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距離の制約を超えて人と人が繋がるテレプレゼンシステム「窓」を活用! スナックを起点とした関係人口の造成【ソニーデザインコンサルティング株式会社|事業紹介】

南予地域でのナイトエコノミー造成による地域活性化企画として、2023年11月3日から2024年1月上旬まで、大洲市で実装された「迂回ラジオ2023 in 大洲」。プロジェクトリーダーである「ソニーデザインコンサルティング株式会社」(以下、ソニーデザインコンサルティング)と、地元の実装パートナー「一般社団法人キタ・マネージメント」が共同制作した、愛媛県では初の試みである「音声AR」と「プロジェクションマッピング」の体験コンテンツだ。この大洲の夜の街あるきを楽しんでもらうプロジェクトは実装後、来訪者は2500名増加し、取得したデータの分析を踏まえて夜間営業する飲食店も増加、新たなイベントの企画実施に繋げるなど、地域住民の行動変容も実現。現在も、地元事業者による月1回の夜間飲食イベントにもつながり運営されている。2024年度はさらに取り組みを深化させ、「迂回バル」の実施により、年間450万円の観光需要を見込んでいる。また、中長期的には夜間飲食店誘致により、年間4,800万円の経済効果を創出する目標も掲げている。

2023年度、大洲市での実装概要はこちら▼

 ソニーデザインコンサルティングは、2024年度は、南予の別地域で新たなナイトタイムエコノミー活性のためのプロジェクトを進める。


2024年度は南予エリア(松野町、愛南町、大洲市)で事業展開予定!第1弾として「愛南町」の実装がスタート


愛媛の最南端に位置し、牡蠣やカツオ、ブリや真鯛などの海産物、香り豊かで爽やかな酸味の愛南ゴールド(河内晩柑)など、特産品の宝庫である愛南町。一方で観光要素の訴求が弱く、旅行先の候補としてあがってこない現状がある。2025年には120超の部屋数をもつホテルを新設予定で、観光客の誘致や関係人口の造成をはかることが急務となっている。愛南町の魅力を広く伝える施策として、今回注目したのがスナック文化だ。

愛南は人口約2万人に対して、スナックなど夜営業の店の割合が多い町。しかも中心部に店が集まっているので、はしごしやすく、初めて訪れた人でも地元の人たちと気軽に交流できる温かい雰囲気がある。令和3年に地域おこし協力隊として愛南に移住してきた関根麻里さんもそのスナック文化の魅力にはまった一人。お酒が大好きだったこともあり、スナックに頻繁に通うように。そこで仲良くなった人たちに店を紹介してもらったり、はしご酒をする中で顔見知りがどんどん増えていき、自然に地域に溶け込んでいけたそう。そんなスナックの魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいという想いで、一軒一軒店をまわって協力を仰ぎ、完成したのが「愛南YOASOBIマップ」だ。

彼女によって掘り起こされた愛南のスナック文化を切り口に、魅力的なスナックと町外を繋ぐテレプレゼンシステムを使った遠隔営業が企画されることになった。

その企画で地方創生をはかり、誘客の仕組みを作っていこうという試みが今回の愛南町での実装プロジェクトになる。最終的には愛南町に観光に来てもらうだけでなく、地域に愛着を持ってもらえる人を増やしていく、つまりソニーの技術を通じて、愛南町の関係人口の創出や拡大で最終的にはリアルに地元の人と交流してもらうことや、文化を伝えていくことを目標に掲げている。

「どこでもドアならぬ、どこでも窓」で、愛南と銀座を結ぶMUSVI社のテレプレゼシステム「窓」× 愛南スナック

今回の実装には、ソニーの技術を活用したテレプレゼンシステム「窓」を採用。※「窓」はMUSVI株式会社より提供

■テレプレゼンシステム「窓」とは

「窓」は、遠い場所、行きづらい場所、近くても行けない場所を繋ぐテレプレゼンシステムだ。縦型の大きなモニター画面で、全身が映り、時差なく会話できるだけではなく、気配や空気感、雰囲気に至るまで、あたかも同じ空間にいるような自然なコミュニケーションができるのだ。「臨場感」についてはソニーの強みである映像や音響のクオリティを追求し、「気配」については、人間がどのように人や空間を認識しているのかという認知心理学の知見を応用している。等身大の相手と目線を合わせながら、指差しや寄り添いといった身体的な動作でより親身にインタラクティブな共創作業ができる画期的なシステム。例えばZOOMなどを使用したテレビ会議では相手の顔や発言、資料など“中心視野”の情報のみを扱っているが、「窓」では縦型大画面による等身大の相手や“周辺視野”に映る空間の奥行き、常に双方向の高音質技術によるハンズフリー会話だけでなく、相手の存在感や環境音(耳障りなノイズは除去)まで伝わることによって、リアルに同じ空間にいるような感覚が生まれる。距離の制約を超え、人々の関係性の質を向上させる「場」の創出をするだけでなく、親和欲求をも満たしてくれる。

愛南に関わる人々の協力で実現したイベント

愛南町城辺出身の間口一就さんが東京銀座で経営している「ROCK FISH」と愛南の「Snack Jun」をテレプレゼンシステム「窓」で繋ぐイベントを2024年9月23日に開催。ハイボール人気の火付け役でもあり、おつまみに関するレシピ本も多数執筆している間口さんはウイスキー愛好家の中ではかなり知られた存在だ。今回のイベントのために間口さんがレシピを考案した「愛南ゴールドハイボール」と、愛南特産のカツオたたきをタルタルにしたサンドイッチも両店で用意、参加者に振る舞われた。

スッキリと飲みやすく、参加者から好評だった「愛南ゴールドハイボール」
銀座、愛南の両店で提供された間口マスター考案のカツオのタルタルサンドイッチ
イベント開始前。銀座の「ROCK FISH」に設置された「窓」の縦型ディスプレイ。「Snack Jun」の店内が見渡せる
「窓」のテレプレゼンシステムについて説明するMUSVI株式会社代表取締役の阪井祐介さん。イベント当日は自宅から参加
左は銀座側、右は愛南側の写真。ディスプレイの前まで行って、目の前で対面しているかのように自然に会話している
ディスプレイ越しに乾杯しながら、会話する場面も

きっかけとなった愛南YOASOBIマップ制作の経緯と移住の話

このイベント企画を実現するきっかけとなった「愛南YOASOBIマップ」。制作者である関根麻里さんは現在、愛南町役場企画財政課政策推進室に勤務し、移住定住支援員としても活躍している。イベントの途中、愛南の魅力や地域での暮らしぶりなどについてお話しする時間も設けられていた。「まずは一歩を踏み出すのが協力隊の仕事でした。マップを作ったら終わり、では嫌だし、東京から愛南に来たからこそ、見えるもの、できることがいっぱい。せっかくのこの機会を活かして、今後はいろんなことに繋げていきたいと思っています」と熱く語ってくれた。

「愛南YOASOBIマップ」の説明をする関根麻里さんと、ソニーデザインコンサルティングの福本忠宏さん

イベントの感想とこれからの展望

「銀座 ROCK FISH」間口一就さん

愛南町城辺で育ち、幼い頃から釣りが大好きだった間口マスター。店名の「ロックフィッシュ」はカサゴなど根魚(岩礁魚)を意味する。唯一無二の氷なし角ハイボールと、独自のアイデアで生み出すオリジナルのおつまみが魅力で、根強い人気のバーだ。愛南町観光親善大使も務めているが、仕事柄、もう8年も帰省していない。愛南の同級生からの声がけで今回の企画が実現した。

「Snack Jun」のカウンター席には間口マスターの同級生たちも集まっていた。
同級生からは、「銀座の店にも飲みに行ったことがあるが、5年ぶりぐらいに今日会えた。リアルで向こうが何をしているかすぐわかる、まるで隣の部屋にでもいるかのような感覚ですごいですね」「間口くんに会うのは久しぶりだけど、ぜんぜん変わってなく元気そうで良かった。銀座のバーに行ったことないけど、画面も大きいし、銀座のお店に居るかのような感覚になれる。同じ空間を共有してるし、実際に銀座にも行ってみたいなという気持ちになりました」との喜びの声が挙がった。

 その話を受けた間口マスター。「今回開催されたイベントで特に良かったことは、久しぶりに友人や知人に再会できたことです。大きなディスプレイを通じて、遠く離れているはずなのに、すぐ近くにいるような迫力と臨場感を感じ、まるで地元に帰っているかのような気持ちになりました。懐かしい方言もたくさん耳にすることができ、地元に帰省してその場所に立っているような感覚にもなれました。次回開催する時は、お酒だけでなく、地域の文化を繋ぐようなイベントもできたらいいなと思っています。例えば、祭りの準備や練習風景、後片付けと行った地域ならではの文化の裏側を共有し、人と人が繋がる機会を作るのも楽しそうですね。様々な可能性が広がり、これからがとても楽しみです」と語ってくれた。

「愛南 Snack Jun」ママ・入江由美さん 大ママ・入江順子さん

創業50年の老舗スナック。現役で今もお店に出ている大ママとともに、安心してくつろげる店づくりを心がけ、明朗会計でリーズナブルなお店で地元の女性にも人気のスナックだ。

「始まる前までは、緊張するかなと思っていました。でも始まってみると、本当に自然な感じで銀座と交流できていて、遠く離れているとは思えないし、とても楽しいですね。今日はバーのマスターなど地元の飲食店の方たちにも来てもらっているので、他のお店でもどんどんやってもらえたら。地元飲み会や音楽セッションなど、展開の仕方も無限にありそうで、いろんなカタチで盛り上がって欲しいと思います。」とママの由美さん。おつまみのレシピについて、間口マスターに質問したり、銀座側のお客さんとの会話も楽しんでいた。

ソニーデザインコンサルティング株式会社 デザインプロデューサー 福本忠宏さん

美味しい特産物もいっぱいあって、人も温かい魅力的な愛南町。しかし、観光という視点で考える訴求が足りていないので、まずは愛南町の魅力を知ってもらうことが大切と考えました。課題解決のため、自社の商品やサービスだけでなく、自社以外のものも含めて効果的な方法は、と考えた結果、「窓」の活用を思いつきました。「愛南YOASOBIマップ」の存在を知り、スナック文化が街の資産、ならばそれを使ってPRしていこうと思ったわけです。「窓」はすでに企業やコワーキングスペースなどで活用されているシステム。本社と支社のオフィス同士が常に繋ぎっぱなしになっていて、隣の部屋にいるスタッフに声がけするような感じで活用されています。また、離島での個別指導や遠隔ワークショップなどの教育分野、さらに介護・医療分野などでも導入され始めています。旅行雑誌とかではなく、愛南の人たちと仮想的に触れ合う機会を、と考えたときに「窓」はうってつけのシステムでした。

スナックといえば、男性客やシニア層、固定客という概念がありますが、女性客や若い人、非固定客をターゲットにすれば、新規開拓ができる。でも、その打ち出し方がわからず困っていることが課題だったのです。都会に住んでいる人が、「窓」を通じて、ママや地元のお客さんたちと会話を楽しむ中で、愛南を知るきっかけになり、実際に愛南まで遊びに行こうと思ってくれたらいいですよね。今回は「Snack Jun」で開催しましたが、このデバイスを2025年1月頃まで活用し、愛南にある様々なお店に持って行きたいと思っています。既存のビジネスの延長上で考えると狭いマーケットの中でアイデアがなかなか出てこないもの。いろんなお店と連携しながら展開し、やってみたらこんな反響があった、新しいお客さんが増えた、ということになったら良いと思っています。そして愛南の魅力や文化を地道に伝えていくためにも、一過性ではなく継続的に続いていくことが大切で、自走していただき、企画をうまく活用していただければと思っています。また、地域で足りないところ、技術をこう使ったらいいのでは、などとアイデアを出しあって勉強会を開催したり、新しい企画に繋げていきたいと思います。


昨年から引き続きの大洲、愛南での実装とともに、松野町での実装も予定しているソニーデザインコンサルティング。次回は3市町での実装状況を紹介するのでお楽しみに。

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