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Gとの攻防戦!

部屋で食事をする際に、総菜を買って来ても料理をするのでも、汚れたパッケージやお皿を置いておくのが嫌なので、すぐにゴミ袋に詰めたり洗います。

それなのに、ああ、それなのに。

久しぶりに茶色なアイツがひょっこり現れました。


ふと思うこと、数週間前から。

何となくですが視界にヒュっと何かが動く気配がありました。

大抵はメガネをかけていない状態だったので、かなりふんわりしたおぼろげな景色として。

薄~く老眼的な視力の低下も加算されて、壁の汚れやタオルの模様がファジーに揺れていると思い込んでいました。

しかし、思い込んだら試練の道でした。

ある日洗面所に入って照明を点けたら、アイツと目が合いました(たぶん)。

「ヒャ!!」と、ウッカリ乙女のような声を発したら、アイツも「あ!!帰って来やがった!!」ってな感じで、シャシャ~っと洗濯機の横に滑るように逃げ込んで行きました。


うわ、、マジか、出た・・・


逃げ込んだ先を見ていると、2本の線がちょっぴり揺れているのが確認出来ます。

お互いに息を飲み、次の一手を考えます。

「この線を、自分は掴むことが出来るだろうか?」

不規則な、こちらを試すような揺れを見ていること数分。

「ティッシュなら、いけるか?」

揺れている線よりも細い決意でティッシュに手を伸ばすと、空気の揺れを感じたアイツが「スッ」と気配を消しました。


イーブン。(自分の気持ち的に)


それからはちょっとした壁の汚れや、小さな影、黒っぽい隅っこなど、自分の視線の動きで揺れる全てが全部アイツに見えて来ます。

「ああ、イライラするっ!!」

いとうあさこねーさんの気持ちを骨身に体感。


追い打ちをかけるように、洗面所の端っこや鏡の隅、洗濯機の横に、アイツが小さな「落とし物」をして、「いるよ、まだ♪」と気に障るアピールをしてきます。

その度に「ふんごーーー!!」と息を荒げながら、ティッシュで丁寧に拭き取りさせられます。


ゴキジェットプロ(医療品用、とても強力な味方)を洗濯機の周りや、洗面台の裏の隙間に吹き入れてやろうと思いますが、置いてあるタオルや歯ブラシなど体に接するものを移動させる手間と、もし噴射してアイツだけと思っていますが実は大所帯を組んでいたら・・・と思うと二の足を踏みすぎて捻挫寸前の気持ちに。

シューーっとして、四方から「アイツら」徒党を組んで出て来たら、成す術も無く自分は泣いてしまうに違いありません。


プロの力を借りるかどうか、思い悩むこと数日。

割と忙しかった日にクタクタで帰宅したら、お気に入りのうがいのコップの陰で、ゆったりしているアイツと目が合いました。

「あっちゃー、帰って来た!」

そんな声が聞こえた気がしました。


睨み合うこと数秒。


アイツは自分よりも焦っていたようで、洗濯機横へ逃げずに洗面台中央部分の蛇口の裏に逃げ込みました。

自分はすかさずコップを握って水を汲み、右から左へ水責めを敢行。

やや流されたアイツの先にはハンドソープのボトルがありましたが、ボトル裏をすり抜けて洗面台逆サイド裏に逃げずに、ボトルをよじ登る凡ミス!

若干震える手でボトルごと洗面台に滑り落とし、蛇口を捻り上げます。

ボトルをサっと救助すると、アイツが排水溝へ「南無三だぁぁ!!!」といった雰囲気で、スローモーションでこちらを見やりながら流されて行ってくれました。


「水がもったいない」と思いつつも蛇口を解放し、数秒後に止めたところで排水溝に向かってハンドソープの泡をこれでもかとプッシュ。

隠れていたらたまらないので、排水溝の上の穴(名前がわかりません)にも念の為プッシュ。

しばし心を落ち着かせてから、穏やかな気持ちで泡を流しました。


あの日から「落とし物」も発見せず、穏やかな日々を過ごしています。

戦いは勝利を治めることで終焉を迎えました(大袈裟)。


念の為にゴキジェットプロ(医療品用)をアイツらが通りそうな「道」に散布するべきか。

まだ、アイツが残して行ったトラウマは払拭されていません。

心では負けたか・・・、否、勝ったのは自分。


壮大な話に置き換えて、まずは自分を褒め称えたい。


ああ、何てちっちゃな攻防戦。


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