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拝啓、林舞輝様

林舞輝が浦和レッズに・・・キターーーー!

サッカーと赤い菱形を愛するみなさん、こんにちは。
浦和レッズの新体制が発表されましたね。
個人的に非常に大きなトピックとなったのが林舞輝(前・奈良クラブ監督)さんの分析担当コーチ就任でした。

いわく、単身で欧州に乗り込み、モウリーニョの教えを受けた俊英。
いわく、戦術的ピリオダイゼーションを日本に持ち込んだ人。
いわく、若くして奈良クラブでGM、監督を務めた人。
いわく、ピアニストはピアノの周りを走らない。
いわく、強い気持ち。

footballistaを読んでいない人でもこんな感じの紹介のされ方で耳にしたことがあるでしょう。
最近だとテレビ東京にも出演していましたし。
ビラス・ボアス(現マルセイユ監督)さんとも対談していましたし。

そんな彼が、まさか浦和レッズにコーチとして入ってくるとは。
これまでの浦和レッズでは考えられないリクルーティングに大いにドキドキしました。

正直、林舞輝さんが奈良クラブの監督を退任するという話を聞いた時は「少しゆっくりしながら、各メディアに出演したりするのかな」と思っていましたが、そんなこともなく一気にJ1の舞台に登ってくるとは。
しかも、戦術に定評のあるリカルド・ロドリゲス監督のもとで仕事をすることに。

まだ「新進気鋭の若者」だった林舞輝さんが記者会見でリカルド・ロドリゲス監督との対話を果たしてから2年後に、再びこの二人が出会う事になるという事に運命を感じるのは少し気が逸りすぎでしょうか。
逸りすぎなんでしょうね(笑)

ただ、現時点では期待値だけが独り歩きしている状態。
シーズンはおろか、キャンプですら始まっていない状態ですし、リカルド・ロドリゲス監督がどのようなチーム作りを進めるのか、そしてその中で林舞輝コーチがどのような役割を担うのか、どのようなコミュニケーションを行うのかも明らかになっていません。

気が逸って仕方がありませんが、逸る気持ちを強い気持ちで必死に抑えながら「まぁ、どうなるかは見てみようじゃないか」の精神で見守っていきたいな、と。
今シーズンはレビュー記事を出来るだけ頑張って書けるようにしたいなとも思っているのですが、リカルド・ロドリゲス監督と林舞輝コーチの頭の中を探る旅、という趣が出てきてワクワクしています。

というわけで、逸る気持ちを気持ち悪くならない程度に、今回の林舞輝コーチの就任を受けた、思いの丈を吐き出させて頂こうと思います。

拝啓、林舞輝様

浦和の新体制発表を見た瞬間、何かの間違いかな?と思いました。
これまでの浦和レッズのリクルーティングからは想像できない人選であった事もありますが、失礼ながら、奈良クラブの監督を契約満了で退任の報を聞いた時には「この経験をベースに色々な所に顔を出しながら機を伺うのかな」と思っていました。
footballistaで初めて名前を見てから・・・いや、これは少し嘘かもしれません。結城康平さんが紹介していたか何かで林舞輝さんのブログを拝見してから、footballistaで見覚えのある雰囲気の名前を発見して「おや・・・?」と思ったのが林舞輝という存在をハッキリと認識したきっかけだったというのが正確な所だと思います。

その当時はfootballistaの記事に対しても「あぁ、なるほどなぁ、そうなんだな」という気持ちで受け入れる事が出来た事もありましたが、なにより現象の説明に納得感が強くあり、凄い人がいるんだな、と思っていました。
ちょうど日本代表のサッカーに対しての「再現性」という言葉が話題になっていた時期という事もあるかと思います。当時の感覚を思い出してもロジカルという言葉に非常に惹かれていた時期だった事もあると思いますが自分より一回り以上若い人間が、ここまで論理的にサッカーという競技を学んでいるという事実に身体が震える思いをしたことを覚えています。

そういえば、この時期というのは日本サッカー界を観測している人の間で大きな転換点だったように思います。ハリルホジッチ監督の更迭を発端として日本代表のサッカーに対するロードマップの確度、そしてピッチ上で表現されるプレーの意図やそれを包括するはずのプランの不確実性、それらを塗りつぶすかのように糊塗された「俺たちのサッカー」というお題目。そのピッチ上とロードマップが欧州で起こっている戦術的に大きな転換を無視したかのような振る舞いに対してこれまでサッカーを愛好していた人たちのフラストレーションがにわかに煮え滾っていた時代だったと。

そんな時代に欧州サッカーの先端にいたモウリーニョの教えを受けた人間がいる、しかも限られた人間しか許されない領域において。そんな人間の登場に心が躍らないはずがありません。きっと、この人なら日本サッカー界に楔を打ってくれるのではないかと期待する気持ちが湧き上がっていたのを思い出します。

そんな思いを抱いたと思ったら奈良クラブのGMとして迎え入れられるという話が舞い込んできた事に驚きとともに、期待感があっという間に現実的な話として目の前に現れた事に衝撃を覚えました。
多少失礼なのは承知の上ではありますが「若さ」というリードが果たした部分があったにせよ、JFLというJリーグに近いポジションにいるクラブのGMとして迎え入れられるという事に新しい時代の到来の香りを感じた事は否定しようがありません。

新体制発表会においての林舞輝さんの振る舞いは未だに目に焼き付いています。多少の初々しさはあるのだろうか、新しいビジョンの元で発足したチームにありがちなたどたどしさはあるのだろうか、それとも記事で読んでいた通りの整った振る舞いなのか、、、。
そんな値踏みをするような視線を仄かに持っていた自分の価値観を打ち壊してくれるようなスピーチに衝撃を受けた事が林舞輝という存在に対して期待したいという思いの決定打だったと思っています。
堂々とした振る舞い、そしてGMとしてグリップした形でのMaiki Reviewという話にも(実際にはどうかは分かりませんが)表に出る覚悟を決めている様に見えた事で奈良クラブのソシオとして応援しようと心を決めた事を今でも思い出します。

残念ながら奈良クラブの試合を観戦する機会には恵まれませんでしたが、footballistaの連載や漏れ聞こえてくる奈良クラブの情報などから相当に苦心されていながらも、監督に就任してからは更に様々なチャレンジを行っている様子が伺えて、エネルギーを切らすことなく頑張っているのだな、と応援している身ながら逆に力を貰っているような感覚にもなっていました。

奈良クラブの監督を契約満了にて退任されると聞いた時は、一つの物語の章に区切りが打たれたんだな、という思いとともに僕自身、多少の脱力感を覚えていた事を白状します。
前段で「この経験をベースに様々な所に顔を出しながら機を伺うのかな」と発想した事もこの脱力感に由来するのだろうな、と今なら思います。

この感覚はジェットコースターにも似ているなと思うのですが、林舞輝という人間を応援するジェットコースターの一周目が終わり、今回2周目に乗り込むような感覚で今回の浦和レッドダイヤモンズの分析担当コーチ就任の報を捉えています。
恐らく、奈良クラブに在籍されていた時ほどの発信は許されない立場であろうことは想像に難くなく、かつてほど林舞輝という存在に近い言葉というのは聞く事が叶う場面というのは少なくなるのでしょう。

ただ、それでも浦和レッドダイヤモンズというチームにリカルド・ロドリゲス監督という戦術家を迎え、その分析担当を林舞輝さんが担うという事で林舞輝さんの仕事ぶりというものがピッチ上ににじみ出る事があるのかもしれない、と期待しています。
過剰な期待は禁物であり、あくまで今シーズンにおいて浦和レッドダイヤモンズがピッチ上で表現するプレー自体の責任はリカルド・ロドリゲス監督に帰するものと弁えつつも、林舞輝さんの今シーズンの仕事ぶりがご本人にとっても良いモノとなった先に浦和レッドダイヤモンズのシーズンが良いモノと出来たらこれ以上嬉しい事はありません。

まだまだ、コロナ禍が終息を見る道筋も見えにくく、非常に大変な時期が続くと思いますが、お身体に気を付けて頂き、今シーズンを走り抜けて、出来る事ならば笑顔で今シーズンを振り返る姿を目にすることが出来ることを祈って。

敬具。

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