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新規就農者でも2年目で成果!? 特殊なポット栽培とオンライン管理システムで実現するブドウ栽培新革命【ゴールドラッシュ株式会社|事業紹介】

ブドウ栽培を始める際、収穫まで通常5〜6年を要する。しかし、2年目で収穫可能となる新しい技術が誕生した。そんな夢のような栽培法を実現したのが、愛媛県の農家「ゴールドラッシュ株式会社」だ。


ゴールドラッシュ株式会社が拓く養液土耕栽培

ゴールドラッシュ株式会社(ナチュラルファームen)代表の品川憲治さんは、2018年に愛媛県果樹研究センターの研修生としてブドウの栽培技術を習得。2019年から、新規就農時の農地が田圃しかなかったため、養液土耕栽培のみのブドウ園をスタートさせた。養液土耕栽培によるブドウ園は農研機構の資料や論文を基にして作りあげ、同センターの助言も受けつつ栽培技術を高めてきた。2022年からは、愛媛大学との共同研究を始め、2023年には国立研究開発法人 物質・材料研究機構との共同研究も開始した。

また、自身でYouTubeチャンネル(チャンネル登録者数26,000人)も開設しており、ブドウ栽培のノウハウを発信している。

解決したい課題

品川さんは、トライアングルエヒメを通して以下の3点を解決したいと考えている。

①儲かる農業経営モデル
→早期かつ持続的に利益を生むことができる、新しい収益モデルの追求。新規就農者でも取り組みやすい仕組みを構築することで、次世代の農業の担い手を増やすことを目指す。

②渇水やゲリラ豪雨など、異常気象へ対抗できる潅水の仕組み
→ZF2型オンライン管理システムを用いることで、近年増加する異常気象にも左右されない灌水技術を確立。ブドウ栽培の安定化を図る。

③耕作放棄地や遊休地の利用、相続しても使えない田圃の利用
→養液土耕栽培を活かし、通常の果樹栽培が困難な土地でも高収益が見込める農地へと変革する。

養液土耕栽培とは

そもそも養液土耕栽培とは、特殊なルートラップ(不織布)ポットを使用し、根域に最適な養液を供給することで、効率的に果樹を育てられる栽培方法だ。

ポットの間に灌水チューブを通し、養液を精密に管理している。

【養液土耕栽培を行うメリット】
​​①初心者でもマニュアルに沿えばA品を作りやすい
→新規就農者の増加・農地継承。

②2年目から収穫可能
→早期成園化を実現。経営の早期黒字化が可能。

③土壌を選ばず、どこでも即座に果樹園経営ができる
→栽培予定地の土壌改良(土づくり)が不要。耕作放棄地や遊休地利用、田圃転作がスムーズである。

品川さんいわく養液土耕栽培を行う場合、20aほどの広さであれば、一人の労働力で事足りてしまう面積だという(収穫時のみ臨時労働力を投入することが望ましい)。つまり、労働力不足の解決にも繋がる。

養液土耕栽培の基礎技術である根域制限栽培(ポット栽培)は、1980年前後から研究発表された技術であるが、その肝となる水と肥料の管理が複雑である。そのことから、栽培に取り入れる農家も少なかった。
そこで品川さんは、より簡単に水と肥料の管理ができるよう、オリジナルの灌水施肥管理システム「ZF1型」を開発した。初期モデルであるZF1型は、8件の生産者(全員農業初心者)にモニター実装済みで、早期成園化を実現できた。

しかし、ZF1型を実装したことで、①現行ZF1型はオフライン型であり、操作は簡易ではなく、丁寧なサポートが必要である、②ZF1型の運用指示は、農園主(熟練者)が経験に基づいて行わなければならない、という課題がみえた。

そこで品川さんは、FZ1型をインターネットを介したオンライン型にバージョンアップすることで、遠隔操作を可能にし、サポート体制の仕組化を行う必要があると考えた。

オンライン管理システム「ZF2型」を開発・協力園地へ導入

今年度のトライアングルエヒメでの取り組みとして、オンラインで管理できるZF2型の開発を進めた。

ZF2型では、専用アプリで水や肥料の管理や園地のカメラ映像を確認できる。つまり、毎日園地に行かなくても手持ちのスマートフォンを使い、遠隔で栽培管理が可能となるのだ。また、農家の許可があれば品川さんが各農園のデータや映像を確認し、それをもとにアドバイスを行うこともできる。

2024年8月にZF2型は実装可能な段階まで完成しており、新規でブドウ栽培をはじめるモデル園地へ導入された。

ZF2型の導入先①「さとう農園」(大三島)


さとう農園の佐藤さんは、2020年に大三島に移住し、新規就農者として果樹栽培を行っている。もともと品川さんのYouTubeチャンネルの視聴者で、品川さんが提唱する養液土耕栽培に興味を持ち、2023年から養液土耕によるブドウ栽培をスタートした。

約5aの面積に50本の木を置き、2年目にあたる2024年に収穫できるまでに成長した。

▪️さとう農園 佐藤さんコメント


養液土耕栽培はポットの中の土だけで栽培するので、肥料の管理がとても重要です。栽培にあたって大変なこともありましたが、灌水システムのおかげで気候などにあわせた細かな調整が可能で、自動で水と肥料をあげることができるので、とても栽培しやすかったです。

また、この栽培方法は力仕事も少なく、体力に自信がない私でもそこまで負担に感じずブドウ栽培にチャレンジすることができました。来年はさらにブドウの収量をアップすることが目標です。

ZF2型の導入先②「農業生産法人 有限会社 こんぱら」(今治市)

愛媛県今治市大西町紺原地区にある農業生産法人 有限会社 こんぱらは、米をメインに、たまねぎ、さといも、キュウリなどの野菜など約40haもの農地を管理・栽培している。「次世代農業の継続と 未来に向けて挑戦し続けること」をミッションとし、スマート農業にも積極的に取り組んでいる。

しかし、職員の高齢化により次世代の担い手不足、そして稼げる農業経営モデルを模索している状況だった。

そんなとき、品川さんがトライアングルエヒメで進めるオンライン管理システムについて知り、ブドウ栽培に参入することに。

有限会社 こんぱらの畑には、ブドウの木77本を置き、内35本は品川さんの農園から譲り受けた6年ものの木を置く予定だ。現在は何も栽培されていない畑を、新たにブドウの園地として用意しており、品川さんも園地の視察を行った。

農業生産法人 有限会社 こんぱら 代表取締役 菅 惠志さん(右)、近藤 清志さん(左)

▪️農業生産法人 有限会社 こんぱら 近藤さんコメント


品川さんが行っている栽培方法については、品川さんのYouTubeチャンネルを拝見し1年以上前から知っていました。とても良い栽培方法だと思っていたところ、実際に品川さんの農園に伺い栽培方法を見る機会があり、お話を聞く中で新規事業としてチャレンジしてみたいと思いました。

養液土耕栽培を導入することで、売り上げアップが期待できるだけではなく、従業員に高齢者が多い私たちの会社にとって重労働が少ない点にも魅力を感じています。また、この栽培方法だと労働力もかからないため、まずは私一人で管理を行う予定です。早速来年収穫ができる予定なので、今から楽しみです!

今年度の意気込み

▪️ゴールドラッシュ株式会社(ナチュラルファームen)代表 品川憲治さん
果樹経営において、植え付けから収穫までの数年、収入がゼロというハードルにより新規就農や新規参入がしにくいという課題がありました。それが、この栽培方法と管理システムを導入いただくと2年目から成果を実感いただけます。さらに、トライアングルエヒメでオンラインの新型モデルが完成したことで、「通勤農業」から「オンライン農業」へとシフトできるようになりました。遠隔操作が可能となったことで、たとえば遠く離れた東京からでも愛媛の農地を管理することができ、これまで中山間地で打ち捨てられた農地も活用しやすくなると思います。

今回導入いただいている「さとう農園」さんをはじめ、導入先の農家さんにも成果を実感いただいておりますので、引き続き実装パートナーのみなさんからのご意見もいただきながら、さらにシステムをブラッシュアップさせたいです。

次のステップとして、オンライン管理システムのAI化を目指します。枝葉や果実などの生体情報と、気温・湿度や日射などの栽培環境情報を収集・分析しAIに学習させ、初心者でも良質なブドウを安定的に作ることができるような運用サポートの実現を目指します。

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