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ガゴシアンギャラリーがローンチするオンラインプラットフォームから学べる事とは?

そんなわけで、昨日のイントロダクションに引き続き、今日から本格的に書いていきます。始めに何を書こうか悩んだが、昨日書いた通り、たまたま「GAGOSIAN GALLERYが、新しいオンラインプラットフォームArtist Spotlight One Artist, One Work, One Weekを4月8日(アメリカ東海岸時間)にローンチする」という記事を発見したので、こちらについて書こうと思います。ちょっと長くなりますが、良ければお付き合いください。

Gagosian Gallery Website: Artist Spotlight One Artist, One Work, One Week

まず、知らない人のために、ガゴシアンギャラリーを超簡単に説明すると、「世界で一番大きいギャラリーの一つ。ロンドン、パリ、ジュネーヴ、香港など世界各地でギャラリーを運営しているメガギャラリー」といったところ。日本人にも馴染みのあるビッグネーム、ピカソ、ウォーホール、バスキア、ジェフ・クーンズ、日本の村上隆等、モダンからコンテンポラリーまで名だたるアーティストを取り扱っています。僕自身はニューヨークのデザイン会社で働いていた時に、ガゴシアンと仕事をする機会が多かったので、個人的に馴染み深く、思い入れもあります。

それはさておき、上記の記事ですが、そのガゴシアンが新たにオンラインプラットフォームをローンチするという話。新型コロナウイルス感染症(COVID-19) によって、ニューヨークを始め、世界中でギャラリーや美術館はしばらくの間休館となり、アートフェアやイベントも中止を余儀なくされました。アーティストもギャラリーも展示のために相当な労力を使って準備をしているので、そのショックは計り知れないでしょう。そこで美術館やギャラリーは、オンライン上でのバーチャル美術館巡りや、展示企画・セールスなども行い、なんとかエンタメを提供すると共に、経済をまわす方法を考え実行していたわけです。

その一例として話題になったのが、こちらもメガギャラリーのDavid Zwiner (デイヴィッド・ツヴィルナー)発案のプロジェクト:Platform: New Yorkです。ニューヨークでは、小・中規模のインディペンデントギャラリーが経済的に厳しい状況に置かれているので、集客力もDavid Zwinerでまとめて見せ、販売もするという、オンラインアートフェア的なものを始めました。Philanthropist(慈善実業家)の顔も持つDavid Zwiner氏らしい企画です。困った時には、一致団結する、コミュニティを大切にするニューヨークらしい素晴らしい動きだと思います。

そして前置きが長くなりましたが、今日、このオンラインプラットフォームの流れに乗ってガゴシアンもオリジナルのコンテンツをローンチするとの事です。プレスリリースやFobesやFortuneの記事を読みましたが、これがなかなか、さすがガゴシアン。オンラインでのコンテンツというかマーケティングが興味深いなぁと。

ざっと紹介するとこんな感じ。4月8日から毎週、ガゴシアンでの展示が中止になってしまったアーティストを一人ずつ特集し、新作を一点発表する。まず当たり前だが、このメンツがすごい。全部観たい。(ちなみに第一弾はSarah Sze) そして動画、インタビュー、エッセイ、アーティストの音楽プレイリストや影響を受けた映画などをを通じて、作品のクリエイティブプロセスやインスピレーションを発信していく。そして、金曜日に、作品の販売をスタート。ここが秀逸だが、48時間だけ購入可能になる。(実際にローンチしてから、多少異なる事はあるかも。本日確認したところ、そこまで大袈裟な話でもなかった。ちょっとガッカリ。)

アートラバーやアートインベスター達からすれば、様々なデジタルコンテンツによって作品への興味をかき立てられ、日に日に手に入れたいと思っていく事だろう。そして48時間という制限がつくことによって、当然「今買わないと逃す。買わなければ!」心理が発生する。値段は決まっているようだが、これがもしオークション形式だったと想像すると、いやぁ恐ろしい。白熱したバトルになっていたに違いない。(細かいアートの売買のルールは分からないが、今後そういう形になっていく可能性もありそうだ。)

マーケティングの話ばかりになってしまったが、このプラットフォームはアーティストにとっても、企画されていた展示のために制作していた作品を売る機会になるし、通常の展示以上に自分の思いや、作品の意図を様々な方法で伝える事が出来、また短い期間のため、アーティスト自身も集中して宣伝する事も可能だ。

ガゴシアンはメガギャラリーだし、時に悪評を買う事もあるように感じるが、ギャラリーもアーティストも購入者にもwin-win-winの構図を作れるのは本当に素晴らしいと思う。特に、こういうSeed Launch的なマーケティングはアーティスト個人とか小規模なギャラリーがあからさまにやると敬遠されそうなので、やはり彼らのようなギャラリーが先陣をきってこういう事をやっていけば、また新しい流れになっていくだろうなぁと思う。

今回はCOVID-19による影響で、発案されたプロジェクトだが、このやり方は、本当に理に適ってると思う。情報商材とかの業界では長らく似たような手法が使われていたが、直接的なセールスやマーケティングを嫌う、ギャラリー、エージェンシー、ブランド等も参考にしなければいけない時代が来たのだと思った。

いずれにしろ今回の事で、世界の流れが変わる事は間違いなさそうだ。新しい価値観が生まれてくると思われる。僕らが、マスク二枚に文句言ってる間にも、こうやって世の中では問題解決に動き、新しい流れを作る人達がいるなと。まずはコロナが1日も早く収束する事を祈るが、ホッと一息している間に取り残されたなぁっていう事のないように、家にこもって、準備しておきたい今日この頃だ。

そして最後に、Simon Sinekが素晴らしい、optimisticな話しているので、英語が分かる方は是非。https://www.youtube.com/watch?v=jVD3jzvzwxM

ではまた。stay home safe.




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東京生まれのアートディレクター。2002年に渡米。ニューヨークのFITにてグラフィックデザインを勉強し、2008年に卒業。いくつかのデザイン会社で働いた後、アーティストやギャラリーとの仕事に特化したデザイン会社で8年ほど働き独立。2020年に帰国し、現在フリーで活動中。

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