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Looker Studio でのレポート作成基本編 ~「ディメンション」と「指標」を理解してグラフを作成!~

みなさん、こんにちは。株式会社TSクラウド マーケティングチームの中村です。
今回は、Google が提供する BI ツールの「Looker Studio」について、特に重要な概念である「ディメンション」と「指標」を解説していきます。在庫管理レポートを例に、具体的な活用方法をご紹介します。


はじめに:Looker Studioとは

Looker Studio は、Google が提供する無料のデータ可視化・レポート作成ツールです。Google スプレッドシートや BigQuery、その他さまざまなデータソースと連携して、ビジネスデータを見やすいダッシュボードやレポートに変換できます。
Looker Studio でのレポート作成の始め方はこちらの記事をご覧ください。
今回は在庫管理用のスプレッドシートをもとにレポートを作成しながら、Looker Studio を活用する上で基本的な概念となる「ディメンション」と「指標」についても詳しく解説します。

使用するスプレッドシートのデータ

今回使用する在庫管理用のスプレッドシートは「商品」「入庫」「出庫」の3つのシートからなるデータです。
データサンプルはこちらからダウンロードが可能です。

・商品シート:商品名、商品ID、商品カテゴリ、在庫数を記載(在庫数は「入庫」シートの入庫数、「出庫」シートの出庫数をもとに計算)
・入庫シート:日付、商品名、商品ID、入庫数を記載
・出庫シート:日付、商品名、商品ID、出庫数を記載

商品シート

ディメンションと指標:データ分析の基本概念

スプレッドシートのデータを Looker Studio に接続する前に、Looker Studio でのデータ分析の基本概念となる「ディメンション」と「指標」について解説します。

ディメンションとは

ディメンションは、データを分類・グループ化するための項目です。在庫管理レポートでは以下のようなものが該当します:

  • 商品カテゴリ

  • 商品名

  • 入庫日・出庫日

これらの項目は数値ではなく「属性」を表すもので、データを「どのような視点で見るか」を決定する要素といえます。

指標とは

指標は、実際に測定・集計する数値データのことです。在庫管理では以下のような項目が該当します:

  • 在庫数量

  • 入庫数

  • 出庫数

これらは具体的な数値であり、実際の分析対象となるデータです。

例えば「商品別の在庫数」を示す円グラフを作成する場合は、ディメンションは商品名、指標は在庫数を選択します。

ディメンションに商品名、指標に在庫数を設定すると「商品別の在庫数の割合」を示した円グラフが完成

実践:在庫管理データのレポート化手順

今回はこのような形の簡単な在庫管理レポートを作っていきます。

1. データソースの接続

  1. Looker Studio にログインし「空のレポート」をクリック

  2. データソースとして「Google スプレッドシート」を選択

  3. 接続したいスプレッドシートを選択して「追加」をクリック

今回は「商品」「入庫」「出庫」の3つのシートをデータに追加しました。
※ 執筆時時点での仕様では、スプレッドシートを Looker Studio に接続する際に、一度に複数のワークシートを選択することはできません。少し手間ですが、一つずつワークシートを追加する必要があります。

2. グラフの作成

商品ごとの在庫数を示した表を作成:

Looker Studio にデータを接続すると、自動的に表が 1 つ生成されます。ですが、このままではあまり使える表ではないので、自分が分析したい切り口でディメンションと指標を設定していきます。

データを接続すると自動で表が生成される

今回は「商品ごとの在庫数」を表にしたいので、表を選択し、右側の設定パネルでディメンションと指標を設定します。

  1. 右側の設定パネルでデータソースは「商品」シートを選択

  2. ディメンションに「商品名」、指標に「在庫数」をドラッグ & ドロップ

これにより、表の列の名前が変わり、商品ごとの在庫数を一覧で見ることが可能になりました。

商品カテゴリ別在庫数の円グラフを作成:

続いて、商品カテゴリ別の在庫数の割合を示す円グラフを作成します。

  1. 上部のバーにある「グラフを追加」から「円グラフ」を選択

  2. 右側の設定パネルでデータソースは「商品」シートを選択

  3. ディメンションに「商品カテゴリ」、指標に「在庫数」をドラッグ&ドロップ

これにより、カテゴリごとの在庫数量の割合が視覚的に表示されます。グラフにタイトルを付けたい場合は、右側のパネルの「スタイル」から設定可能です。

日別の入庫数・出庫数の推移をグラフで表示

次に、日別の入庫数および出庫数の推移を示すグラフをそれぞれ作成します。まずは入庫数の推移のグラフから始めます。

  1. 「グラフを追加」から「期間グラフ」を選択

  2. 右側の設定パネルでデータソースは「入庫」シートを選択

  3. ディメンションに「日付」、指標に「入庫数」をドラッグ & ドロップ

同様に、出庫数の期間グラフも作成します。

これにより、時間経過による入出庫数の推移が一目で分かるようになります。時間軸を長期的に取れば、一年の間でどの時期に入庫や出庫が集中するかを把握でき、発注のタイミングなどを計画することが可能になります。

コントロールの追加

日別入庫数・日別出庫数のグラフを作成しましたが、このままでは商品全体の入庫数・出庫数の推移が表示されています。商品別に、例えば「ボールペンの入庫数の推移が見たい!」という場合におすすめなのが「コントロール」という機能です。
「コントロール」とは、レポート内で必要なデータを瞬時に抽出できる機能です。コントロールにもいくつか種類はありますが、今回は選択肢の中から1つまたは複数を選択できる「プルダウンリスト」を使用します。

  1. 「コントロールを追加」から「プルダウンリスト」を選択

  2. 右側の設定パネルでデータソースは「商品」シートを選択

  3. 「コントロールフィールド」は商品名、「指標」は在庫数を選択

プルダウン形式のコントロールが表示されました!(上記のキャプチャはプルダウンを広げた状態)
この中で「ボールペン」を選択するとページ全体が「ボールペン」のデータのみに絞り込まれます。

コントロールはレポート全体に適用することもできますが、特定のグラフにのみ適用させるように設定する方法もあります。また、コントロールでのデータの絞り込みは、レポートの編集者と閲覧者のどちらも使用できます。

レポートの見た目を整える

最後にレポートのタイトルを挿入し、各グラフの文字の大きさなどを調整し見た目を整えると、以下のような在庫管理レポートが完成します。

ディメンションと指標を理解して、さまざまな分析をしよう!

ディメンションと指標の設定を変えれば、さまざまな切り口でのデータの分析が可能となります。みなさまもぜひ Looker Studio で色々なグラフを作成してみてください!

ディメンションを活用したデータの切り口

  • カテゴリー別分析:商品カテゴリーごとの在庫状況を把握

  • 時系列分析:日次・週次・月次での在庫推移を確認

  • 場所別分析:保管場所ごとの在庫分布を確認

指標の組み合わせによる分析

  • 在庫回転率:出庫数 ÷ 平均在庫数

  • 在庫金額比率:カテゴリー別の在庫金額割合

  • 入出庫バランス:入庫数と出庫数の比較

おわりに

Looker Studio を使用することで、スプレッドシートのデータを視覚化し、直感的に理解できるレポートを作成できます。一度レポートを作成してしまえば、あとはデータの更新を確認するだけで済むため、定期的なレポート作成業務の効率化にも大きく貢献します。
ぜひ自社に眠っているデータを活用し、一歩進んだビジネス戦略立案に役立てていただければと思います。

この note では、TSクラウドや働く社員の紹介、Google Workspace をはじめとする IT ツールの徹底活用方法、最新情報などを発信します!
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執筆者:
中村理沙(マーケティングチーム所属)
北海道出身。2024年7月に株式会社TSクラウドに入社し、IT 推進事業部マーケティングチームに所属。SNS での情報発信のほか、Google Workspace を活用した人材養成講座の企画設計・販促活動に従事している。一児の母。

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