僕が嫌いな僕の話。

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いつからだろう。突然苦しくなって、切れば治るんじゃないかと思って、掻っ切る。

だけど苦しさは増すばかりで、継ぎ接ぎが増えるだけなんだ。


いつからだろう。突然寂しくなって、誰かを探す。

だけどどこにも、誰もいない。



だって皆のことはもう食べてしまった。

もうどこにもいない。

最初から、知っていたことだ。


悔しかったんだ。

志乃(シノ)は勉強も出来て、部活動のバスケでもMVP選手に選ばれるほど優秀な人だった。

僕は何も出来ない僕が嫌いになった。


憎かったんだ。

瑛大(エイタ)の家は裕福で、お父さんもお母さんも優しそうな人だった。

瑛大もすごく優しくて良い人で、僕は僕の醜さが嫌いになった。


許せなかったんだ。

無意味な人間も、醜い人間も、弱い人間も、なんでこんなに世に溢れているんだろう。

そんな僕は僕がいつだって嫌いなんだ。

嫌いになれば嫌いになるほど、周りには誰もいなくなる。



ほらだって、食べることは栄養を摂ることだろう?食べることは生きることだろう?食べることは生を頂くことだろう?

食べることが出来ることは、得ることができることだと思っていたんだ。


なのに僕が優秀になれることもなければ、僕が優しくなれることもなくて、僕は僕を嫌いなままで。

気づけば僕に残されていたのは、左の奥で規則正しく響くものだけだった。


それも気づけば、もうどこか遠くに聞こえる。



なんでこんなに苦しいんだろう、なんでこんなに寂しいんだろう。

なんでこんなに、僕は人間くさいんだ。

羨ましいなんて、こんな感情。

君みたいになりたいなんて、こんな感情。

僕が僕を好きになりたいなんて、こんな感情。

全部、捨ててしまいたいのに。



ねえ、僕はどこまで人間を捨てたら、人間の僕のことを好きになれただろうか。

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