望月マコト

名古屋在住のしがないサラリーマン。 昔、文学が好きだった日々を思い出して駄文を重ねる日…

望月マコト

名古屋在住のしがないサラリーマン。 昔、文学が好きだった日々を思い出して駄文を重ねる日々を過ごす。 過去に頒布した同人小説は2冊。この数字を増やせる日が来ることを望んでいる。

最近の記事

5.今を輝く少女たちに出会う日々-お姉ちゃんとの時間

 この話のうち、3割くらいはフィクションです。  昨日会った少女の無変化性に安堵した私だからなのか、この街に訪れた時、私は想像通りの安堵を抱えていた。  雑踏の街、横浜。ドブとゴミと吐瀉物の街。高校時代にこの街で過ごした三年間は昨日のように思い出せる。ただ駅と高校を往復し続けただけだが、その中にはほろ苦い思い出も混じりこんでいるから。恐らく、美化も含んでのことだが、私鉄から五番街に続く道にあった立ち食い蕎麦屋とたい焼き屋はあいも変わらず学生の味方のようだ。  全く、学校もな

    • 4.今を輝く少女たちに出会う日々-マー子との時間

       この話はフィクションです  国道246号を南下していくスポーツカーの車内から覗く地元の街には人影が少ないものだから、彼女が取り替えたスポーツマフラーの重低音が一層鳴り響くような気がした。「ああ、まだローンが残ってるんよ、三年もね」と漏らしたマー子の表情はそのヘビーな事実とは正反対過ぎて、私も釣られて、(全く、変わってないのね)と呆れ気味の笑みを浮かべることになった。  午前一時半。小さめな音量のユーロビートが響く車内。窓に頭を預けて、通りのハンバーガーショップの明かりに照

      • 【レポ】陰キャチー牛男がオタク街コンに行った結果、運営に金だけ取られて咽び泣く結果になった話

         オタク街コンをご存じだろうか。  昨今では、2000年代前半の「オタクキモイ!」という風潮が薄れ始め、男女ともに多くの人々がアニメやゲームに熱中する時代となった。その時代の流れに沿うようにして合コンも形態を変え、「オタク」に焦点を当てた合コンも増え始めている。  しかしながら、明るく華やかな人々がノリで親交を深めていく”合コン”と、どちらかというと個人主義で周囲に関心を持ちがたい”オタク”の掛け合わせというのはイマイチ良い結果をイメージできないのも事実ではないだろうか。

        • 3.友人という名の契約関係

          「お姉ちゃん、私達って友達みたいだよね」    ビールの大ジョッキを手にした私は、ふわふわとした思考で言葉を漏らした。普段はこんなことを言わないのに、私もこの安居酒屋の陽気な雰囲気に流されたのだろうか。奥の大テーブルでは、大学生が謎のテーブル遊びで大声を上げていた。だから、私の言葉が聞き取ってもらえなかったらどうしよう、だなんて思ったけれど、向かいのテーブルのお姉ちゃんは濃い目のハイボールを飲み干しながら照れ臭そうに笑いだしていた。   「姉妹、ではないよね。感覚的にはさ。昔

        5.今を輝く少女たちに出会う日々-お姉ちゃんとの時間

        マガジン

        • マコトちゃん日記
          6本

        記事

          0."望月 誠"は何者なのか?|はじめてのnote

           いつも不思議に思うことがある。  4月、いくつかの理由で環境が変わることで関わる人間が変わってしまった時、人々は私にこう尋ねることだ。  「貴方は何者なのでしょうか?」と。  どんな経験をして、何が好きで、休日にどんな時間を過ごすのですか。何気ない質問だけれども、そこには私の思考や嗜好、何に属しどんな価値を生み出すかを尋ねられているような気がして。    けれども、私には、自分が何者なのかを上手く説明できないから言葉に詰まってしまうことが多い。  サラリーマン?いざと

          0."望月 誠"は何者なのか?|はじめてのnote

          2.私の肩書を『善人』にして欲しい

           寮に備え付けられた沢山のポストの中から自身のものを探し出し、投函された一つの封筒を覗いてみる。オンラインバンキング経由で支払い済みの請求書の山の上に鎮座するそれを取り出すと、指先を通じた微かな重みが記憶を呼び起こして、私は緊張しながら差出人を確認をする。  全国善人評議会 中部センター  月一回送られるこの封筒の中には、私が望むものが描かれているのだろうか。急いで封を破って、折られた紙に並ぶ文字を読み上げると、私は背筋に冷たいものが流れていく感覚に苛まれた。  私が起こした

          2.私の肩書を『善人』にして欲しい

          1.本が嫌いな文学少女

           日曜日の昼下がりとなれば、人々は明日に訪れる責務を振り払うかの如く日陰から這い出て青空を見上げに来る。名古屋市港区、港湾近くのららぽーとに訪れる人々も例外ではなく、建物間を結ぶ遊歩道から見える駐車場待ちの車を見つめ、私はあの混乱の最中を一足早く抜け出した事に少しの安堵を覚えていた。  今日、この場に訪れた理由に感動的な物語はなくて、ただ、昨日に岐阜の峠道へと抜けるバイクの一台になった時に、ふと視界が何かに遮られていることに気が付いたからだ。眼鏡越しに見える世界に白靄がかかっ

          1.本が嫌いな文学少女