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5-11.難しいパッセージの練習

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いよいよ今回が第5章の最後であり、「技術本」の最後のお話になりました!
最後は「難しいパッセージの練習」について解説します。


原因を見つける
「難しい」「うまく演奏できない」と思っているだけでは当然解決できません。大切なのは「どこが原因なのか」「何が原因なのか」を見つけること。これが解決への第一歩です。

しかし、その前にとても重要なことをお聞きします。その「第一歩」はどこへ向かえば良いのでしょうか?経路は理解できていますか?目的や行き先が定まらないのに飛び出してしまっては意味はありません。第一歩を踏み出す前に確認しておくいくつかを挙げてみたいと思います。


基礎の大切さ

そもそも「難しい」「うまく演奏できない」と感じるのは、自身のイメージに対してそれを実現できる技術がない、もしくは不足していることが原因です。これは言い換えるならば基礎が不安定だから、と言えるでしょう。「そんなこと言われても!」と思いますよね。だから練習を続けているし、このブログだってご覧いただいているわけですから。基礎が不安定であることを非難するつもりはまったくありません。私だって基礎が安定しているとは思っていません。まだまだです。
そうではなく、難しいパッセージを演奏できるためのドラえもんのひみつ道具などないから、常に意識しておきましょう、と言いたかっただけです。


[コンディション]
一歩踏み出す前に確認したいひとつが「コンディションは安定しているか」です。例えば、もし目の下にクマを作って身も心も疲れ切った人が「これから難しいパッセージを克服するぞ~(フラフラ)」と言っていたら、あなたは迷わず休ませるはずです。
それは大袈裟だとしても、心身のコンディションも楽器を演奏するコンディションも、さらには楽器そのもののコンディションも十分な状態でなければ意味がありません。体のコンディションはここでお話する内容ではありませんので、ぜひご自身で健康管理をされていただきたいところです。
楽器のコンディションも当然のことですから、日頃からオイルの注入やグリスの塗布はもちろん、定期的な管内洗浄を心がけ、問題があればリペア(修理)に出すようにしましょう。
そして、楽器演奏のコンディションを安定させるために最も重要なのがウォームアップです。

ウォームアップに関しては「1-3.ウォームアップと基礎練習」に考え方について書きました。自著「ウォームアップ本」もご参考にしていただければと思います。

ウォームアップについてひとつお話しますと、常に同じ課題をノルマのようにこなせば良いのではなく、正しい知識を元に自分自身を見つめることが本来の目的で、そこには心理的な側面が大きく関わります。例えば、イライラ興奮している状態でウォームアップなどしても呼吸は安定していなければ思考も散らばっているために、それではまったく意味がありません。
心を落ち着かせ、頭の中が音楽をすることのワクワクで満たし、冷静に丁寧にセッティングルーティンから音を出す。これが大切です。


[作品への理解]
これから取り組む難しい楽譜を「フィンガリングがややこしい細かい音符の羅列」などと思っていては単なる作業になってしまいます。楽器を演奏する時にはどのような状況でも常に「音楽」であることは絶対です。詳しくは後述します。


心理的側面と計画性

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荻原明(おぎわらあきら)です。記事をご覧いただきありがとうございます。 いただいたサポートは、音楽活動の資金に充てさせていただきます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。