見出し画像

「わかるぅぅ」と言いながら大笑いしましょう。 ~ 舞台 喜劇 老後の資金がありません ~

ラジオの日曜天国を聴いている時に、渡辺えりさんがゲストでいらしてました。その際に、今度の舞台は高畑淳子さんと初共演で楽しみで仕方無いといったお話をされていました。

渡辺えりさんのお話はいつも楽しいし、以前に「有頂天団地」という舞台を観劇しましたが、舞台もとても楽しかったことを思い出して、チケットをポチっとな。


夜の部ということで、新橋演舞場へ開場の16時頃に到着。

近くのローソンで飲みものをゲットして、劇場内へ。

客層は自分と同じくらいの中年層から上の方がかなり多めでしたが、ジャニーズJr.の方が出演されるので、ひとりで観劇と思われる若い感じの女性も意外(失礼!)と多めでした。

自分は前から11列目だったので、最近さらに落ち気味な視力でもしっかり演者さんのお顔が見えそうな素晴らしい席。

それと、これは微妙なところですが、コロナ対策として2~3席ごとに空席を作る座席設定となっていて、自分の前の席はたまたま空席でした。まあラッキーと言えばラッキー!

佳境に入って来て気になる展開中の本をしばらく読んでいると、場内に5分前なので席に着いて下さいとアナウンスが流れます。

疲れ目になってはいけないので、自分も本を仕舞いスマホの電源を落としてスタンバイ。


幕が開くとそこは渡辺さん演じる篤子さんのお宅。

渡辺さんのお顔もしっかり見えるし、小物も棚の中のカップの柄までそこそこ見える距離。

細かい仕草や顔芸に見えなくもない豊かな表情も確認出来て、お芝居をしているように見えないリアリティ。

夫婦の会話も親子の会話もテンポよく交わされて、このお宅の人物像がハッキリわかります。

そして、高畑淳子さんは町のパン屋さん。

二人は月に一回の生け花教室で、会話や愚痴を大いに話して日頃のストレスを発散出来る、「程良い距離感」のお友達です。

月に一回って、程良く話した内容を忘れていたりして、常に新鮮な気持ちで接することが出来ますよね(そうでもない?)。


そんなお二人のお金に対する考え方や接し方の違いなどもありつつ、それぞれの家庭内の問題や、思いがけない出費のかさみ方が「ああ、わかる、そういう気持ちになるよね」とか、切り詰めても切り詰めても、そして自信を持っていたことが揺らぐことなんかにヘッドバンキングしそうな程、共感を覚えます。

そして、時折というよりも「ちょいちょい」挟まれる、ミュージカルばりの歌や踊り。何で?いつの間にといった感じで、マイクを握って熱唱が始まったりします。まさか歌うと思っていなかったので、若干面食らいましたが、徐々にクセになってきます。


新しい発見は、ジャニーズJr.のお二人が、歌も踊りも上手いこと。

自分はあまりテレビを見ることが無いし、ジャニーズに興味も無くて知らないことだらけですが、ジャニーズ、侮れません(怒られますね)。

ミュージカル『衛生』で、元宝塚の咲妃みゆさんの歌にもとても感動しましたが、今回の舞台でジャニーズの方にも興味を持ちました。新しい扉かもしれません。


渡辺さんの家庭の困り方は、嫁姑問題・小姑問題の絡み合いで弱々しいダンナさんにプリプリ怒りつつもケツを叩き、娘の新婚家庭に問題がありそうなことに気を揉んだり。フォローしてくれる息子さんが明るいところに救われます。

対して高畑さんは、パン屋さんの経営が思いがけないことで逼迫し、同居のお姑さんの認知症に振り回され始めたりで、こちらも大変なことになっていきます。


その中で勃発する、高畑さん発動のグレーゾーン(かなりブラック)な仕事の依頼を渡辺さんのお姑さんが「ビジネス」として受諾するところから、それぞれの家庭問題が意外な方向へ転がり始めます。

日常の中の非日常。スリルとの背中合わせ。

毎日の「大変なこと」から目を逸らす効果としては絶大ですが、如何せん三人が根は善人なので「ビジネス」として上手く回せたようでいて、心臓は常にバクバクの連続。

丁々発止のセリフとオーバーリアクションな動きに、ついつい笑ってしまいました。

自分の後ろの席の男性は笑っちゃうシーンでは、必ず「(そう)だろうっ!!」「ああぁ~!!」といった感じで一人だけ「観客参加型」しておられました。自分もついつい吹き出してしまったので、非常に気持ちはわかります。


ラストでは、渡辺さんの娘の新婚家庭問題や高畑さんのお姑さん問題などが、ホっとする感じで解消されて行きます。

人によっては「そんなにうまく行くもんか!!」となるかもしれません。

でも、今の閉塞感のあるご時世には、気持ちがホっとして大笑い出来るステキな舞台。

お金にみんな散々振り回されていたけど、最後には「ああ、それっ!!」っと、目頭が熱くなりました。


ベタと言えば、物凄くベタな展開だと思います。

なんといっても「喜劇」ですから。

「大いに笑って、ホロっとする、そしてまた笑って・・・」

たまにはそんな気持ちになりたいじゃないですか、特に今は。

派手で壮大で華麗な舞台も良いですが、ほっこり笑って帰る舞台もとても素敵だと思います。

渡辺さんや高畑さんと同じだったり近い境遇だったとしたら、誰かと生け花教室帰りみたいに「大いに愚痴る」ように「楽しかったねぇ!!」と話したい気持ちになりますよ!


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?