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4-8.ダイナミクス(強弱記号)

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ダイナミクス

音楽において「強弱をつけること」をダイナミクスと言います。ドイツ語では「デュナーミク」、フランス語だと「ニュアンス」と言いますが、ここでは英語のダイナミクスで統一します。

強弱記号はf(フォルテ)とp(ピアノ)を軸として音符に付随して指示をしています。
ではこれらの記号の意味は、何でしょうか。

f(フォルテ)→強く
p(ピアノ)→弱く

教科書、楽典的にはこれで正解です。きっと音楽をされている皆さん全員が理解していることと思います。

しかし、これまでアーティキュレーションについて解説してきた中でもしつこいくらい言っておりますが、音楽における表現は作曲家と演奏者の想いやイメージを「演奏を聴く人に伝える」ことが目的です。

つまり、強弱の表現は単に音量が大きい小さいで済まされるものではなく、それによって聴く人へどのように感じて欲しいのかを考えて、伝わる演奏をする必要があるわけです。

ということで今回はダイナミクスについて深く考えてみたいと思います。


デシベル

工事現場でこのような掲示を見たことはありますか?

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写真では上の「dB」と書かれているのが音の強さを表す単位「デシベル」です。テシベルの数値が高いほど耳に聞こえてくる音が大きく感じます。音楽においてもp(ピアノ)に比べてf(フォルテ)と書かれている時のほうが、よりデシベル的数値も高いと考えるのが普通です。

では次に楽譜から考えてみましょう。100名の吹奏楽と、弦楽4重奏、どちらも楽譜には同じp(ピアノ)やf(フォルテ)の記号が書かれています。しかし当然客席に聞こえてくるデシベルは同じではありません。このことから、楽譜に書かれたダイナミクスは絶対的な音量(=デシベル)を示しているものではないことがわかります。

楽器単体で考えてもこれは同じで、それぞれの楽器は出力が違いますから例えばリコーダーとトランペットでは出力差があるためリコーダーでトランペットと同じf(フォルテ)を表現することは物理的に不可能です(生演奏時)。


そこで話を戻します。

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