bidenさんと伝道の書(聖書)と『華氏451度』

Joe Bidenさんのスピーチを聞いていると、聖書からの引用が多いことに驚かされます。
先日11月7日の勝利演説には、次の一節がありました。

The Bible tells us that to everything there is a season -- a time to build, a time to reap, a time to sow. And a time to heal. This is the time to heal in America.
(聖書は言います。すべてのものには季節があると。建設するべき時、種をまくべき時。そして癒される時。今はアメリカにとって、癒されるべき時なのです。)

これは旧約聖書の中の「伝道の書」第3章に由来しています。
私もミッション系の中高に通っていたので、この聖句は礼拝でよく読まれて知っていました。声に出して読むと、美しい章です。

ところで偶然にも、先日私が読んだ有名なSF小説『華氏451度』(レイ・ブラッドベリ)にも、伝道の書の第3章が、非常に象徴的な形で出てきました。

 『華氏451度』は、「本を読むこと、所有することが禁じられた世界」を描いています。
本を隠している所を見つかったら、firemanと呼ばれる特殊警察にその場で燃やされ、所有者は逮捕されます。人々はイヤホンを支給され、政府が流してくれる娯楽ラジオだけを聞いて生きています。
 そんな中「本がないと生きられない」と絶望し、逃亡して洞窟で暮らし始めた人々。彼らの一人一人は一冊ずつ、名作と言われる本を暗唱し始めます。暗唱すれば、次の世代に本の内容を継承できるからです。
 実は、この小説の主人公が選びとり、暗唱して体現しようとしている本。それこそが・・・『伝道の書』でした。
 私が手元に持っている聖書では、伝道の書第3章1節は、
There is a time for everything, and a season for every activity under heaven:
・・・となっていますが、『華氏451度』で
≪天が下の萬のことには期あり≫・・・と文語体になっています。

『華氏451度』は恐ろしい世界を描いたSF小説ですが、
多くの世界の名文学や名著があるにもかかわらず、主人公の男性は、暗唱する本として、なぜ旧約聖書の中の「伝道の書」を選んだのでしょうか?…私はそれを考え続けていますが、答えはまだ出ていません。

 そんな時、バイデンさんの勝利演説にも、この聖書の言葉が出てきたので、少し驚いていました。

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