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植物生体情報による農業生産ノウハウDX【PLANT DATA株式会社】

農業従事者の高齢化、新規就農者の減少など農業にはさまざまな課題がある。農業従事者の数は、今後5〜10年後には2011年の半分以下まで低下する可能性があるという。新規就農者がスピーディに農業を習得し、軌道に乗せるためのプロジェクトが、西予市野村町を舞台にはじまる。

経験と勘に頼りすぎない農業を確立し、参入障壁を低減する(実装フィールド:西予市)

写真左:PLANT DATA株式会社の北川さん
写真右:フローラルクマガイの熊谷さん

今回のプロジェクトメンバーは、熟練生産者であるフローラルクマガイと新規就農を希望している木森裕規・愛夫妻。
フローラルクマガイは、糖度10〜12度の超高糖度トマト「うるるんトマト」を生産しており、ブランド化に成功している。「うるるんトマト」は、目視による生育状態の観察と、経験と勘に基づいた水ストレスを巧みに操る「根域制限栽培」で生産されている。
さらに、フローラルクマガイは、この「うるるんトマト」の地域展開を希望しているが、生産方法が経験と勘に基づいているため、他の生産者にスピーディに生産方法を伝えることが難しいと感じている。
 
一方、木森夫妻は西予市に移住をしてきた若き夫妻。この地域で農業生産を行うことを希望しているものの、農業経験が全くない完全な新規就農者である。その一方で、彼らが農業の担い手となれば、若手新規就農者として地元の農業・地域活性化のシンボル的存在になることが期待されている。
 
実装計画は、フローラルクマガイのもつ栽培管理方法をデジタル化・見える化し、そのデータを木森夫妻に提供することで、農業を早い段階で軌道に乗せ、新規就農者が参入しやすい環境を整える。

2つの装置の導入で、植物の生育状態が丸わかり?!(チャレンジャー:PLANT DATA株式会社)

今回この問題を解決するのがPLANT DATA株式会社だ。同社は植物自体の生育状態をデータ化し、さらに商業的な生産現場に落とし込む実装技術をもつ。今回の実装実験では、この植物生体情報計測技術を活用し、生産ノウハウをデジタル化する。そのデータを使って新規就農者が早期に生産技術を習得することを目的としている。
 
活躍する装置は、「植物画像診断ロボット」と「光合成チャンバ」。
これまで、大規模農園で使用されてきたが、今回の実装実験のために小規模生産者向けにカスタマイズされる。「植物画像診断ロボット」は、1日1回、夜間に植物を撮影した動画をサーバに自動で送信するようプログラムされている。農業生産現場においては、湿度や温度が高く、機械にとっては過酷な環境となるが、そういった状況で自律的に動く装置は画期的だといえる。

光合成チャンバ

さらに、「光合成チャンバ」は、光合成と蒸散といった植物の重要な代謝を測定する。それにより、植物の健康状態がわかるのだ。「うるるんトマト」は、水ストレスによって糖度を増しているが、水ストレスを与えるあまり枯らしてしまっては意味がない。そのギリギリのラインを見極めるのに重要な役割を果たす。

データを解釈し、意味づけをする

「植物画像診断ロボット」と「光合成チャンバ」からデータを習得しても、これらのデータが何を意味しているのかといった解釈は、経験のあるフローラルクマガイにしかできない。植物画像診断ロボットで得たトマトの画像、光合成チャンバの数値的データにフローラルクマガイが解釈を加えていくことで、生産現場で利用できるデータとなる。

データを元に水ストレスを操る

これまでトマトの糖度を上げるために行っていた「水ストレス」は勘と経験が頼りだったが、2つの装置とフローラルクマガイの解釈のもと作成されたデータによって、新規就農者もこの「水ストレス」を比較的容易に習得できるように。それにより、付加価値のあるブランドトマト「うるるんトマト」を新規就農者も早い段階で栽培できるようになり、農業を軌道に乗せることができる。「うるるんトマト」をより多くの農家が栽培できるようになると、特産品として地域展開することが可能になり、地域活性の一助になると期待できる。

農業生産ノウハウDXにより農業を産業化する

今回の実装実験を元に、植物生体情報によって農業生産のノウハウをデジタル化したAIモデル・統計モデル「愛媛モデル」が作られる。ここから全国で展開していくにあたり、その地域でのデータを強化する必要はあるものの、まずはこの「愛媛モデル」がベースになっていくという。
熟練農家の経験と勘をデータ化することで、新規就農者が参入しやすい土壌を整え確立する目的を持った今回のプロジェクト。
ファーストペンギンとして、今後の農業に新しい風を吹かせるだろう。

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