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今後の専業保険代理店の“生き残り策”を考える

Ⅰ.総 論

保険業界に長年携わってきたが、結論から言うと、専業保険代理店としての生き残りの道は3つの方法しか選択肢は残されていないと考えている。

1. 他の代理店を吸収合併して大規模代理店にする

2.損害保険会社直轄の代理店に社員として入る

3.上記1.2に属さずに従来通りの独自路線でいく

損保業界は長年、研修生として自社で人材を受け入れ教育しながら、専業(プロ)代理店として育てることで販売網を広げてきた。

この専業代理店は現在約4万2000店といわれているが、そのうち3割前後の店主の年齢が60歳以上の老齢代理店だ。

少子高齢化・自動運転・ネット保険の台頭等でマーケットが縮小していく状況で、さらに主力商品である自動車保険が大幅に減収していくことを考えれば、現状の募集従事者は多すぎで、減らすしかない。

更に、自然災害の多発で台所が苦しくなった損保各社は代理店の統廃合を加速させている。

専業損保代理店の再編統合はもはや“待ったなし”の状況だ。

上記3.の代理店は、店主の高齢化や手数料体系の変更により、いずれ、上記1.か上記2.に吸収されることになるだけ。

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Ⅱ.諦めの境地に至った保険会社の“老齢代理店”ケア


損害保険会社の営業担当社員の仕事は、保険代理店のメンテナンスというか?ケアが主なものだ。

80年代~90年代(保険の自由化前)の保険会社は、社員と代理店(募集人)が【一心同体】【二人三脚】で、新規契約獲得推進してきたという、人と人の繋がりがあるファミリー的な要素はあった。

この時代に真剣に勉強した募集人(ごく一部)は、自立した代理店として挙績を伸ばしている。

老齢代理店主の大御所(あえてこの表現)に話を聞くと、ほぼ全員共通した回答が返ってくる。

「今の自分があるのは保険会社のおかげ。感謝している。」

「でもね、まぁ、俺が保険会社を大きくしたようなもんよ。」

という自慢話が始まる。

「代理店の統廃合とか言ってるけど、俺が言えば保険会社は動く。どうにでもなる。」

といった根拠のない自信がある。

この老齢代理店も、【代理店手数料率は規模が大きいほど大きくなる】ということは知っているので、同一地域内の仲良し代理店同士の合併を模索し、法人化を進めることはやってきた。(やろうとしている?)

ここで考えてほしいのが、それぞれ「想い」があって起業し、独立独歩の経営をしていた人たちが、吸収合併をして法人化したからと言って、うまくいくはずがない。

店主は名プレーヤーだったのだろうが、組織マネジメントの経験も少なく、他募集人に対する教育体制整備、人材募集方法、給与体系、コーポレートガバナンス等の能力も兼ね備えた名監督とは限らない。

マーケット縮小の状況下における【増収増益の仕組み・体制作り】構築し、会社としてのビジョンを明確にしなければ、魅力のない会社を設立するだけだ。

本来は老齢保険代理店行うべき 『顧客に対する保険の説明』 『保険見積もりの作成』 『商品内容の照会応答』などの業務を保険会社社員が代行してきたという経緯がある。

IT化推進、ペーパーレス、キャッシュレス、そして“非対面募集”推進となってくると、ガラケー昭和感覚アナログ老齢代理店は、この流れについてこれないだろう。

損害保険会社の社員は、頭脳明晰な優等生なのだが、企業経営の経験もないわけで、担当者レベルでは、代理店独自の“生き残り策”を提案できるはずがない。

むしろ保険会社の戦略として、担当者には

「老齢代理店には、“生き残り策”は提案するな! 極力手をかけるな!」

という指令がでているだろう。

この老齢代理店の“仲良しクラブ”法人は、遅かれ早かれ “分裂するか?” “行き詰る” だろうから【高みの見物】だ。

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Ⅲ.他の代理店を吸収合併して大規模化を目指す代理店主に必要なこと


上記2.【損害保険会社直轄の代理店に社員として入る】という選択肢は、
募集人サイドから考えると、多様な働き方を尊重しようとしている【働き方改革】と逆行する【“我慢”と“しがらみ”の世界】に自らが足を踏み入れることを意味する。

損害保険会社社員が首脳陣となる体制では、募集人にとっては、窮屈で息苦しい管理体制なのは間違いないだろう。

楽しくもない、言いたいことを言ってはいけない雰囲気、本音を出すことができない雰囲気、加えて自分の時間も確保できない会社に馴染めと言われても、自由人には無理だろう。

腕のある募集人にとって、損害保険会社直轄の代理店は、魅力の欠片もない組織としか思えないだろう。


上記1.【他の代理店を吸収合併して大規模代理店にする】という選択肢を選ぶ代理店に必要なことは、

教科書的な言い方をすると、次の通り。

① “コンプライアンス” と “ガバナンス”の強化

② 商品知識以外の【教育体系】と【マーケティング】

③ 多様化していく社会の変化に即した分野についての知識

④ あらゆる“ソリューション”が提供できる体制。(保険にとどまらない総合金融サービス体制。)

自社の“売り”は何なのか?(他社とは何が違うのか?)明確に簡潔に説明できることだ。


それ以上に必要なのは?

他都道府県の代理店との早期M&Aを視野に入れた活動ができる人材の確保だ。

社長の右腕的存在でもあり、官房長官のような役割でもある人材だ。

この人材は、保険会社の体制や戦略の考え方も熟知していて、各地の大規模代理店も知ってる【保険会社の“定年延長”の嘱託社員】は適任かもしれない。

出世競争で部長や支店長といった“一国一城の主”になった人は、役職定年とともに、関連会社or他社へ移っているので【“定年延長”嘱託社員】の中にはいない。
(そもそも、管理職ポストが長い人は、実務ができないので役に立たない。)

【“定年延長”の嘱託社員】は、どんなに能力があったとしてても、保険会社内で【やりがい】のある仕事など任せるはずはない。

したがって、“働かないオジサン”だらけなのだが、中には、“金”ではなく【やりがい】を求めている“変わり者”もいる。

この“変わり者”をヘッドハンティングするのは得策だろう。


また、“餅屋は餅屋”の発想も必要で、法律、財務、マーケティング等の専門家との連携体制構築も急務だ。

さらに、“クラウドワークス”などを利用していくことも考えておかなければならない。

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Ⅳ.今後の専業保険代理店の体制は?『専属』 or 『乗合』

保険代理店は、保険販売を専門に行う『専業』と、自動車ディーラー、旅行代理店、不動産業者などの『兼業』の2種類に分けられ、保険会社1社に委託された「専属」と、複数の保険会社の商品を取り扱う「乗合」の分類もある。

『専業』で「専属」、 『専業』で「乗合」、 『兼業』で「専属」、 『兼業』で「乗合」 と4パターンの区分けができる。


私は、従業員福利厚生の一環という大義名分の機関代理店(企業の関連会社等)は、

『不要。無駄な天下り先。』

としか考えていない“不要論者”だ。

従業員の保険料チェックオフは総務部門がやればいいだけで、プロパー物件の企業保険について十分に対応できない機関代理店は必要ない。

専業代理店が、大規模化代理店を目指すならば、この機関代理店との提携も視野に入れておくべきだろう。

ここには企業毎の“保険会社”色があるので、『専属』では対応できない場合がでる。
(小規模代理店とのM&Aでも同じこと。)

代理店自体の“意向”ではなく、顧客の“意向”を重視しなければならないので、大規模化した段階で“収支予測”した後でもいいが、『乗合』という問題は避けては通れないと考える。

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Ⅴ.最後に

保険会社勤務時代の経験、独立後の保険代理店“コンサルタント”としての経験から、この業界は、

【井の中の蛙大海を知らない“ゆでガエル”】 


だらけ。

【“木を見て森を見ず”の集団】


でもある。

というのが正直な感想。

金融機関業界の中でも、ずば抜けた“アナログ重視”の時代遅れで、“無駄が多すぎ”。

先進的な考えを持った専業代理店の活躍がない限り、この業界の前途は暗い。


2019.12.18パネルディスカッション レポート




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