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トライアングルエヒメ中間報告会「FusionDays」【実施レポート】

2024年10月8日に令和6年度愛媛県デジタル実装加速化プロジェクト「トライアングルエヒメ」の中間報告会が開催された。

2021年からスタートしたトライアングルエヒメは、3年間で応募総数約1,000件、採択プロジェクト数約100件にも及び、国内最大級のデジタル実装加速化プロジェクトとして、優れた事業者のデジタルソリューションを使い、地域課題解決や稼ぐ力の向上を目指してきた。

2024年度は、継続事業27件、新規事業は20件採択された。

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10月8日に今年度の採択事業者による中間報告会「FusionDays」が、ANAクラウンプラザホテル 松山にて開催された。


FusionDaysオープニングムービー

この報告会の実施目的は、 これまでのトライアングルエヒメの成果(実装定着、横展開、拠点設置)を、 県内外に広く発信すること、そして県外企業のさらなる誘致に繋げるとともに、 採択事業者間のネットワークの構築などを図ることである。

報告会の参加人数は約160人、参加者数約100人。

中村時広愛媛県知事による挨拶

2021年にトライアングルエヒメを立ち上げるにあたって、コロナ禍で人々の意識が大きく変わったことに着目し、価値観が変わる、暮らし方が変わる、働き方が変わる、遊び方が変わる、その中で場所を選ばずに働けるということは地方によってチャンスだという逆転の発想で、「行政のDX」、「生活のDX」、「産業のDX」の観点から、攻め込んでいく必要があると判断しました。そこで、このトライアングルエヒメは、フィールドを県内の企業の産業の底上げに結びつけ、新しいチャレンジによって成功に導いた場合は、横展開に繋がる。そこに、新たな雇用や事業所が生まれ、相乗効果を狙ってけるという発想がありました。

トライアングルエヒメは、応募だけで約1000件にも及び、その中で93件の事業に可能性を感じ、実際に県内で動いている状況です。私は、実装へのチャレンジを将来的にサポートする体制も必要だと考えております。一つは「人材の確保」です。2年前に県内にある4大学の学長に直接「新しい学科、学部を創設して欲しい」とお願いしました。デジタル人材を育成することにより、企業も愛媛に来てくれる環境ができるはずだと考えたからです。現在、4大学全てで順次新学科が作り始められているところです。

もう一つが、県庁の建物の老朽化に伴い、県庁内に「人材と企業の結びつきをサポートする場所をつくる」ことです。令和8年の春に完成予定の県庁第二別館の1・2階は共創拠点とします。この場所が、課題解決の出会いの場になる予定です。

このように、トライアングルエヒメと周辺の様々な取り組みを組み合わせることによって、地方が輝ける可能性が十分にあると私は信じています。そのために、トライアングルエヒメに採択されている皆様の挑戦が成功することを心から願っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

(一部抜粋)

採択事業者8社による事例発表

続いて、継続採択事業者と新規採択事業者の8社による事例発表が行われた。
以下は、事業者名と取り組みの概要である。
(各事業の詳細は、今後トライアングルエヒメのnoteにて公開予定)

(1)株式会社インターネットイニシアティブ
名人の柑橘栽培技術可視化/潅水制御デジタル化。

▼令和5年度IIJ事業紹介記事
https://note.com/tryangle_ehime/n/n52d212abb454

(2)株式会社セラピア
中小製造企業現場作業員主導型DX(業務効率化等アプリ製作)。

▼令和5年度セラピア事業紹介記事
https://note.com/tryangle_ehime/n/n96a568f01b81

(3)株式会社MATCHA
観光分野における多言語情報発信のPDCA自走化。

▼令和5年度MATCHA事業紹介記事
https://note.com/tryangle_ehime/n/n682bb22d7088

▼令和5年度MATCHA実装成果記事
https://note.com/tryangle_ehime/n/n3149dedd9885
 
(4)株式会社ビースポーク
AIを活用した外国人労働者の多言語研修ツールの自動生成とAIメンター。

(5)株式会社松尾研究所
学生向けAI人材育成、生成AIスタートアップとの共創モデルの創出。

(6)FAVTOWN Ehime
2024年7月23日に松野町・鬼北町・愛南町でスタートした若い世代と地元を繋ぐサービス。

(7)VALT JAPAN株式会社
PCを使ったデジタル業務導入で障がい者の工賃向上。

(8)ゴールドラッシュ株式会社
ブドウのポット栽培と養液管理システムを用いた早期収穫と収量向上。

このなかから、昨年度から継続採択された事業者2社の事例をより詳しく紹介する。

株式会社セラピア

同社は中小企業の現場から日本経済の躍進を目指すスタートアップであり、稼働率向上・若手人材の確保・技術継承といった、ものづくり中小企業の課題を、現場が持続的に実装可能なITツールを活用して解決するDXプロジェクトを進めている。そもそも、ものづくり中小企業のDXが進まない理由として、(1)独自オペレーションが多く、一般的なITツールが現場プロセスに合わない(2)情報がなくDXが自分ごと化されない(3)ITスキルを持たない人が多いなどが挙げられる。そこで、わずか2ヶ月でITツールを作ることができる、オリジナルコンテンツとコーチングを軸にしたノーコード開発教育サービス「アプレルダッシュ」を使い、企業自らがITツールを作り、自分たちでDXを推進できる土台作りを行った。昨年度の成果として、愛媛県松山市の株式会社ユタカで、5種類のアプリを作り、実際に業務の改善に繋がったなど、成功事例を創出することができた。続いて、東予地区での成功事例の創出のために、えひめ東予産業創造センターと連携し新居浜市の登尾鉄工株式会社とマッチングし、ユタカ同様に成果に繋げることができた。

今年度は、愛媛県の製造系クラスターの構築を目指し、セラピアがメンター企業を創出し、メンター企業が地域の他企業に教えるといった、DX自走エコシステムの実装を進めている。実際に、登尾鉄工株式会社がメンター企業となりアプリの開発方法を地域の企業6社に教えている。また、ユタカとAIを開発している会社がタッグを組み、製造業特有のエラーに対する是正報告の記載内容の示唆出しをサポートするためのAIを構築を進めている状況だ。さらに、愛媛県内の精密加工に強い企業を集め、企業が共同受注し、対応を行う新たな愛媛製造クラスター&製造サプライチェーンの構築を目指している。

株式会社MATCHA

日本最大級のインバウンドメディア「MATCHA(マッチャ)」を運営する「株式会社MATCHA」は、インバウンド誘客に悩む観光事業者などに対して、訪日観光客に向けたマーケティング戦略や、プロモーション方法の提案、コンテンツ制作、ターゲットの可視化などを一気通貫で行っている。

昨年度は、愛媛県の自治体・観光事業者を対象に、日本語で入力するだけで簡単に10言語に対応した多言語コンテンツを作成することができるサービス「MATCHA Contents Manager(通称:MCM)」を活用し、愛媛の魅力を世界中の訪日関心層に発信した。コンテンツ作成に挑戦したのは、大洲市のDMO、キタ・マネジメントと、しまなみエリアの株式会社瀬戸内しまなみリーディング、GLAMPROOKしまなみなど。各団体で作成したコンテンツを作成し閲覧データの蓄積・分析を行うことで、興味関心を持っているターゲットの理解や、新たな施策を講じることができる。

実際に、キタ・マネジメントの事例でいうと、2023年9月から2024年2月の時点で、38記事もの記事をアップできた。さらに、MATCHAの平均クリック数6%に対して、大洲市の記事のクリック数(平均)が10.59%と大幅に上回る結果に。台湾・香港の読者が50%を超えており、アメリカ・オーストラリア・イタリア・イギリス・スペイン・フランスと欧米豪圏の人からも見られている状況であるとわかった。

さらに、トライアングルエヒメで採択されている旅ナカプレイヤー「ソニーデザインコンサルティング株式会社」「株式会社ON THE TRIP」と連携し、MCMにてそれぞれの取り組みについて発信することで、送客連携を進めることができた。

昨年度の取り組みを経てMATCHAは、インバウンド誘客に対するモチベーションの底上げと、
各地域が狙うべきターゲットに向けた戦略的多言語発信を自発的にできるようにする必要があると考えた。
そこで、今年度はインバウンドを最重要誘客ターゲットと定める大洲市を中心に以下2つの取り組みを推進する。

(1)大洲市周辺の自治体と連携した「旅慣れした個人の訪日客」にターゲットを絞った情報発信

昨年度に引き続き、キタ・マネジメントを実装パートナーとし、南予エリア全体の面的な多言語情報発信の基盤づくりをMCM Premiumを使って進める。

(2)瀬戸内エリアの事業者とのインバウンド誘客に向けた横連携基盤の構築

2024年11月7日・8日の2日間で開催するインバウンドサミットin瀬戸内にて、広域で戦略的に地域を巻き込みながらインバウンド施策を検討する重要性を考える。同時に、瀬戸内エリアの観光資源を生かしたローカルな旅ならではの魅力を地域事業者側から自発的に発信するからこそ取り組めるサステナブルツーリズムについて、理解を深める機会を創出する。

ネットワーキング

各分野に席をわかれ、ネットワーキングの時間が設けられた。

このように、継続・新規採択事業者が直接集まり交流の場が設けられるのは今年度初めてで、各事業者に有意義な意見交換の場になったようだ。

ネットワーキング後は、宴会場に場所を移し今年度残りの期間も愛媛の課題解決のために士気を高める場となった。

広報事務局では引き続き、2024年度のトライアングルエヒメの取り組みを取材する。
各プロジェクトの進行状況については、公式noteの記事をお見逃しなく!


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