宇宙人と出会うことについて

『ファースト・コンタクト』金子隆一(文春新書)

 宇宙人と出会うことについての本です。

 考えてみれば、そんな人々もいてもおかしくないとは思いますが、真面目に学術的に「ファースト・コンタクト」を考えている人々の報告であります。(例えばこの本によるとドイツの大哲学者イマヌエル・カントはそんな一人であるそうです。)

 ところどころ面白い発想というか考え方とか、事実報告とかが書かれてあります。
 例えば、「地球外知的生命」と簡単に書くが、そもそも「知性」というものは全宇宙の中で必ずや互いに理解し合う形態を取るのであろうかというような問いかけ。

 これに対して作者は、吾々と論理構造が根本的に違うような知性とはむろん意志の疎通を行うことは全く不可能であるが、そもそもそのような知性の存在確率は、「知的生命」そのものの発生確率よりもはるかに低いのではないかと説いています。

 これはつまり、生命とはその進化の途上においてすべて類似の知性化の道を歩むという考え方ですね。これが正しいかどうかはともかく、とりあえず、宇宙どこにおいても一足す一は二であると考えることができると言うことは、なんとなく、ほっとするような気が私はするんですが、そんなことないですかね。

 そんな知的刺激に満ちた、なかなか面白い本でした。

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